介護福祉士が看護師を目指す方法とは?受講が免除される可能性がある「共通基礎課程制度」について

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看護師は、高齢化が進む日本においてニーズの高い職業です。
看護師になる方法にはさまざまなルートがありますが、今回は介護福祉士が看護師を目指す方法を紹介します。
受講が免除される可能性がある「共通基礎課程制度」についても解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

介護福祉士と看護師の違い

まずは介護福祉士と看護師の違いを解説します。
介護福祉士と看護師はどちらも同じ医療職ですが、根拠となる法律や資格、役割に違いがあります。

介護福祉士とは

介護福祉士とは、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格です。
介護を必要とする方々の生活行為や生活動作をサポートします。
介護の専門資格ですので、訪問介護や特別養護老人ホーム、身体障害者施設など、さまざまな現場で活躍できます。
介護に関するさまざまな相談にも応じ、ホームヘルパー施設の介護職員から頼られる場面も多いでしょう。

厚生労働省によると、介護福祉士の役割は以下の通りです。
「社会福祉士は、同法に基づく名称独占の国家資格であり、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう。」

介護福祉士の資格を取得するには、高等学校又は中等教育学校卒業以上の学歴を持ち、指定養成施設を卒業し介護福祉士国家試験に合格するルートや、3年以上介護等の業務に従事した者で実務者研修を修了し介護福祉士国家試験に合格するルートがあります。
また、高等学校又は中等教育学校(それぞれ専攻科を含む。)において福祉に関する所定の教科目及び単位数を修めて卒業し介護福祉士国家試験に合格するルートなど、さまざまな方法があります。

看護師とは

一方看護師とは、保健師助産師看護師法第五条において「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。」と定められています。

看護師のニーズはますます増加しており、多様な場面で活躍できます。
病院や診療所、訪問看護ステーション、介護保険施設、介護福祉施設、社会福祉施設、幼稚園などの教育機関、企業、研究・開発機関、官公庁・職能団体、国際機関など、さまざまな職場で働くことができます。
主な仕事内容は、対象となる患者さんや利用者さんを多方面からアセスメントし、生命活動と生活全般をサポートすること。
清潔ケアや排泄のケアも仕事の一つです。
自力で起き上がることや移動が難しい患者さんのサポートもしますので、体力も必要です。
今後もさらに高齢化が進む日本では、より活躍の場が広がると予想されています。

介護福祉士が看護師を目指す方法とは

次に、介護福祉士が看護師を目指す方法を紹介します。
介護福祉士が看護師を目指すルートには、4年制看護系大学に通う・3年制看護短期大学に通う・看護師養成所(専門学校)に通う・看護師養成課程のある高等学校に通う・准看護師になり実務経験を積む方法などがあります。

4年制看護系大学に通う

介護福祉士が看護師を目指す方法の1つ目は、4年制看護系大学に通うルートです。
最も一般的なルートだと言えるでしょう。
専門的な学問を修め、看護学を体系づけて学ぶことができます。
高度な論理的思考や的確な問題解決能力も養うことができるため、看護師としてのキャリアアップを視野に入れている方にも最適です。

看護師国家資格の受験資格には、以下のような規定があります。
「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学(短期大学を除く。以下「指定大学」という。)において看護師になるのに必要な学科を修めて卒業した者(令和6年3月15日(金曜日)までに卒業する見込みの者を含む。)」
文部科学大臣の指定した学校教育法に基づく大学にて4年間を費やして学科を修業することで、看護師を目指すことができます。

日本看護協会では、4年制大学での学習を推奨しています。
「日本看護協会は、免許取得前の教育は、専門職としての基盤として非常に重要だと考えています。これからの社会において国民1人1人に合った質の高い看護を提供するためには、多様な看護の場や複雑化する患者像に対応できるような教育が必要です。このような教育のために、大学および養成所における4年間の看護師教育を推進しています。また、保健師・助産師についても、国民から求められている期待は高く、その期待に応えるためには大学院での教育が必要だと考えます。」

3年制看護短期大学に通う

介護福祉士が看護師を目指す方法2つ目は、3年制看護短期大学に通うルートです。
看護師国家資格の受験資格には、以下のような規定があります。
「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校(以下「指定学校」という。)において3年以上看護師になるのに必要な学科を修めた者(令和6年3月15日(金曜日)までに卒業する見込みの者を含む。)」
3年制看護短期大学でも看護師を志すことができ、4年制大学よりも1年早く看護職に就けます。

看護師養成所(専門学校)に通う

介護福祉士が看護師を目指す方法3つ目は、看護師養成所(専門学校)に通うルートです。
必要な知識や技術を最短で身につけることが可能な選択肢です。
初年度から即戦力として活躍できるよう、看護実習が行われます。
少しでも早く看護師として活躍したい方にとっては最適なルートだと言えます。

看護師国家資格の受験資格には、以下のような規定があります。
「文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した看護師養成所(以下「指定養成所」という。)を卒業した者(令和6年3月15日(金曜日)までに卒業する見込みの者を含む。」

看護師養成課程のある高等学校に通う

介護福祉士が看護師を目指す方法4つ目は、看護師養成課程のある高等学校に通うルートです。
高等学校の看護に関する学科において、5年間の教育を受け看護師を目指すことができます。
高校3年間を修了すれば高等学校卒業の資格も与えられます。
4年制大学よりも早く国家試験を受験でき、学費等の経済的な負担にも配慮できます。
看護師国家試験に向け、集中して学習に取り組める環境も魅力です。

文部科学省では、看護師養成課程のある高等学校に通う選択肢について、以下のように述べています。
「高等学校の看護に関する学科での教育は,最も早く看護師の資格が取得できるため,高等学校進学時に将来の目標がはっきり定まっている人には最適のコースといえます。」

准看護師になり実務経験を積む

介護福祉士が看護師を目指す方法5つ目は、准看護師になり実務経験を積むルートです。
准看護師は医師・歯科医師・看護師の指示のもと、看護や診療の補助をおこなう専門職です。
准看護師になるためには、各都道府県で実施される試験に合格して准看護師免許を取得する必要があります。
そのため、介護福祉士になり准看護師になり、そこから実務経験を積んで、その後指定学校又は指定養成所において2年以上修業するという、やや複雑なルートになります。
看護師免許だけでなく准看護師資格も取得したいという意思がある方にはおすすめです。

看護師国家資格の受験資格には、以下のような規定があります。
「免許を得た後3年以上業務に従事している准看護師又は学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校を卒業している准看護師で、指定大学、指定学校又は指定養成所において2年以上修業したもの(令和6年3月15日(金曜日)までに修業又は卒業する見込みの者を含む。)」

受講が免除される可能性がある共通基礎課程制度とは

では、介護福祉士が看護師を目指す際に受講が免除される可能性がある「共通基礎課程制度」とはどのようなものなのでしょうか。
日本では、人口減少や人口構造の急速な変化に対応するために、「ニッポン一億総活躍プラン」として、人と人、人と資源が分野を超えてつながることで、地域をともに作っていく社会を目指しています。
その改革の一つに、専門人材の機能強化・最大活用があり、現在福祉系の国家資格を持つ方々の養成課程の試験科目の一部免除などが進められています。

厚生労働省では、「地域共生社会」の実現に向けて共通基礎課程制度について以下のように述べています。
「福祉系国家資格を持つ者への保育士養成課程・保育士試験科目の一部免除について
 共通基礎課程創設までの間の当面の措置として、平成30年度より、福祉系国家資格所有者(介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士)が保育士試験を受験する際に全9科目のうち3科目(社会福祉、児童家庭福祉、社会的養護)の受験を免除する、介護福祉士養成施設の卒業者が指定保育士養成施設で学ぶ場合に必修科目のうち6科目(10単位)の履修免除を行うなどの措置を講ずることとしています。」

介護福祉士が看護師を目指す際の共通基礎課程制度がより具体的に検討され、導入されれば、資格取得への時間を大幅に短縮できるでしょう。

厚生労働省の方針として、以下のような内容が発表されています。
「当面は4年制大学(手上げ)において、看護師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士(7資格)を検討対象とする。• 共通基礎課程のボリューム(厚生労働省の方針) :合計1年分程度を想定(検討対象の資格保持者が他の資格を得る場合には課程を1年短縮できる)。
• 共通基礎課程の内容は、各職種の現状カリキュラムの共通部分を包含/各職種のカリキュラムの一部と重なり合う/どの職種でも扱っていなかった内容も一部入る。」

看護師国家試験の概要

続いては、看護師国家試験の概要を紹介します。
介護福祉士から看護師になるには、看護師国家試験に合格する必要があります。
看護師国家試験は、主に北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県にて開催されます。
看護師国家試験の概要は毎年新しいものが発表されますので、最新の情報は厚生労働省のホームページを確認しましょう。

看護師国家試験の試験形式

看護師国家試験は、マークシートに解答する形式の試験です。
主に4肢択一形式で、4つの選択肢の中から正しい選択肢を一つ選んで回答します。
第113回看護師国家試験の試験科目は、人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、健康支援と社会保障制度、基礎看護学、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、在宅看護論及び看護の統合と実践です。

看護師国家試験の合格率

看護師国家試験の合格率は、以下の通りです。

(出願者数)

(受験者数)

(合格者数)

(合格率)

第113回看護師

63,931人

58,215人

55,557人

87.8%

うち新卒者

58,215人

57,860人

53,903人

93.2%


まとめ

今回は、介護福祉士が看護師を目指す方法を紹介しました。
受講が免除される可能性がある「共通基礎課程制度」についても検討が進められていますので、今後も動向をチェックしましょう。
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