「看護師」と「看護士」の違いって何?漢字の意味を徹底解説!看護師にまつわるさまざまな変化とは

「看護師」と「看護士」は、よく間違われる漢字表記の一つです。
どちらを使ったら良いのか迷う、という方も多いのではないでしょうか。
今回は、「看護師」と「看護士」の違いを紹介します。
漢字の意味や、看護師にまつわるさまざまな変化を見ていきましょう。
「看護師」と「看護士」正しいのはどっち?
結論から申しますと、正しい表記は「看護師」です。
なぜ「看護師」という表記が正しいのか、詳しく見ていきましょう。
「師」と「士」の漢字の違い
オンライン辞書のweblio国語辞典では、以下のように紹介されています。
「師」は学問や武芸、芸術などを教える先生、師匠に対する敬称です。教えて導く者という意味があり、尊師、導師、宣教師など宗教上の導き手にも「師」が使われます。一つのことを職業にしているプロ、玄人を指し、猟師や漁師にも「師」を使います。
「士」は才能をもって官に仕える者という意味合いで、国家資格や民間資格が必要な、国に仕えるような職業名に多く使われます。弁護士や税理士などの、専門知識で物事を処理する職業は「士業」と呼ばれています。
「看護師」とは
厚生労働省の保健師助産師看護師法の抜粋より、「看護師」について紹介します。
第五条 この法律において、「看護師」とは、厚生労働省の免許を受け て、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行 うことを業とする者をいう。 〔保健師、助産師、看護師〕 第七条 保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、 厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
「看護士」とは
「看護士」とは、以前用いられいていた表記です。
かつては男性看護師のことを「看護士」と記載し区別していました。
現在は女性男性ともに「看護師」と表記します。
「看護婦」とは
「看護婦」とは、「看護士」同様に以前用いられていた表記です。
かつては女性看護師のことを「看護婦」と記載し区別していました。
現在は女性男性ともに「看護師」と表記します。
「看護師」に関するさまざまな変化
続いては、「看護師」に関するさまざまな変化を紹介します。
法律や看護師を取り巻く環境も、変化しています。
法律の変化
看護師に関する法律は、「保健婦助産婦看護婦法」から「保健師助産師看護師法」に名称が変更されました。
主な改正経緯を紹介します。
まず昭和23年に保健婦助産婦看護婦法が制定されました。
この法律の内容は、以下の通りです。
「国民医療法の委任に基づく命令として、保健婦規則、助産婦規則、看護婦規則がそれぞれ定められ、地方長官(都道府県知事)資格とされていたが、欧米等の制度を踏まえ、看護婦等の資質の向上や三者を総合する方向が盛り込まれ、各職種の免許制度、試験制度、業務内容等を規定する法律となった。
・保健婦、助産婦、看護婦の業務内容は従前を踏襲
・看護婦は甲種、乙種の2種類。乙種は、急性かつ重傷の傷病者又はじょく婦に対する療養上の世話はできない。
・保健婦、助産婦、甲種看護婦は国家資格
・乙種は都道府県資」
昭和26年には保健婦助産婦看護婦法の一部改正が行われました。
昭和43年には保健婦助産婦看護婦法の一部改正が行われました。
資格の名称変更が行われ、男子である看護人は看護士又は准看護士という表記になりました。
平成4年には、看護婦等の人材確保の促進に関する法律制定が行われます。
この法律では以下の内容について制定されました。
「看護婦等の確保の重要性が著しく高まっていることを踏まえ制定。看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、国、地方公共団体、病院等の関係者の責務を規定したほか、看護師等の就業の促進や資質の向上のためのナースセンターを設置。」
そして、平成13年には保健婦助産婦看護婦法の一部改正と保健婦助産婦看護婦法の一部改正が行われました。
「・資格の名称変更
・保健婦(士)→保健師
・助産婦→助産師(※助産師は女性のみ)
・看護婦(士)→看護師
・准看護婦(士)→准看護師」
看護師の服装の変化
看護師の服装も変化しています。
以前は長いワンピースが用いられており、伝統的な看護師の衣装として使用されていました。
ですが、近代ではパンツスタイルの白衣が浸透しています。
男女ともにパンツスタイルの白衣が用いられています。
「看護師」と「看護士」に関する注意点
「看護師」と「看護士」に関する注意点として、願書での記載に留意しましょう。
正式な文書で古い表記を使用してしまうと、歴史や法改正について知識がないという印象を与えてしまいます。
間違えずに使用しましょう。
看護職の種類について
続いては、看護職の種類について紹介します。
看護職は、看護師以外にもさまざまな職種があります。
看護師
看護職の種類1つ目は、看護師です。
日本看護協会のHPより、看護師について抜粋して紹介します。
看護師の仕事は、傷病者やじょく婦(産後間もない女性)の療養上の世話をしたり、診療の補助を行うこと。“人を看る”という看護師独自の視点で、対象となる人を身体や精神、社会、文化などさまざまな側面から捉え、情報を総合的にアセスメントし、必要な看護を的確に判断します。病院や診療所などの医療機関のほかに、訪問看護ステーションや介護・福祉関連施設など、人々の生命と生活を支える専門職として、看護師が活躍する場はどんどん広がっています。
今後もさらに高齢化が進むため、これからの医療を支えるためには看護師が多様な場でさらに役割を発揮することが期待されています。
活躍の場・資格が生かせる分野
病院・診療所/訪問看護ステーション/介護保険施設/介護福祉施設/社会福祉施設/教育機関/企業/研究・開発機関/官公庁・職能団体/国際機関 など
准看護師
看護職の種類2つ目は、准看護師です。
准看護師制度は、今から約70年前、戦後急激な病院増設により看護師の需要が大きくなる中で、当時女子の高校進学率が低く、看護師を十分に増やすことが難しいことから、中学校卒業を要件に看護師を補助する資格として発足しました。
保健師
看護職の種類3つ目は、保健師です。
日本看護協会のHPより、保健師について抜粋して紹介します。
保健師の仕事は、人々が健康な生活を送れるように保健活動を行うこと。保健所・保健センターなどの公的機関で働く保健師が多く、地域の健康データを分析した上で、問題の解決に向けて乳幼児健診や健康相談、生活習慣病予防対策などを行っています。また、家庭訪問による健康問題の解決への支援を行うなど、子どもから高齢者まで健康に暮らせる地域づくりに向けて活動し、健康に関する自治体の政策にも関わります。
企業では、働く人たちのメンタルヘルス対策や健康相談、健診結果に基づく保健指導、環境調整も行います。
活躍の場・資格が生かせる分野
都道府県・保健所/市区町村・保健センター/子育て世代包括支援センター/地域包括支援センター/企業の健康管理室/健診機関/海外での保健活動/官公庁・職能団体 など
助産師
看護職の種類4つ目は、助産師です。
日本看護協会のHPより、助産師について抜粋して紹介します。
助産師は、妊産婦への保健指導や出産の介助、産後の母子のケアを担っています。ほかにも、育児指導や、不妊治療を行っている夫婦の相談、思春期・更年期の性と健康に関する相談など、女性の生涯を通じた性と生殖における健康問題に関わります。病院・診療所に勤務する以外に、自分で助産所を開業することもできます。
2015年から助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)レベルⅢ認証制度が始まり、助産師の実践能力が可視化されるようになりました。実践能力を認証されると「アドバンス助産師」と称されます。
活躍の場・資格が生かせる分野
病院/診療所/助産所(開業が可能)/助産師教育機関/都道府県・保健所/市区町村・保健センター/海外での助産活動/官公庁・職能団体 など
看護職のキャリアアップ
看護師はキャリアアップすることで、より専門的な業務を行うことができます。
日本看護協会は、看護職のキャリアアップについて、以下のように述べています。
医療の高度化や専門分野化が進む中で、看護ケアの広がりと看護の質の向上を目的とする「専門看護師」「認定看護師」「認定看護管理者」の3つの資格がつくられました。日本看護協会では、教育機関の認定と専門の教育・研修を受けた看護職への資格認定とを行っています。
看護の現場で、知識や技術を磨き、専門性を高めるキャリアアップの選択肢の一つとして、これらの資格取得を目指す看護職が増加しています。
専門看護師
日本看護協会のHPより、専門看護師について抜粋して紹介します。
本会の専門看護師認定審査に合格し、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人や家族、集団に、水準の高い看護ケアを効率よく提供するため、特定の専門看護分野の知識や技術を深めた者をいいます。実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つの役割を果たすことにより、保健医療福祉や看護学の発展に貢献します。
認定看護師
日本看護協会のHPより、認定看護師について抜粋して紹介します。
本会の認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術や知識を用いて、水準の高い看護実践のできる者をいいます。看護現場の中で実践・指導・相談の3つの役割を果たすことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図ることに貢献します。
認定看護管理者
日本看護協会のHPより、認定看護管理者について抜粋して紹介します。
本会の認定看護管理者認定審査に合格し、看護管理者として優れた資質を持ち、創造的に組織を発展させる能力を有する者です。多様なヘルスケアニーズを持つ個人や家族、地域住民に対し、質の高い組織的看護サービスを提供することにより、保健医療福祉に貢献します。
看護職になるには
次に、看護職になる方法を紹介します。
今回は、代表的な看護職である看護師、保健師、助産師の3つについて解説します。
看護師になるには
日本看護協会では、看護師になる方法について以下のように述べています。
看護師になるには、大学または3年以上の教育を受けて、看護師国家試験に合格する必要があります。
看護師には人間を幅広く理解する能力や根拠に基づき計画的に看護を実践する能力、他職種と連携・協働していく能力などが求められるため、免許を取得する前の教育では、これらの能力を培うための教育が行われます。
保健師になるには
日本看護協会では、保健師になる方法について以下のように述べています。
保健師になるには、1年以上の教育を受けて、保健師国家試験に合格する必要があります。あわせて、看護師国家試験に合格している必要があります。
助産師になるには
日本看護協会では、助産師になる方法について以下のように述べています。
助産師になるには、1年以上の教育を受けて、助産師国家試験に合格する必要があります。あわせて、看護師国家試験に合格している必要があります。
まとめ
「看護師」と「看護士」の違いは、法改正によって用いられるようになった名称の違いです。
現在では「看護師」という表記が正しい名称として使用されています。
歴史とともに、男性の看護師も増え、医療現場でも多様性が生まれています。








