日本の看護師免許は海外でも通用する?海外で看護師として働く方法を解説

海外で看護師として働く
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グローバルに活躍する時代になって、看護師を目指す人の中にも、「海外で働きたい」と考える人が増えてきました。そのときに、日本の看護師免許は、海外でも通用するのでしょうか?海外で看護師として働く方法について、解説します。

日本の看護師免許は海外でも通用する?

海外で看護師として働く方法は国によって違いますが、その国の免許を取らなければならない場合が大半で、日本の看護師免許はそのままでは通用しないと思っておいた方がいいでしょう。
海外で看護師として働くためには、その国の決まりに従って、看護師資格を取る必要があります。具体的な方法については、この後でご紹介します。

海外で看護師として働く方法

看護ボランティアとして働く

「海外で看護師として働きたいけれど、現地の正看護師になるのはハードルが高い」という場合は、海外で看護ボランティアとして働く方法もあります。主な方法としては、次の2つがあります。

国境なき医師団

発展途上国の中の難民居住地や、紛争地帯、災害復旧途上地などは、医療援助が必要なため、民間国際団体の「国境なき医師団」が現地に派遣されて援助活動を行います。看護師さんも派遣され、ボランティア活動ですが給与は支給されます。
臨床の現場で看護師として3年以上の実務経験があり、直近で2年以上のブランクがないことが、条件となります。語学力については明確な基準がありませんが、英語かフランス語でメンバーと不自由なくコミュニケーションが取れる必要があります。
派遣期間は半年~1年です。看護師さんは国境なき医師団に応募する人が多く、応募してから実際に派遣されるまで、1年ほどかかるケースもあります。

青年海外協力隊

「青年海外協力隊」という名称は、聞いたことがある人も多いかもしれません。これは独立行政法人国際協力機構が、政府開発援助(ODA)の一環として行っている事業です。さまざまな職業の方が、アジアやアフリカ、中東、中南米を中心とした発展途上国に派遣されて働いています。看護師さんも、現地で生活をしながら、看護業務を行っています。
3年以上の看護師の実務経験があれば、参加できるケースも多いのですが、募集によって条件は異なります。語学力は、英検準2級~3級程度なので、そこまでハードルは高くありません。ボランティア活動ですが、渡航費用や現地で生活するための費用は支給され、無給で働いた人には帰国してから生活するための国内手当が支給される場合もあります。隊員の募集は春と秋の年2回あり、派遣期間は1~2年です。

「看護留学」という選択肢もある

「海外で看護師として働きたいけれど、そこまでのスキルや英語力がない」という人は、「看護留学」を目指すという方法もあります。海外で正看護師資格の取得を目指すプログラムや、海外の医療・福祉の現場でお給料をもらいながら働くインターンシップ・プログラムなどが用意されています。

各国の特徴と看護師として働く方法

アメリカ

日本の看護師がアメリカで看護師になる方法は、各州によって異なります。そのときに何かとお世話になるのが、「CGFNS」という機関です。CGFNSとは、自国で受けた看護教育が、アメリカの看護師になるための看護教育と同じかどうかを審査する機関のことです。ここで看護師として必要な単位を持っているかどうかを審査された上で、「NCLEX-RN」と呼ばれる資格試験を受験し、アメリカ国際看護師になります。
CGFNS審査は、アメリカの50州それぞれに条件や規定が異なり、看護師免許そのものも州ごとに交付されます。その点が、国内のどこでも使える日本の看護師免許とは異なります。NCLEX-RNの試験は、世界各地のテストセンターをはじめ、東京や大阪でも受けることができます。
「英語力に自信がない」という人は、ニューヨーク州などのように、受験時に英語力のスコアが必要ない州を選び、NCLEX-RNの勉強をしながら英語の力をつけていくとよいでしょう。

イギリス

イギリスで看護師になるには、「NMC」(Nursing Midwifery Council/看護助産協会)に登録する必要があります。そのために、まずはIELTSまたはOETのテストで基準のスコアを満たし、英語力を証明した上で、NMCに書類を提出します。
そして、「CBT」(Computer Based Test)も受験します。CBTとは、イギリスで看護師をするために、十分な看護知識があることを測定する試験で、日本でも受験することができます。その後、渡英して英語で臨床ができることを測定する「OSCE」(Objective Structured Clinical Examination/オスキー)を受験するのですが、渡英する前に仕事を探し、ビザの申請をしておくとスムーズに進みます。

オーストラリア

オーストラリアは世界有数の医療福祉先進国で、道徳的・人道的観点に基づいた看護教育が徹底して行われます。病気の告知やインフォームド・コンセントなどに対する意識も高く、看護師として学ぶべきものが多い国です。それだけに、看護職も世界的に人気が高く、競争率が高いため、看護師になるのはけっして簡単ではありません。
オーストラリアの看護師資格を取得する場合、日本の大学の看護学部を卒業し、正看護師としての就労経験があって、基準の英語力に達しているとスムーズに進みます。ただし、そのときに大きな壁となるのが英語力です。IELTS Academic 7.0レベル(各バンド 7.0以上) 、または OET: Occupational English Test Bという非常に高い英語力が求められるため、英語学校で学ぶ期間も含めてプランを考えた方がいいでしょう。
医療短大や看護専門学校を卒業した人は、オーストラリアの大学で1~2年学び、正看護師協会の登録資格を得た上で受験をする必要があります。

カナダ

カナダはアメリカに比べて物価が安く、治安が良い上に人々もフレンドリーなので、「カナダで国際看護師として働きたい」と思う人も多いかもしれません。カナダもアメリカと同じように、看護師の資格を得るには国家試験を受ける必要があり、資格の取得方法や規定などは各州によって異なります。
日本の大学で看護学士課程を終えた人は、まずECA(Educational Credential Assessment)に書類を提出し、指定レポートが届いたら希望する州の看護協会に申請します。その後、指定された英語資格(IELTS or CELBAN)を提出し、看護協会の指定するテスト(知識アセスメント、実技アセスメント)を受験します。
そして最後に、NCLEX-RNという看護知識テストを受験します。NCLEX-RNは、3000問の問題の中からランダムに出題され、合格すると晴れて看護協会で看護師登録をすることができます。
3年生の看護専門学校を卒業した人も、出願の英語基準を満たし、特定のカレッジに通えば登録することが可能です。ただし、オンタリオ州などのように、日本の通信制大学などで学士を取ってから受験する必要がある州もあります。

看護師が海外で働くメリット

看護師さんが海外で働く道を選択することで、日本では得られないさまざまな経験を積むことができます。たとえば、広い視野を養えるようになることは、海外で働く大きなメリットです。日本の病院で働いているときには気付かない医療体制の違いや、医療に対する考え方の違い、患者さんとのコミュニケーションの取り方の違いなどを、肌で感じることができます。
また、医療英語をマスターできることも、帰国後の大きなメリットとなります。日本の医療機関は、いま外国人患者の受け入れ体制を整備しているため、海外で働いた経験のある看護師さんを多くの医療機関が求めています。そのため、他の看護師さんにない強みを持つことができ、帰国後の就職・転職もしやすくなります。
他にも海外の医療機関は研修サポート体制が充実していたり、国によっては高収入を得られるなど、看護師さんが海外で働くメリットはさまざまあります。

まとめ

世はまさにグローバル社会、看護師さんも日本の中だけに留まらず、海外に活躍の場を見出す人が増えてきました。永住を考える人もいますが、数年間滞在するだけでも、国際人として貴重な経験を積むことができるでしょう。
海外の正看護師資格を取るだけでなく、看護ボランティアや看護留学など、自分のスキルや英語力に合わせて最適な方法を選ぶこともできます。検討する際は各国の看護師資格取得要件や経済事情、気候風土などをよく調べた上で、自分に最も合った国を選択することをおすすめします。
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