大阪府の医療圏について

大阪府の医療圏

大阪府の現状と医療圏について

大阪府は古くから水の都として知られ、滋賀や京都府を流れる医休河川である淀川は、南西部の大阪湾へと流れ、発展した都市機能を持ちつつも豊かな自然が美しい都市です。これらの発展した水上交通から、古くより商いが盛んに行われており、現在においても県内総生産は全国2位と非常に高い水準を誇ります。
大阪市を県庁所在地とし、行政・経済・文化・交通の中心地としての役割を担う大阪府。その最大の特徴は、全都道府県の中でも超過密都市であるということでしょう。全国46位となる県面積の狭さに対し、大阪府の人口数はおよそ886万人(2017年10月現在)。これは東京都、神奈川県に次ぐ全国3位となる人口数であり、人工過密度は東京都に次ぐ全国2位です。そのため、人口10万人を超える都市は22市と、全国でも最多の数となっています。府内で最も過密都市となるのが大阪市で、大阪市24区内では城東区、西成区、北区の順で過密度が高いことで知られています。一方で、大阪市以外で泉州地域を除く地域では、年々人口が減少傾向にあり、また少子高齢化の影響で地域医療の役割も時代とともに変化しつつあります。
大阪府の交通機関は非常に発達しており、鉄道路線をはじめ主要な幹線道路の整備も進み、都市機構の集積度は極めて高いものとなっています。そのため、市町村間の差異は他府県と比べてさほど大きくないといえます。

これらの現状から、大阪府の医療圏が担う役割・課題とは?

大阪府の医療圏が担う役割。それは、各地域の特性をふまえ、患者の受療動向にあわせた医療体制を敷くことです。これこそが大阪府における医療体制の要であり、また大阪府の医療の発展と充実に欠かせないものあるといえます。
大阪府の医療圏では、各地域で総合的な保健医療サービスを効率的に行えるように、地理的ひろがりを考慮したうえで、(初期)一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏を設定し、今日に至る地域医療の連携したネットワークの構築と、先端医療の発展へとつなげています。
その中で、大阪府の医療圏が抱える課題・問題点では、医療体制の地域格差や、高齢化社会における在宅医療の充実化などが挙げられており、包括的な地域の医療支援をはじめ、全ての医療分野における整備が必要とされています。また、慢性的な医師不足を解消していくことも、大阪府の医療圏が掲げる課題点の一つです。人口数が多く、また人口過多となっている背景から、大阪府の医療施設の総数は14343施設と全国的に見てもかなり多い数字となっています。(大阪府の保健衛生関連データより)一方で、現在不足している医師数は1219人。これは神奈川県に次ぐ全国ワースト2位となる数字です。厚生労働省の必要医師数実態調査より、各都道府県の医師不足数から全国平均を出してみたところ、511人と大阪府の半分以下となる結果でした。このことから、全国規模でみても大阪府の医師不足はかなり深刻であるといわざるを得なく、早急に医師不足を解消していくための施策が必要であるといえます。さらには、病院規模による看護師数の格差もあいまって、医師同様に看護師が不足しているという現状も深刻化しています。医師・看護師を筆頭にした医療充実者の充足は、大阪府の医療圏をより充実させていくための必須条件であり、地域医療を根本から支えていくための課題点であるといえるでしょう。

大阪府の一次医療圏について

大阪府の一次医療圏は、原則市町村ごとに医療圏が設定されており、地域住民の日常生活に密接した“地域のかかりつけ”機能を優先した医療体制の充実を図っています。
一次医療圏が対象とするのは、風邪などによる発熱や腹痛、患者自身で処置できないような熱傷や切り傷、外来診療で対応可能となる病状における初期救急医療です。そこで、一次医療圏における取組みや課題となるのが、外来診療を行う医療機関の確保と充実、また休日や夜間時の急患対応となる初期救急医療体制の整備です。地域によっては小児の救急・夜間外来の窓口がないところもあるなど、まだまだ初期救急医療体制が完全に充実しているとはいえない現状です。また、都市部と比べて利便性に欠け、人口数の少ない市町村では明らかな医療施設数の少なさが際立ち、地域格差が生まれています。このことから、府民の日々の暮らしに密接した医療施設の充実は、今後も継続した整備が必要であるといえます。
また、これは日本全体でいえることでもありますが、団塊の世代が75歳を超える2025年以降は、若年層が減少し超高齢化社会を迎えていくといわれています。そのため、他府県と比べて圧倒的に人口数の多い大阪府では、今後迎える高齢化社会に対応した地域包括ケアシステムの構築と強化が必要だという見解が成されています。そこで一次医療圏が担う新たな役割となるのが、地域医療を支える一次医療圏が筆頭となり、医療・福祉・介護・生活支援と全ての分野が一体となって協力し、地域包括ケアのネットワークを充実させていくことです。地域包括ケアシステムの構築において要となるのは、必要となる関連施設数の充足と、医師や看護師をはじめ介護職員やリハビリ専門職員などの医療従事者の充足、また職員の技術や質の向上です。上記でも挙げた慢性的な医師不足や看護師不足の課題点における取組みとして、医療従事者の積極採用をはじめ、職員の定職率の向上などが挙げられます。府民にとって効率的であり暮らしに密接した一次医療圏を発展させるためには、医療従事者にとっても働きやすい環境を整えるということも重要であり、欠かせない項目であるといえるでしょう。

大阪府の二次医療圏について

二次医療圏では、一次医療圏を支える機能をさらに高めた二次救急医療の充実化が図られ、地域医療よりも専門性の高い医療提供を目的とし、一次医療圏を広域的に支援できる地理的範囲で設定されています。大阪府の二次医療圏は8つの圏域で設定されており、『豊能、三島、北河内、中河内、南河内、堺市、泉州、大阪市』から成っています。それぞれの地域特性に応じた圏域では、一次医療圏との連携を軸とし、病床の確保や拡充はもちろんのこと、保健・医療・福祉の3つの分野において入院から退院後の治療や療養に至るまで、地域医療を大きく支える役割を担っています。 平成25年から平成29年にかけて計画されている大阪府保健医療計画では、二次医療圏における療養病床及び一般病床の基準は67,263床。これに対し、既存病床数は88,397床と大きく上回っています。(2014年10月1日現在)それぞれの圏域別では、豊能の基準病床数7,456床に対し既存病床数は9,062床、三島の基準病床数5,544床に対し既存病床数は6,545床、北河内の基準病床数9,390床に対し既存病床数は9,667床、中河内の基準病床数5,799床に対し既存病床数は5,857床、南河内の基準病床数5,174床に対し既存病床数は6,621床、堺市の基準病床数8,039床に対し既存病床数は9,344床、泉州の基準病床数8,385床に対し既存病床数は8,724床、大阪市の基準病床数17,476床に対し既存病床数は32,576床です。それぞれの地域単位における8つの圏域の基準病床数は全て上回っており、一次医療圏による市町村を超える地域のかかりつけ機能の支援の整備が進んでいる状況といえます。また、基準値を超える既存病床数ということで、当面の間は病院の新設や増床は大きく変化することはないでしょう。

時代に応じて変化していく二次医療圏

高齢化が進む昨今では、これまで外来診療や在宅医療を中心とした一次医療圏で受療していた高齢者が、今後どんどん二次医療圏へと流れていくであろうと予想されています。現状として、二次医療圏を設定する上で大きく影響している項目が、地理的条件、交通事情などによって利便性が高いとされる圏域とそのエリアに住む人口規模です。しかしながら、これからの時代背景から推測すると、このままの現状であれば人口規模などによる判断だけでなく、地域の高齢者の健康状況や流入人口動向、地域の核となる基幹病院数や規模などによって二次医療圏を整備していく必要があるのではないでしょうか。また、患者の受療動向も変動的となり、二次医療圏だけでは対応しきれないケースが確実に出てくることも配慮しなくてはいけないのではないでしょうか。
実際に、医療圏の現状を検証した結果、二次医療圏の面積や基幹病院にアクセスするまでに要する時間なども考慮したうえで、宮城県・栃木県・徳島県では医療圏の見直しがありました。大阪府では、2017年現在2014年に策定された大阪府保健医療計画により現状見直しはない状況ですが、今後他府県同様に二次医療圏および医療圏全体での見直しは必要不可欠となってくるのではないでしょうか。

大阪府の三次医療圏について

医療圏とは、上記でご説明したとおり一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏の3つの医療圏から成っています。重複する項目もありますが、一次医療圏は市町村単位での日常生活に密接した医療の提供、二次医療圏では地理的つながりや交通事情、人口規模などによって設定された圏域による疾病予防や入院治療などの一般的な保健医療の提供を行っています。三次医療圏では、原則都道府県単位での区域設定となっており、大阪府の三次医療圏では大阪府全体を圏域とし、一次医療圏や二次医療圏では対応できない高度な先端的技術を要する医療提供を中心としています。
三次医療圏で提供される医療範囲では、例として(1)臓器移植等の先進的技術を必要とする医療(2)高圧酸素療法等特殊な医療機器の使用を必要とする医療(3)先天性胆道閉鎖症等発生頻度が低い疾病に関する医療(4)広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特に専門性の高い救急医療 などが挙げられます。
大阪府の三次医療圏における先端医術を行う需要機関としては、国立循環器センターをはじめ、大阪大学医学部、大阪市立医学部、大阪医科大学、関西医科大学、大阪府立成人病センター、近畿医科大学の各付属病院の計7病院が特定機能病院として厚生労働省に承認されています。また、そのほかにも大阪府の三次医療圏には、地域ごとに基幹となる総合病院や専門分野において名高い専門病院などが数多く点在しており、全国的にみても先端医療を提供する病院は高水準であるといえます。

参考資料:大阪府における 救急医療の現状と問題点 - 大阪経済大学大阪府保健医療計画(平成25年度から平成29年度)