1.認定心理士とは?
認定心理士は「心理調査に関連する専門科目を履修した認定心理士」であると日本心理学会が認定する資格です。
大学における心理学関係の学部や学科名が学際性を帯びてきており、「心理学」という直接的な言葉が使われていなくても、実際には「心理学」に関連した学部や学科であるケースが散見されます。そのような学部・学科を卒業した人でも心理学の最小限の学力と技能を習得していることが証明できるように、条件を満たせば認定心理士の資格を取得できるようになりました。
資格取得にあたって、認定試験と呼ばれるものは存在せず「日本心理学会」は指定する単位を取得し、申請書類を提出することで認定されます。
2.認定心理士の仕事とは?
認定心理士は、心理学のプロフェッショナルとして、基本的な心理学の知識やカウンセリング技術を業務に活かしていきます。さまざまな業種で求められている資格で、医療現場でもニーズが高まっています。
認定心理士の資格を保有している看護師の仕事内容としては、主に「心理学」の観点から患者さんをケアすることが挙げられます。
例えば、病気やケガが原因で精神的にダメージを受けている患者さんには、細かな配慮や気遣いが必要です。そういった場合に、会話の仕方やケアの仕方について十分な知識を持っている認定心理士は重宝されています。
身体の病気やケガだけでなく、心に負った傷も回復するように患者さんをサポートする役割を担っているのです。
3.認定心理士になるために
【申請から認定までの流れ】(1)申請書類提出審査料:10000円《認定申請》4年制大学を卒業後に申請が可能。在学期間中に修得した単位を所定の様式にて申請。《仮認定申請》大学卒業前の申請。在学中にすでに修得済の単位を申請可能。成績証明書と卒業見込証明書が必要。《日本心理学会会員の優遇措置》学会に5年以上連続で在籍し、本務校で教員をしている人が対象(2)日本心理学会による審査(3)認定の審査結果通知(4)認定料振り込み認定料:30000円(5) 認定証、IDカードを受領※一度取得すれば更新の必要はありません。【資格認定条件について】・16歳以降、通算2年以上日本に滞在経験がある者・学校教育法により定められている大学、もしくは大学院における心理学専攻または心理学関連専攻の学科において、規定の科目を履修、必要単位をすべて修了している者(またはそれと同様以上の学力があると認められた者)必要単位については公益社団法人日本心理学会のホームページを参照。(HP→ https://www.psych.or.jp/qualification/procedure.html) 4.認定心理士をとるのは難しい?
認定試験がないため、比較的安易に取得できる印象を持たれがちですが、資格認定のためには総計36単位以上を修得する必要があります。
しかし現在では、自分のペースで自由に時間を決めて学習ができるような体制をとっている大学もあり、「夜勤が多い」「残業が多い」といった忙しい看護師であっても必要単位の取得は難しいものではありません。
今までに修得した単位から足りない科目だけを選んで取得できる場合もあるので、こういったメリットをうまく活用すれば、仕事と勉強を両立させながら単位を修得していく場合でも取得可能な資格です。
5.認定心理士をとる事のメリット・デメリット
看護師が認定心理士の資格をとることは多くのメリットがあります。
看護師の資格を取得する過程でメンタルケアについての勉強もあったかもしれませんが、在籍中に心理学について専門的に学べる機会は少なかったはずです。
認定心理士は心理学についての専門知識を学べる資格なので、精神科や心療内科に勤めている、もしくは転職を検討している場合に有利です。来院する患者さんとの接し方に活かすことができ、精神科・心療内科に努める看護師としての専門性を高めてくれる資格といえるでしょう。
また介護施設や児童相談所に勤務する際にも役立ちます。
心理学を学んでいる看護師であれば、今相手が何を考え、何を求めているのかを心理学の観点から汲み取ることができます。相手の気持ちを事前に想定しながら接することができるということは、心理学を学んだ者と学んでいない者の大きな差になるでしょう。
また、資格を取得することで資格手当がもらえる就業先も増えてきています。
勉強量は決して少なくありませんので、根気と努力は必要ですが得られる知識と収入と比較すればメリットのほうが、圧倒的に比重が高いといえる資格です。
6.認定心理士の現状と今後
認定心理士の資格は現状、その資格単独で即、就職につながるような資格ではありません。挑戦しやすい資格なだけに取得している人も増えてきているのです。
しかし、介護関連、医療関連の資格と組み合わさったときに非常に高価性が高まる資格といわれています。
来院、入院している患者さんのケアだけでなく、その家族もまた不安を抱えている場合があります。そういったときにも活躍ができ、今後さらに需要が高まる緩和ケアや訪問看護などにも活かすことができるため、今後の医療業界で認定心理士の資格を保有している看護師は必要不可欠になってくるでしょう。