認知症ケア指導管理士(看護師の資格)

認知症ケア指導管理士
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1.認知症ケア指導管理士とは?

認知症ケア指導管理士は、医療・介護現場で認知症ケアに携わる方の専門性やケアの質の向上を目的として2010年に創設されました。
内閣府認可の「一般財団法人 職業技能振興会」によって認定されている民間資格です。

認知症の方への適切なケア方法が身につくだけでなく、ケアを行う側への指導・管理といった人材育成の面でも役立てられる資格です。
初級・上級と分かれており、上級は「初級を取得後1年以上経過した人」が受験の対象となるため、まずは初級から取得する必要があります。

資格を取得するきっかけは、「看護師としてスキルアップしたいから」「身近な方の認知症介護を経験したことで知識を深めたくなったから」など人によってさまざまですが、受験生の約6割が介護従事者、約3割が医療従事者と発表されています。

2.認知症ケア指導管理士の仕事とは?

認知症ケア指導管理士は給料アップやキャリアアップに直接つながるような資格ではありません。またこの資格をとれば医療・介護業界へ転職できるというようなものでもありません。

実践で活かせる資格ですので、すでに認知症の患者さんとの関わりがある医療・介護従事者の方であれば、認知症ケアについて深く学べるこの資格を活かすことができるでしょう。

例えば、認知症への薬物療法・日薬物療法を理解して適切な処置を行うことや、在宅介護をするご家族の悩みや不安に寄り添うことなども、認知症ケア指導管理士の資格を所有している看護師だからできることの一つです。

なお認知症ケア指導管理士の資格は職種や経験を問わず誰でも受験することができ、最近では身近な方の介護に役立てる目的で受験する人も増えてきています。

3.認知症ケア指導管理士になるには?


●受験資格
・初級試験
 資格や実務経験の有無に関わらず、誰でも受験可能

・上級試験
 初級を1年以上保有している人
 または特定の国家資格を所有しており初級資格と併願受験する人

●資格取得までの流れ
1. 願書入手
 《入手方法》
 ・ホームページよりダウンロード
 ・電話・メールフォームより請求

2. 受験申込
 《受験手数料》
 初級:(一般)7,500円、(学生)4,000円
 上級:(一次試験)12,000円、(二次試験)6,000円

 《出願方法》
 ① インターネットでの出願
 支払い方法:クレジットカード、ペイジー、アマゾンペイ
 
 ② 郵送による出願
 支払い方法:金融機関での振り込み

   ◆郵送での願書提出先
 〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-32-3 2階
 一般社団法人総合ケア推進協議会

3. 試験実施
  60問 五肢択一 マークシート方式

 《出題科目》
 ・認知症高齢者の現状
 ・認知症の医学的理解
 ・認知症の心理的理解
 ・認知症ケアの理念と認知症ケア指導管理士の役割
 ・認知症ケアの実践
 ・日常生活支援
 ・認知症への薬物療法
 ・認知症への非薬物療法
 ・家族への支援
 ・認知症ケアにおける社会資源
 ・応用問題(時事問題など)

 《試験会場》
  東京、大阪、札幌、仙台、名古屋、福岡、富山

 ※上級試験に関しては、一次試験と二次試験の両方に合格すること

4. 合否発表
 試験実施から約6週間後に合否通知が届く

5. 認定証交付
 認定登録料:2,000円


●資格更新について
 2年に1回の更新が必要
 更新料:5,000円


●資格団体
 一般財団法人 職業技能振興会 資格取得キャリアカレッジ

4.認知症ケア指導管理士をとるのは難しい?

認知症ケア指導管理士のこれまでの試験合格率は59%と発表されています。
2020年は受験者1138名の内、763名が合格し、合格率は67%でした。
(出典:過去の受験者情報|資格取得キャリアカレッジ)

テキストを見ると出題範囲が広いように感じる認知ケア指導管理士の試験ですが、初級は介護や医療業界で働いている方にとって基本的な内容も多く、テキストに沿ってしっかりと学習をすれば合格はそれほど難しくはないでしょう。

試験に向けての学習は、資格取得キャリアカレッジによる「認知ケア指導管理士(初級)試験公式テキスト」が一般書店やWEBで販売されています。
他にも試験対策講座として直前模擬試験解答解説講座・試験対策短期講座(全3回)や公式テキスト解説DVD講座などの受講が可能です。

上級については「総合ケアシリーズⅠ・Ⅱ」という公式テキストが販売されており、そちらで試験対策ができます。

上級の合格率は開催回によってばらつきがありますが、第1~7回を平均した合格率は7.6%とかなり低く推移しており、出題傾向の分析や内容の理解など、しっかりとした試験対策が必要となるでしょう。

5.認知症ケア指導管理士をとる事のメリット・デメリット

看護師が認知症ケア指導管理士の資格を取得することで得られるメリットは何といっても、看護業務の幅が広がることが挙げられます。

介護施設や精神科病院などをはじめとする専門的な知識が必要な場において適切なケアができるようになります。

初級は公式テキストや講習会を活用すれば難易度は高くなく、挑戦しやすいこともメリットです。
また「日本の資格・検定」AWARDS 2019にて「注目の資格・検定ランキング部門第3位」に表彰されており、将来性が期待できる資格といえるでしょう。

その一方で、歴史の浅い資格であるがゆえに履歴書に記載しても評価されにくい点はデメリットになるかもしれません。
また2年に1回の更新が必要となり、更新を忘れてしまうと資格は無効になってしまうので注意が必要です。

6.認知症ケア指導管理士の現状と今後

認知症ケア指導管理士の資格は「要介護者が健康な生活を送り続けるため」に誕生しました。
まだ比較的歴史の浅い資格で、給与面でのランクアップや昇格などの事例はほとんどないでしょう。

しかし、認知症高齢者が増加する今後の日本において、資格所有者の需要が高まる可能性は大いにあります。
なぜなら認知症の方の介護には正しい知識が必要だからです。
誤った知識で介護を続けてしまえば、余計に症状を進行させてしまうといった最悪の事態を招くことも考えられます。

認知症を理解し正しいケアについて学ぶことができる「認知症ケア指導管理士」をはじめ、認知症に関する資格の需要はこれからどんどん高くなり、資格所有者の活躍の場は広がるでしょう。

なお認知症に関する資格は認知症ケア指導管理士の他に、「認知症ケア専門士」「認知症ライフパートナー」などがあります。
いずれも国家資格ではなく民間資格です。

ぜひスキルアップの一環として取得を検討されてみてはいかがでしょうか。

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