オンコール勤務とは?待機中の過ごし方や手当について解説

看護師さんの職場には、日勤や準夜勤、夜勤といった勤務体制がありますが、それ以外に「オンコール」という勤務の仕方もあります。この記事では、オンコール勤務とは何か、勤務中にどのように過ごし、手当はいくらかといった内容について解説します。
オンコール勤務とは?
オンコール勤務とは、看護師さんの緊急対応が必要になったときに、すぐに職場に駆けつけられるよう、自宅などで待機する勤務形態のことを指します。
オンコール業務に就いている看護師さんは、専用の携帯電話などから連絡が入ったときには、迅速に現場に向かわなければなりません。そのため、自宅で家事をするなどして過ごしながらも、常にその任務を意識して生活する必要があります。
オンコール勤務を取り入れている職場
オンコール勤務を取り入れているのは、普段看護師が常駐する必要がない職場や、ギリギリの人数で稼働している職場などです。夜勤のスタッフを少なく抑え、何かあったときにはオンコールで対応するというやり方です。たとえば次のような職場では、オンコール勤務が多い傾向にあります。
手術室
オンコールの代表的な事例が、「手術室」です。病院では脳血管の手術や、腸閉塞の手術など、緊急の手術が必要になることがあります。その際には、自宅などに待機していたオンコール勤務の看護師さんが電話で呼ばれ、急いで現場に向かいます。
産婦人科
「産婦人科」もまた、オンコール勤務の多い職場です。大きな病院の産婦人科には、手術室の当直看護師がいますが、個人病院のような小さな病院はそういうわけにはいきません。たとえば夜間の緊急帝王切開があったときには、オンコール勤務の看護師さんが呼び出され、手術に臨みます。
特別養護老人ホーム
「特別養護老人ホーム」では、看護師さんが夜間の勤務をオンコールのみで対応している施設が非常に多く、ほとんどの施設がオンコール体制をとっています。そのため、夜勤がない代わりに、月に5~10回ほどオンコール勤務があります。
訪問看護ステーション
「訪問看護」の現場で働く看護師さんは、オンコール勤務の際に訪問先の利用者さんの体調が急変し、ご家族から連絡が入ることがしばしばあります。そのときは、まず利用者さんやご家族の不安を取り除いた上で、どのように対応したらいいかアドバイスし、必要に応じて医療ケアを行います。
オンコール勤務中の過ごし方
オンコール勤務中は、食事をしたりベッドで寝るなど、普段の生活と同じように過ごしても構いませんが、下記のような決まりだけは守らなければなりません。
待機場所は原則的に自宅
オンコール勤務中は原則として自宅で待機します。自宅以外にいる場合でも、30分以内に現場に到着できるか、現場から5km圏内など、職場でルールが決められています。
必ず電話に出られるようにしておく
病院からの電話は、いつかかってくるかわからないので、必ず電話に出られるようにしておく必要があります。携帯電話は常に側に置き、どこに移動するときも持ち歩きます。
たとえばお風呂に入っているときも、防水の袋に入れてバスルームに入るなど、さまざまな工夫をしてスタンバイします。
飲酒は不可
言うまでもありませんが、オンコール勤務中は出勤をする可能性があるので、お酒は飲めません。普段勤務するときと同じ状態でいることが大切です。
オンコール勤務のメリット・デメリット
オンコール勤務のメリット
出勤するよりもずっと自由に過ごせる
オンコール勤務は自宅やその近辺で自由に過ごすことができるので、出勤するのに比べてずっと自由に過ごすことができます。
たとえば溜まっていた家事をこなすこともできますし、趣味の時間に使うこともできます。認定看護師などの資格試験を目指す人は、「自宅にいなければならない」という制約があることで、かえって勉強に集中することもできるでしょう。
病院から呼ばれても呼ばれなくても手当が出る
オンコール勤務が入っていても、病院から呼ばれない日も数多くあります。「ずっと自宅で好きな映画を観ていた」というようなときでも、しっかり手当はもらえるので、そんなときはとてもラッキーだと感じるでしょう。
連絡がきても出勤するとは限らない
手術室の看護師さんは、病院から連絡が入り次第出勤となることが多いですが、介護施設や訪問看護などの場合は連絡がきても出勤しないケースが少なくありません。
たとえば夜間に利用者さんのご家族から問い合わせがあり、それに対して回答するだけというときもあります。そのため、オンコール勤務といっても、実際の身体的負担が少ない職場もあります。
患者さんの役に立てることにやりがいを感じられる
オンコールで呼び出しがかかるときは、患者さんの急変など緊急事態が発生していることが多く、自分が出勤することで患者さんを助けられる場面にも遭遇します。医療従事者として、患者さんのお役に立てたことに、大きなやりがいを感じることができます。
オンコール勤務のデメリット
自宅にいるのに緊張していなければならない
オンコール勤務の間は、自宅にいても常に緊張感があり、「いつ出勤になるかわからない」ということが大きなストレスになる場合もあります。
遠出ができない
オンコール勤務のときは、基本的に呼び出されなければ自由に過ごせるので、遠出をしてみたくなりますが、それはできません。自宅で過ごすか、せめて近くのスーパーに買い物に行くなど、行動範囲が限られています。
寝ているところを起こされる
夜勤のオンコール対応の場合、「今日は家にいられるかもしれない」と思って熟睡していると、突然電話がかかってきて呼び出しがかかるケースがあります。
特に冬場などは、寒い日の夜中に温かい布団に入っていると、無慈悲にも電話が鳴って、寒い中を出かけて行かなければならないときもあります。家族皆が寝静まる中で、自分一人だけ出勤しなければならないというのが、ストレスになる看護師さんもいます。
会食中でもお酒が飲めない
出勤中にお酒が飲めないのは当然ですが、オンコール勤務のときは家族と一緒に過ごしている場合も多く、家族と会食をしても自分だけお酒が飲めずに残念な思いをする看護師さんもいます。
オンコール勤務がストレスにならないための対策
オンコールがストレスにならないようにするには、家の中にずっとこもらず、自宅近くで気分転換をするのがおすすめです。たとえば近所の公園を散歩してみたり、スーパーで買い物をしたり、おしゃれなカフェで過ごしたりするのもいいでしょう。
また、寝ているときに電話がかかってくる場合は、オンコールの通知音や音量に不快感を感じないように、セッティングしておくことも大切です。
オンコール勤務の手当
オンコール勤務をすると、待機1日あたり1,000円~2,000円程度のオンコール手当が出るのが一般的です。訪問看護ステーションでは、2,000円~4,000円ほどになるケースもあります。さらに、呼び出された場合は時間外勤務の扱いとなり、それに応じた給与が支払われます。
まとめ
看護師さんのオンコール勤務は、それなりにストレスもありますが、考え方次第では自宅にいながら手当がもらえるラッキーな勤務形態と捉えることもできます。
呼び出しさえなければ、プライベートの時間をしっかりと確保することもできます。オンコール勤務を勉強や趣味の時間にあてるなどして、有意義に活用することで、前向きな気持ちで過ごすことができるでしょう。





