東京都の分娩施設の数は日本一!!
産科・産婦人科を標榜する施設は全部で871施設あり、
内訳は、病院106、クリニック431、助産院は334となっています。
これだけ施設の数が多いと、都内に万遍なく施設が点在していそうですが、
実は、東京23区と23区外では大きな格差が。
東京で働こうと考えている(既に東京で働いている方も)助産師としては、 この格差、気になりますよね。
転職を有利にするには、働きたいエリアの周産期事情を把握しておくことが大切。
という事で今回は、東京23区内と23区外の助産師にまつわるエリア事情について取り上げていきます。
●助産師にまつわるエリア事情 <東京23区エリア>
東京23区内には、産科・産婦人科を標榜する施設は417施設あり、東京都内にある産科・産婦人科施設の約半数が23区内に集中しています。
そのうち、病院は59、クリニック236、助産院は122施設となっています。周産期医療センター関連の医療施設については、都内の半数以上が23区内にあり、総合周産期母子医療センターが11、地域周産期母子医療センターが10、計21の周産期母子医療センターと周産期連携病院が7つあります。 <東京23区内にある周産期母子医療センターの一覧>
●総合周産期母子医療センター
愛育病院 | 港区 |
東京大学医学部附属病院 | 文京区 |
昭和大学病院 | 品川区 |
東邦大学医療センター大森病院 | 大田区 |
日本赤十字社医療センター | 渋谷区 |
国立成育医療研究センター | 世田谷区 |
東京女子医科大学病院 | 新宿区 |
都立大塚病院 | 豊島区 |
帝京大学医学部附属病院 | 板橋区 |
日本大学医学部附属板橋病院 | 板橋区 |
都立墨東病院 | 墨田区 |
聖路加国際病院 | 中央区 |
東京慈恵会医科大学附属病院 | 港区 |
順天堂大学医学部附属順天堂医院 | 文京区 |
東京医科歯科大学医学部附属病院 | 文京区 |
東京医科大学病院 | 新宿区 |
慶應義塾大学病院 | 新宿区 |
国立国際医療研究センター病院 | 新宿区 |
東京女子医科大学東医療センター | 荒川区 |
葛飾赤十字産院 | 葛飾区 |
賛育会病院 | 墨田区 |
日本医科大学付属病院 | 文京区 |
独立行政法人国立病院機構東京医療センター | 目黒区 |
東京北医療センター | 北区 |
東京都保健医療公社豊島病院 | 板橋区 |
順天堂大学医学部附属練馬病院 | 練馬区 |
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター | 葛飾区 |
昭和大学江東豊洲病院 | 江東区 |
引用:東京都周産期母子医療センター等の一覧周産期母子医療センターに認定されている病院が数多くある東京23区でも、周産期母子医療センターがない区もあります。杉並区、江戸川区、千代田区、中野区です。そのようなエリアでは、緊急時はどのようにしているのでしょうか。杉並区を例に見てみます。杉並区にある分娩可能施設は、3病院、5診療所、2助産院です。区内には、周産期母子医療センターはありませんが、杉並区周辺にある周産期母子医療センターは全て救急救命センターとしての役割を担っており、杉並区の東側は新宿方面へ、西側は武蔵野方面の3次救急の医療機関へと搬送を行っており、どちらも搬送時間は約15分。東京消防庁は、全国で唯一救急車の完全広域の運用を行っていますので、区内に周産期医療センターがなくても、近隣病院への即時搬送が可能となっているのです。東京都で働く助産師約3000名のうち約8割の助産師が23区内で勤務しており、東京都における周産期医療の資源や人材は23区に集中しているというのが23区内と23区外における周産期医療の実態です。近年増えている無痛分娩に関しても23区内の医療機関が占める割合は高くなっており、都内57施設のうち39の施設が東京23区内にあります。無痛分娩を希望する妊婦は「所得が高い」「夫婦共働き」という方が多いようで、無痛分娩を行なっている医療機関も所得層の高いエリアに多くなっており、世田谷区には最多の8施設、港区では4施設があります。そのほか東京23区で無痛分娩を行なっている医療機関があるのは、新宿区・千代田区・文京区・荒川区・豊島区・板橋区・江東区・中野区・江戸川区・練馬区・葛飾区・足立区・杉並区・大田区となっています。 ●助産師にまつわるエリア事情 <東京23区外:多摩地域>
東京23区外における助産師事情や施設事情はどうなっているのでしょうか。東京23区外のエリアは多摩地域と呼ばれており、多摩地域の中でも北多摩エリア、南多摩エリア、西多摩エリアに区分されます。まずは多摩地域の周産期母子医療センターの一覧から見ていきましょう。<東京23区外:多摩地域にある周産期母子医療センターの一覧>●総合周産期母子医療センター
・杏林大学医学部付属病院:三鷹市・都立多摩総合医療センター・小児総合医療センター:府中市
●地域周産期母子医療センター・町田市民病院:町田市・国家公務員共済組合連合会 立川病院:立川市・武蔵野赤十字病院:武蔵野市・公立昭和病院:小平市●周産期連携病院
・青梅市立総合病院:青梅市・日本医科大学多摩永山病院:多摩市・東京慈恵会医科大学附属第三病院:狛江市多摩地域では分娩を扱う施設数が減少しており
、出生1000人当たりの産科医の数は全国平均を下回っています。また、周産期母子医療センターといった医療資源や産科医、看護師、助産師等の人材が23区に比べてかなり少なく、東京都内とはいえ、地方における周産期医療の状況に似ている部分があります。
東京23区内と比べて医療格差が否めない多摩地域では、地域全体で周産期ネットワークの強化を図っており、各エリアの基幹病院が中心となって病診の連携活動を行なっています。今後の周産期医療の体制としては、リスクの高い新生児に対応した施設の強化や、母体救命対応総合周産期母子医療センターの新たなる指定が計画されているようです。■北多摩エリア北多摩と言われるエリアは、北多摩北部、北多摩南部、北多摩西部の3つから成り立っています。《北多摩北部:小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市》北多摩北部エリアでは101名の助産師が勤務しており、産科・産婦人科を標榜する医療機関は22施設。内訳は、病院が2施設、クリニックは8施設、助産院は10施設(分娩を行なっているのは2施設のみ)となっています。北多摩エリアを構成する3地域のうち、この北多摩北部が医療資源においては一番少ない状況です。無痛分娩を行なっている医療機関は、小平市、東久留米市、東村山市にありますので、無痛分娩に携わりたい助産師さんは、ぜひこのエリアで求人を探してみてはいかがでしょうか。※参考:東京都福祉保健局|平成27年度 東京都周産期医療施設における産前・産後支援等実施状況調査 報告書《北多摩南部:武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、狛江市》北多摩南部をはじめ、多摩地域における産婦人科診療の拠点となっているのが武蔵野市にある日本赤十字社武蔵野赤十字病院です。同病院は、助産師主体の衆参気管理を整備しており、年間分娩数1000件以上、手術件数1500件以上など、全国でも有数の症例数を誇っています。北多摩南部エリアで働く助産師の数は325名で、総合周産期母子医療センター2つ、地域周産期母子医療センター1つ、周産期連携病院が1つと、北多摩エリアの中で周産期の医療体制が一番整っている地域です。練馬区、杉並区、世田谷区にも隣接していますので、東京23区内への通勤アクセスも良好。ダブルワーク希望の助産師さんは、常勤で働く病院は北多摩南部で、ダブルワーク先は23区内で、というのも良いかもしれません。参考:東京都保健福祉局|第2章 北多摩南部保健医療圏の現況《北多摩西部:立川市、昭島市、国分寺市、国立市、東大和市、武蔵村山市》北多摩西部エリアには産科・産婦人科の施設が26施設あり、病院が4、クリニックが14、助産院が8となっています。エリア内では、国家公務員共済組合連合会 立川病院が地域周産期母子医療センターに指定されており、地域の中核病院としての役割を担っています。■南多摩エリア《関連地域:八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市》南多摩エリアには、町田市に地域周産期母子医療センターが1つ、多摩市に周産期連携病院が1つありますが、総合周産期母子医療センターはありません。南多摩エリアの産科医師の数は1000分娩あたり7名と、23区内に比べて半数以下となっています。また、南多摩エリアで一番面積が広く、人口も多い八王子市には周産期母子医療センターやNICUがありません。ハイリスク妊婦は八王子市外で出産しており、ハイリスク出生児も市外に搬送されています。南多摩エリアは、八王子市と町田市が神奈川県に隣接しており、特に町田市においては、東京23区内の間に神奈川県川崎市があり、神奈川県に食い込むような地理となっています。このように神奈川県と隣り合わせにあるエリアでは、母体の救急搬送は県の境を越えて行われています。■西多摩エリア《関連地域:青梅市、福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町》西多摩エリアでは、産科・産婦人科を標榜する施設はかなり少なく、病院3施設、クリニック5施設、助産院2施設の計10施設となっています。そんな西多摩では、青梅市立総合病院が周産期連携病院としてはエリアで唯一ミドルリスクまでの妊婦に対応しています。今後においては、周産期の連携病院を増やし、新生児搬送体制の強化が計画されています。 ◆まとめ
エリアごとの助産師事情はいかがでしたでしょうか。
東京で働く助産師の約8割が23区内というのにはびっくりしました。
23区内と23区外で施設数や助産師数など地域格差はありますが、
東京都は面積が狭いですし、母体救急搬送システムは全国トップレベル。
また、周産期の最後の砦と呼ばれる「母体救命対応総合周産期母子医療センター(スーパー総合周産期センター)」も6か所あります。
どのエリアに住んでいても、周産期における最先端医療に携われる機会が多いのは東京ならでは。
そんな東京で転職したいという助産師さんは、助産師の転職に強い看護師ワーカーでぜひ!