看護師長の年収とは?看護師長の役割・向いている人・なる方法を徹底解説

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看護師のキャリアアップとして管理職を目指している方も多いかと思います。
キャリアアップの代表的なものに、看護師長への昇進があります。
看護師長は、病棟全体の看護師などスタッフを統括する管理職です。
管理職という立場は精神的にも負担の大きいものですが、看護師長の年収はどのくらいなのでしょうか。
今回は、看護師長の年収や看護師長の役割・向いている人・なる方法を徹底解説します。
昇進を目指している看護師の方は、ぜひ参考にご覧ください。

看護師長の年収とは

厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査、公益社団法人日本看護協会の2012年病院内勤務の看護職の賃金に関する調査を参考に、看護師長の平均給料と平均年収を紹介します。

看護師長の平均給料

まずは、看護師長の平均給料を見ていきましょう。

公益社団法人日本看護協会の2012年病院内勤務の看護職の賃金に関する調査によると、看護師長の平均年齢は54歳で、看護師長の基本月給の平均は37万949円です。
ですが、この金額にプラスして諸手当があります。
看護師長相当職の管理職手当額は、平均4万5,439円、管理当直の手当額の平均が8,632円ですので、看護師長給与合計の平均は42万5,020円となります。
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によると、看護師の平均給料は約33万円ですので、約10万円近く給料が高いことが分かります。

基本給や手当額は施設によっても異なりますので、変動する可能性があります。

看護師長の平均年収

看護師長給与合計の平均は42万5,020円ですので、12ヶ月分と考えると、単純計算での年収は510万240円です。
これは管理職手当額と管理当直の手当も含んだ金額です。

また、看護師には賞与もあります。
公益社団法人日本看護協会の調査によると、中間管理職の賞与の平均が124万5,754円です。

510万240円に中間管理職の賞与の平均が124万5,754円をプラスすると、看護師長の平均年収は634万5,994円になります。

基本給や手当額は施設によっても異なりますので、変動する可能性があります。

管理職の手当について

看護師長には役職手当があるため、時間外勤務手当は支払わないという職場もあるそうです。
公益社団法人日本看護協会の「労働に関するよくあるご質問」より、中間管理職の権限・処遇:管理職の時間外勤務手当(「名ばかり管理職」)について紹介します。

質問内容:当院では主任の役職手当があるので、時間外勤務手当を支払わないことになっていますが、法律上問題はないのでしょうか。病棟スタッフのために身を粉にして働いてきた主任やこれから役職を目指す職員のやる気にも影響するのではないかと思っています

回答:労働基準法第41条では、事業の種類にかかわらず、監督もしくは管理の地位にある者(「管理監督者」)は、深夜業を除く労働時間に関する規定が適用されないと定めています。看護師長・主任などの中間管理職については、労働基準法の定めによって休日・時間外労働の規制を受けない「管理監督者」に相当するかどうかを、具体的な権限や処遇、勤務状況に即して判断する必要があります。労働基準法上の「管理監督者」とは、職場内のいわゆる「管理職」の定義とは異なり、経営上の責任を負う一方で相応の高い処遇を受け、自分自身の労務管理に大幅に自由裁量があることなどが判断基準とされています。
あなたの職場の看護師長・主任が「管理監督者」に該当するかどうかは、具体的に次の要件で判断してください。これらに該当しなければ「管理監督者」と見なすことは難しいでしょう。

1.人事を含む経営への参加があるか(単に部下の評価を行う・勤怠管理をするだけでは不十分)
2.自分自身の勤務時間について自由裁量が認められているか
3.十分な報酬を得ているか(非役職者であったときと比較してどうか)
「管理監督者」に該当しない労働者については休日労働・時間外労働について割増賃金の支払いが必要になります。役職手当に時間外勤務手当が含まれている場合は、就業規則や賃金規定でその金額の内訳を明記しなければいけません。また、賃金支払い方法が「年俸制」であっても、割増賃金の支払いは必要です。

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看護師長の役割

公益社団法人日本看護協会は、病院看護管理者のマネジメントラダーを設けています。
病院看護管理者のマネジメントラダーの目的は以下の通りです。
「地域包括ケアシステムが構築される中、病院看護管理者には自病院のみならず地域ま
で視野を広げた看護管理を行うことが求められている。さらに、今後の社会情勢や国民
の医療・看護に対するニーズの変化に伴い、病院看護管理者に求められる役割はさらに
高度化・複雑化することが予測される。それゆえに病院看護管理者は、病院のなかで最
大集団である看護スタッフを活用し、病院を超えて、看護を必要とする人々の健康と
QOLの向上に大きく関与していく責務がある。
本ラダーは、このような時代に対応するための病院看護管理者に必要な能力に焦点化
し、目標として可視化したものであるとともに、病院看護管理者の計画的かつ段階的な
育成のための指標を示したものである。」

また、病院看護管理者のマネジメントラダーの対象は管理者だけでなく、これから管理者になる人材も含め、看護職者を広く対象としています。

各レベルに相当する職位について、Ⅰは主任、Ⅱは看護師長、Ⅲは副看護部長、Ⅳは看護部長をおおよその目安としています。
今回は看護師長にあたるⅡレベルの内容を紹介します。

組織管理能力

組織管理能力とは、組織の方針を実現するために資源を活用し、看護組織をつくる力です。

病院看護管理者のマネジメントラダーレベルⅡの組織管理能力の項目は、以下の通りです。

・看護部門の方針を理解した上で、自部署の方針を策定し、自部署全体に浸透させることができる
・経営の視点をもって自部署の人的資源、物的資源、経済的資源、情報資源を評価し、整備することができる
・必要な根拠を客観的に示しながら他部署・他部門と調整・交渉することができる
・自病院が地域の医療資源のひとつであると理解し、施設外の関係者と連携することができる
・自部署における業務上の危険要因への予防と対策を行い、スタッフが自分自身の健康を大切にするための働きかけができる
・スタッフが自部署の倫理的課題を日常的に議論できるような組織文化をつくることができる

質管理能力

質管理能力とは、患者の生命と生活、尊厳を尊重し、看護の質を組織として保証する力です。

病院看護管理者のマネジメントラダーレベルⅡの質管理能力の項目は、以下の通りです。

・自部署の看護実践についてデータを活用して可視化し、評価・改善することができる
・自部署の手順・基準などを整備し、標準化・効率化を推進することができる
・個々のスタッフの看護実践能力を考慮した勤務体制をとり、看護の質を保証することができる
・自部署のケアの質保証のためにスペシャリストの活動を推進することができる

人材育成能力

人材育成能力とは、将来を見据えて看護人材を組織的に育成、支援する力です。

病院看護管理者のマネジメントラダーレベルⅡの人材育成能力の項目は、以下の通りです。

・個々のスタッフのキャリア志向を把握し、計画的な指導・助言によりキャリア発達を支援することができる
・個々のスタッフの能力や可能性を見出し、機会や権限を与え、成長を支援することができる
・外部からの実習・研修を受入れるための自部署での指導体制を構築することができる

危機管理能力

危機管理能力とは、予測されるリスクを回避し、安全を確保するとともに、危機的状況に陥った際に影響を最小限に抑える力です。
病院看護管理者のマネジメントラダーレベルⅡの人危機管理能力の項目は、以下の通りです。

・自部署に関連する事故や問題のリスクを分析し、予防策を講じることができる
・自部署における安全文化の醸成をはかることができる
・事故や問題が発生した際、自部署の対応策を判断しマネジメントすることができる
・自部署で発生した事故や問題の原因究明を行い、再発防止策を立案し、継続的にモニタリングすることができる
・災害時に行動できるように、自部署の患者とスタッフの安全を確保するための対応策の立案とスタッフへの教育を行い、災害発生に備えることができる

政策立案能力

政策立案能力とは、看護の質向上のために制度・政策を活用及び立案する力です。

病院看護管理者のマネジメントラダーレベルⅡの政策立案能力の項目は、以下の通りです。

・自部署の看護の質向上に既存の制度・政策を活用することができる
・医療の動向を踏まえ、制度改正などへの対応を事前に準備することができる

創造する能力

創造する能力とは、幅広い視野から組織の方向性を見出し、これまでにない新たなものを創り出そうと挑戦する力です。

病院看護管理者のマネジメントラダーレベルⅡの創造する能力は、以下の通りです。

・新たな看護サービスの提供方式・方法を創造し、スタッフとともに実現に向けた行動をとることができる
・地域に共通の保健医療福祉サービスの課題を想定し、課題解決に向け調整することができる
・医療・看護の動向や地域の状況などに関する情報を活用し、自部署および地域の看護ニーズの変化を予測して対応することができる

看護師長に向いている人

続いては、看護師長に向いている人の特徴を紹介します。
管理職になるために必要な資質を見ていきましょう。

リーダーシップがある

看護師長に向いている人の特徴1つ目は、リーダーシップがある人です。
看護師長は病棟の看護師を主導する立場です。
年齢や性別、立場も様々なスタッフたちをまとめなければいけません。
リーダーシップがある人は、スタッフをまとめることができますので、向いていると言えるでしょう。

向上心がある

看護師長に向いている人の特徴2つ目は、向上心がある人です。
管理職を目指すには、キャリアはもちろん試験や定められた条件をパスする必要があります。
向上心を持って目的へと邁進できる人は、看護師長に向いていると言えるでしょう。

コミュニケーション能力がある

看護師長に向いている人の特徴3つ目は、コミュニケーション能力があるがある人です。
看護師長は上司としてさまざまな立場のスタッフとコミュニケーションを図る必要があります。
関係性が築けていないと、スタッフをまとめることができず、統一感のない職場になってしまいます。
どんな人とも円滑に会話をできる能力が必要です。

看護師長になるには

最後に看護師長になる方法を紹介します。
看護師長になるためには、概ね15年程度の臨床経験が必要です。
病院のルールにより経験年数の規定は異なります。
また独自の試験や面接を設けている場合もあり、合格者が看護師長になることができます。
管理職になるための規定についての詳細は、各施設に確認してください。

まとめ

今回は看護師長の年収について情報をまとめました。
基本給プラス管理職としての手当や当直手当があるため、看護師長は高給です。
ですが、そのぶん責任も大きく精神的な負担を感じることもあるでしょう。
リーダーシップがある方やキャリアアップを目標としている方は、ぜひ看護師長にチャレンジしてみてください。
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