看護師の給料は本当に高い?職場別の年収の違いを解説

看護師さんの年収は高いと言われていますが、本当に高いのでしょうか?実際は、勤める職場によってかなり開きがあり、年収の低い職場に勤めてしまうと「思ったよりも収入が少ない」と嘆くことになってしまいます。
では、いったいどんな職場に勤めたら、高い年収を得られるのでしょうか?看護師さんの職場別の年収の違いを解説しましょう!
看護師の平均年収は506.4万円で、女性の職業の24位
看護師の収入は、女性の平均年収と比べてどのぐらい高いのでしょうか?厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、女性の平均年収ランキングにおいて看護師は24位で、年収は「506.4万円」でした。
1位は医師の「1,138.4」万円で、さすがに医師と比べると半分以下の年収ですが、24位というのはけっして低いランキングではありません。弁護士や大学教授、教員、会計士といった職業が並ぶ中で、24位をキープしているというのは、女性の職業としては高給のランクに入ると言っていいでしょう。
ただし、看護師の年収は職場によって違うので、注意が必要です。年収の高い職場と低い職場があり、年収の高い職場が看護師の平均年収を引き上げているという状況もあるからです。
【参考】厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
看護師の給料が高い職場
大規模病院
年収の良い職場を選ぶなら、小規模の病院や個人病院、クリニックなどよりも、病床数300床以上の大規模病院を選びましょう。
日本看護協会の「2022年病院看護・助産実態調査」によると、99床以下の病院と300床~399床の病院とでは、300床~399床の病院の方が平均税込み給与の月額が2万5,854円多いという結果が出ています。さらに99床以下の病院と500床以上の病院を比べると、500床以上の病院の方が平均税込み給与の月額が4万3,040円多くなっています。年額にすると50万円以上の違いになり、さらにボーナスも入れればかなりの差になってきます。
【参考】日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査」
美容クリニック
より高い年収を求める看護師さんの中には、病院から美容クリニックに転職する人も少なくありません。美容クリニックの月収は30万円~40万円が目安で、年収は500万円~600万円ほどです。
病棟看護師のような夜勤がない上に、指名料やインセンティブなどによって高い給与をもらう人もいるため、営業力に自信のある看護師さんはかなり稼ぐことができます。大手美容外科の看護師さんの中には、年収650万円以上の収入がある人もいます。
ただし、美容クリニックの看護師さんの中には、ノルマのプレッシャーに悩む人もいます。利益を追求するのが美容クリニックなので、営業成績のいい看護師さんが高い評価を受ける傾向にあるからです。その辺をプレッシャーと感じずに、仕事への意欲につなげることができる人が、美容クリニックには向いているでしょう。
一般企業
大企業の中には、社内に医務室(健康相談室)があり、産業看護師を採用しているケースが数多くあります。産業看護師の月収は25万円ほどが目安で、年収にすると450万円~500万円ほどです。
病棟看護師に比べると若干低い年収ではありますが、夜勤手当が大きい病棟看護師と違い、産業看護師は日勤のみで土日祝日が休みであることを考えると、けっして悪くない年収です。大企業は福利厚生も充実しており、仕事の内容的にも病院に比べてハードではないため、人気の高い職場です。
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)も、看護師さんの年収が高い職場です。令和2年度介護事業経営実態調査によると、老健の常勤正看護師の月収が約44万8,000円、年収が約539万円と、高い数字を出しています。同じ介護施設でも、特別養護老人ホームの年収は約507万円、有料老人ホームの年収は約514万円、グループホームは約477万円、デイサービスは約425万円ほどなので、老健の年収は高めになっています。
夜勤は月に4回~5回ほどありますが、在宅復帰を目指す入居者さんが多いので、特養などに比べて体力的な負担が少ないのも嬉しい点です。
【参考】厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査」
訪問看護ステーション
老健と並んで、介護施設の中で収入が高いのが、訪問看護の職場です。月収が約44万円、年収が約528万円で、業界的にも収入をアップさせる傾向にあり、訪問看護業界全体の成長も見込める職場です。
訪問看護の仕事は、子育て中でも働きやすいので、家庭との両立を考えて訪問看護の仕事を選ぶ人もいます。子育て中は仕事の件数を減らし、子どもが成長したら本格的に仕事を入れて管理職になれば、収入をさらにアップさせることもできるでしょう。
有料老人ホーム
介護施設の中でも、有料老人ホームは入居費用が高く、収益の大きい施設は給料も高くなります。月収は約42万8,000円、年収は約514万円で、入居者さんの健康管理やインシュリン注射、褥瘡の処置、胃ろうの処置など、さまざまな医療行為を行います。どこまでの医療行為を行うかは、施設によってさまざまです。
有料老人ホームは終の棲家として、看取りまでを行う入居者さんが多いため、感謝の言葉を聞けることが看護師さんのやりがいにもつながっています。給料の高さだけでなく、一人ひとりの患者さんとゆっくり時間をかけて関わることの重要性を感じて、有料老人ホームを選択する看護師さんもいます。
現在の職場で給与をアップさせる方法
ここまで収入の多い看護師さんの職場についてご紹介してきましたが、「できれば現在の職場で収入をアップしたい」と考える看護師さんも多いでしょう。現在の職場で、できる限り収入を増やすためには、いったいどうしたらいいのでしょうか?
役職に就く
病院に勤める看護師さんが収入をアップさせる王道は、やはり役職に就くことです。入職してからすぐに役職に就くことはできませんが、10年後、20年後といった長いスパンで自分自身のキャリアプランを考えて、行く行くは看護師長や看護部長を目指すことで、大幅な収入アップが図れます。
勤務先によっては、昇級試験を実施しているところもあるので、まずはそこにチャレンジすることを目標に計画を立ててもいいでしょう。
インセンティブで上乗せをする
美容クリニックや訪問看護ステーションなどでは、インセンティブの制度を設けているところもあります。たとえば美容クリニックであれば新たな施術の予約を入れたり、訪問看護であれば訪問件数を数多く持ったりすると、インセンティブがついて手取り額がアップします。
営業力や体力に自信のある人は、インセンティブによる上乗せを目指すのもひとつの方法です。
夜勤を増やす
病棟などでは夜勤を嫌がる看護師さんが多い中、あえて夜勤を買って出ることで、手当てを増やすこともできます。ただし、夜勤を続けるとうつ病発症などのリスクもあるため、くれぐれも自分の体調を考えながら選択することが大切です。
まとめ
看護師さんの給料は、勤務している施設の収益性によって異なり、場合によっては年収で200万円ほど違ってくるケースもあります。より高い収入を希望する看護師さんは、就職・転職を考える施設がどれだけ収益を上げているか、経営基盤が安定しているかをよく調べた上で、入職を検討することをおすすめします。





