聴診の基本(実践編)

聴診は、患者さんの状態変化を“その場でつかむ”ための大切な技術です。侵襲がなく、すぐに実施できるからこそ、タイミングを逃さず使えるかどうかがポイントになります。まず押さえたいのは、いつ聴くかです。
聴診のタイミング
- バイタルサインが急に変化したとき(SpO₂の低下、呼吸数の増加、脈拍の急変など)
- 呼吸苦の訴えが出たとき(体位変換後や体動後も含む)
- ナースが“何かおかしい”と感じたとき
- 「普段と何か違う」と感じたときこそ、小さな変化を拾うチャンスです。
呼吸音を聴くときのポイント
呼吸音を聴く場所
前胸部・側胸部・背部を、左右を比較しながら順番に聴くのが基本です。特に背部は肺からの情報が得られやすいため、必ず取り入れましょう。
呼吸音の種類
呼吸音は正常と異常を大きく区別しておくと理解が進みやすくなります。
- 正常:肺胞音・気管支音(左右差がないかを意識)
- 異常音:副雑音(/wheeze(ウィーズ)/rhonchi(ロンカイ)/stridor(ストライダー)など)
呼吸音の報告のポイントは「①どんな音が聞こえたか?」「②どこで聞こえたか?」「③どれくらいか?(程度・変化・いつから)」を意識すると伝わりやすく、アセスメントにも活かせます。
心音を聴くときのポイント
心音は、4つの聴診ポイント(A・P・T・M) を順番に聴きます。まずはS₁・S₂の強さやリズムを把握し、そのうえで以下の異常音を探します。
心音を聴くのは「難しい」と思われがちですが、まずは“いつもと違う”をつかむことからで十分です。異常なリズムを感じたら、モニターの波形も併せて確認しましょう。
図 心音を聴く部位
異常を見極めるコツ
聴診は、呼吸数・SpO₂・体位・意識レベルの変化などと組み合わせることで精度が上がります。例えば呼吸音にwheezeがあり、呼吸数が増えているなら、下気道狭窄に伴い酸素を取り込めていないと判断できるため、早期に介入が必要となります。
“音を聴く”というより、“患者さんに起きている変化を読み解く”ことが聴診の本質です。明日からは、少しだけ時間をつくって患者さんの背中に聴診器を当ててみてください。小さな音の変化に気づけるようになると、患者さんの安心につながり、あなたのアセスメント力も確実に伸びていきます。
<参考文献>
1)日本救急看護学会編.改訂第2版 救急初療看護に活かす フィジカルアセスメント.東京,へるす出版,2024,272p.
2)医療情報科学研究所編.フィジカルアセスメント.東京,メディックメディア,2019,384p.(看護がみえる,3)
1)日本救急看護学会編.改訂第2版 救急初療看護に活かす フィジカルアセスメント.東京,へるす出版,2024,272p.
2)医療情報科学研究所編.フィジカルアセスメント.東京,メディックメディア,2019,384p.(看護がみえる,3)
執筆・監修
神戸市立西神戸医療センター救急看護認定看護師
瀧澤紘輝
神戸市立西神戸医療センター救急看護認定看護師
瀧澤紘輝





