輸液管理のコツ! 種類と観察ポイントを知ろう

輸液の基本と分類
輸液は主に次の3種類に分類されます。
- 電解質輸液:水・電解質の補給
- 栄養輸液:糖質・脂肪・アミノ酸などの栄養補給
- その他の輸液:浸透圧利尿剤、血漿増量剤など(膠質浸透圧、循環血漿量の保持)
水分と電解質の浸透圧の仕組みについて簡単におさらいします。
浸透圧とは、濃度の異なる水が半透膜を通して濃度の低い方から高い方へ移動する力のことです。
水分は細胞膜を自由に通過しますが、電解質はほとんど通過しないため、水分のみが移動して細胞内外の濃度を一定に保っています(図1)。
出血や脱水時にはこのバランスが乱れることがあります。
水分は細胞膜を自由に通過しますが、電解質はほとんど通過しないため、水分のみが移動して細胞内外の濃度を一定に保っています(図1)。
出血や脱水時にはこのバランスが乱れることがあります。
- 細胞外液の濃度が細胞内液よりも低い→水分が細胞内に移動
- 細胞外液の濃度が細胞内液より高い→水分が細胞外に移動
等張電解質輸液
血漿とナトリウム濃度がほぼ等しい輸液のことです。
等張電解質輸液を投与すると、輸液は細胞内へ移動せず、細胞外に留まり細胞外液を増やします。
細胞外液補充剤ともいわれます。
等張電解質輸液を投与すると、輸液は細胞内へ移動せず、細胞外に留まり細胞外液を増やします。
細胞外液補充剤ともいわれます。
等張電解質輸液の適応
- 出血等により循環血液量が減少したとき
- ショックで血圧が低下しているとき
- ナトリウムを投与したい低張性脱水
であり、血管内や組織間液に水分・電解質を補給できます。
等張電解質液の種類
生理食塩液(Na、Cl)、リンゲル液(Na、Cl、Ca、K)などがあり、乳酸リンゲル液(リンゲル液+乳酸Naイオン)ラクテック®︎等、酢酸リンゲル液(リンゲル液+酢酸Naイオン)ヴィーン®︎など、重炭酸リンゲル液(リンゲル液+重炭酸イオン)ビカーボン®®︎等が使用されています。
大量、急速に投与することで、心不全や腎不全がある患者さんでは肺水腫などが出現するため注意を要します。
大量、急速に投与することで、心不全や腎不全がある患者さんでは肺水腫などが出現するため注意を要します。
低張電解質輸液
血漿よりもナトリウム濃度が低く、細胞外液・細胞内液の両方に水分・電解質を届ける輸液です。
食事・水分摂取が不十分な患者への水分・電解質の補給に使われます。「維持液」とも呼ばれます。
1号から4号液に分かれています。
食事・水分摂取が不十分な患者への水分・電解質の補給に使われます。「維持液」とも呼ばれます。
1号から4号液に分かれています。
- 1号から4号液は生理食塩液と5%ブドウ糖液が配合されている
- 1号液に近いほど生理食塩液の割合が多い
- 4号液に近いほど5%ブドウ糖液の割合が多い
ポイント
- 1号液(ソリタT1®︎など):開始液。Kが入っておらず、腎・心機能が不明時に使用可
- 2号液(ソリタT2®︎など):脱水補給液。Na・Kの補給が必要な脱水時に使用(使用頻度は低い)
- 3号液(ソリタT3®︎など):維持液。1日の水分量(体重50kgで2,000mL)の投与で1日に必要な電解質・水分を補給
- 4号液(ソリタT4®︎など):術後回復液。Kは含まれず、電解質濃度が低い。腎機能が未熟な小児などに使用。術後には使用されない
輸液管理の基本姿勢
輸液管理では、「投与された輸液がどこに補給されているか」をイメージし、輸液の種類・特徴と病態を関連づけて観察することが大切です。
観察のポイント
投与されている量が適切で、体液量が一定に保たれていることやIN、OUTバランスをみます。過剰な量の輸液は心臓や腎臓の負荷が大きくなり、電解質バランスを崩す原因になり、少ない場合は脱水を引き起こします。
- IN:食事、輸液量などの摂取量
- OUT:尿、便、発汗、不感蒸泄
バイタルサイン・身体所見・検査データにも注意して、心拍数・血液・尿検査データ・体重で評価します。
要注意サイン
輸液管理で最も注意することは、心不全の危険性がある過剰投与と脱水です。
- 心不全のサイン:血圧低下、脈拍数の増加、起座呼吸、末梢の浮腫など
- 過剰投与のサイン:上記のほか、全身浮腫、胸水、腹水など
- 脱水のサイン:口渇、ツルゴールの低下、CRT延長、尿量減少など
呼吸状態
呼吸状態も観察します。
必要以上の輸液量が血管内に入ると、循環血液量が増加して心臓の動きが 悪くなり、肺の毛細血管がうっ血してガス交換が有効に行われなくなり、呼吸状態は悪くなります。
バイタルサイン(呼吸数、血圧、脈拍、SpO2など)とフィジカルアセスメント(呼吸苦、頻脈、気分不快、頸静脈怒張の有無などを確認)で、呼吸状態を観察します。
必要以上の輸液量が血管内に入ると、循環血液量が増加して心臓の動きが 悪くなり、肺の毛細血管がうっ血してガス交換が有効に行われなくなり、呼吸状態は悪くなります。
バイタルサイン(呼吸数、血圧、脈拍、SpO2など)とフィジカルアセスメント(呼吸苦、頻脈、気分不快、頸静脈怒張の有無などを確認)で、呼吸状態を観察します。
監修/執筆
社会医療法人純幸会 関西メディカル病院
感染管理室 副室長 管理師長
感染管理認定看護師/特定看護師
勝平真司
社会医療法人純幸会 関西メディカル病院
感染管理室 副室長 管理師長
感染管理認定看護師/特定看護師
勝平真司
参考文献
1.木下佳子監修.これならわかる!輸液の基本と根拠.東京,ナツメ社,2019,144p.
2.クーラ運営.看護に役立つ!電解質の種類と違いをわかりやすく解説.2024.
3.飯野靖彦.輸液管理で見逃しちゃいけないポイントは?.ナース専科.2014.
2.クーラ運営.看護に役立つ!電解質の種類と違いをわかりやすく解説.2024.
3.飯野靖彦.輸液管理で見逃しちゃいけないポイントは?.ナース専科.2014.






