看護大学と看護専門学校、給料はどのぐらい違う?給料アップのポイントも解説。

看護大学と看護専門学校
バナー広告
バナー広告
看護師を志すときに、看護大学に行くべきか、それとも看護専門学校に行くべきかで、迷う人はとても多いようです。看護大学は看護専門学校よりも1年間多く学ばなければなりませんが、「入職後のお給料が良ければ、がんばって看護大学に通おう」と思う人もいます。今回は、看護大学と看護専門学校のお給料の違い、それぞれを選んだ場合のメリット&デメリット、給与をアップさせるためのポイントなどについて解説します。

看護大学と看護専門学校の年収差はどのぐらい?

大卒と専門卒の初年度の年収差は10万円ほど、月収差は8千円ほど

看護大学卒の人と看護専門学校卒の人では、いったいどのぐらいの年収差があるのでしょうか?日本看護協会の「2020年病院看護実態調査(2021年3月)」によると、大卒1年目の看護師の平均年収が約374万円だったのに対し、専門卒1年目の看護師の平均年収は約364万円でした。大卒と専門卒の初年度の年収差は、10万円ほどであることがわかります。
また平均税込給与総額は、大卒1年目の看護師が約27万円、専門卒1年目の看護師が約26万2千円と、月収差は8千円ほどでした。

大卒看護師は昇給のペースが早く、生涯年収で数百万円以上の開きが出る

では、その後の昇給はどうなるのでしょうか?一般的には大卒の看護師の方が専門卒の看護師よりも昇給が早いとされ、生涯年収で数百万円以上の開きが出る傾向にあるようです。

病院以外の職場では、年収差があまりない場合もある

ただし、病院では大卒と専門卒の間に年収差があるところが多いものの、それ以外の職場では、大卒も専門卒も年収差があまりないケースが少なくありません。たとえば美容外科クリニックなどは、大卒か否かよりもいかにお客様が付くか、売上に貢献できるかというあたりで年収が変わるのが一般的です。

看護大学を出るメリットは?

では、看護専門学校より1年間多く学んでも、あえて看護大学を出るメリットは何があるのでしょうか?

給与が高い

先ほども解説した通り、病院に勤める場合には看護大学を卒業した人は看護専門学校を卒業した人よりも給与が高く、長く勤めれば勤めるほど生涯年収の差が開いていきます。

幅広い知識を得て人間力を磨ける

看護専門学校は、基本的に看護師資格を取り、入職後にスムーズに看護業務を実践できるようなカリキュラムが組まれています。それに対して看護大学は、医療従事者として学ぶべき幅広い知識を吸収することができ、論理的な思考力を備えた人間力のある看護師として活躍することができます。

保健師や助産師、養護教諭にスムーズに転向できる

看護系大学の多くは保健師や助産師、養護教諭の資格が取得できるコースを設けているため、「看護師」「保健師」「助産師」の3つの国家資格を取り、「養護教諭」の申請をすれば、卒業後の進路の幅を4つに広げることができます。

大卒限定で看護師を募集する職場もある

大学病院や三次救急などの大きな病院に入職を考えている人は、専門学校ではなく4年制大学を卒業した方が、スムーズに入職できます。専門学校でも入職できないわけではありませんが、狭き門となる可能性が高く、大学を出るに越したことはありません。

キャリアアップのチャンスが広がる

看護師さんがキャリアアップしたいと思ったときには、専門卒よりも大卒の看護師の方が有利になる傾向があります。
また、看護師の資格と経験を活かしてキャリアチェンジをしたり、起業をしたりするときも、専門卒よりは大卒の方がキャリアを認めてもらいやすいというメリットがあります。

大学院に進学できる

「専門看護師」や「診療看護師」の資格を取るときは、大学院への進学が必要になるため、将来的に資格取得を考えるなら4年生大学を卒業するのがベストです。

看護専門学校を出るメリットは?

大学よりも1年早く卒業できる

看護専門学校の多くは3年制で、看護系大学よりも1年早く卒業できるため、その分大卒者よりも多く実践を積むことができます。「看護師になるまでに4年かかるのは長い」と感じる人は、専門学校で3年の間にスキルを身につける方がいいでしょう。

学費が安い

看護専門学校は、入学から卒業までにかかる学費が看護系大学に比べてだいぶ安く、私立の看護大学と比べると数百万円単位で安く済む場合もあります。そのため、経済面を考えて専門学校を選ぶ人は少なくありません。

臨床の現場に強くなれる

看護専門学校の授業は看護実習が多く、実践を通して看護を学べるので、病院に入職直後からある程度の戦力として働くことができます。そのため、現場のスタッフから「大卒の看護師は理屈っぽいわりに役に立たないけれど、専門卒の看護師はてきぱきと働いてくれて助かる」と喜ばれるケースが数多くあります。

看護師になるなら、大卒と専門卒どちらがいい?

大卒の方が就職に有利になる場合がある

看護師になるのに大卒と専門卒のどちらを選んだらいいかというのは、その人のキャリアプランや経済的な事情などによって異なります。大卒も専門卒も実際に働いてみると業務の差はほとんどなく、病院勤務の場合は大卒の方が給料がいいので、「時間とお金に余裕があれば大学を選んだ方がいいが、経済面を考えれば看護専門学校の方がいい」ということになるでしょう。
ただし、大卒の人の方が就職に有利になる職場で働くことを考える人は、多少大変でも大学を選ぶのがベストの方法です。たとえば海外で看護師として働きたい場合は、大卒を条件としている国が多いため、大学進学を選んだ方が賢明です。

年々増え続ける大卒看護師

では実際には、大卒看護師と専門卒看護師では、どちらの方が増えているのでしょうか?実は、大卒看護師の方が年々増えつつあるのです。厚生労働省の「国家試験合格発表」によると、2008年には8,918人だった大卒看護師の合格者数が、2022年には23,040人と、実に約2.6倍に増えています。
それに合わせて、大卒看護師を養成する4年制大学も、右肩上がりで増えています。日本看護協会の「看護系大学数及び入学定員の推移」によると、1991年には11校(定員558人)だった看護系大学が、2020年には274校(24,878人)に増加しています。
【出典】厚生労働省「国家試験合格発表」https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/goukaku.html
日本看護協会「看護系大学及び入学定員の推移」

看護師が給与をアップさせるためのポイント

管理職を目指す

一般の看護職から主任看護師、看護師長、看護部長へと昇進することによって、着実に給与をアップさせることができます。たとえば看護部長になった場合は、管理職手当として月額8万円以上つく場合があります。

資格を取得する

勤務先によっては資格手当を支給するので、「認定看護師」や「専門看護師」「診療看護師」などの資格を取得することで、給与アップにつながるケースもあります。たとえば国立病院機構の診療看護師の資格手当は、月額6万円になります。

給与の高い職場に転職する

看護師さんの中には、給与アップを考えて他の医療施設に転職する人が、数多くいます。看護師さんはいま売り手市場なので、高い給与を出しても雇いたい医療施設が、結構あるからです。
また、看護のキャリアを活かして医療機器メーカーの営業職など、他職種に移って給与アップを図る人もいます。医療機器メーカーで業績を上げれば、年収800万円以上を稼ぐ人もいます。

まとめ

かつては看護師になる道といえば看護専門学校が一般的でしたが、徐々に看護系大学を選択する人が増えてきており、今後は看護系大学を出て看護師になるのが一般的になるかもしれません。大学院に進学して専門看護師や診療看護師の資格を取り、看護のエキスパートとして高収入を確保する看護師さんも増えてくるでしょう。そうなると、生涯年収もかなり高くなってきます。
看護大学と看護専門学校のどちらを選択するかは、目先の学費の違いや入職時の収入差だけでなく、自分のキャリアの道筋を考えて長い目で見て選択することをおすすめします。
看護師・准看護師・助産師・保健師へ就職・転職をお考えの方は、ぜひ看護師ワーカーにご相談ください!
電話で相談バナー