みなさんは、助産師の助産実践能力習熟段階クリニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢの認証制度をご存知ですか?
看護師には浸透している「ラダー」という言葉。しかし助産師のクラニカルラダー制度が出来上がったのはまだ記憶に新しい話なのです。助産師がクラニカルラダー認証制度を受けることで得られるメリットを知り、今後の「助産師としての在り方」について考えていきましょう。
【クリニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢの認証制度とは】
簡単にいうと、学校を卒業し就業後のキャリアプランのことを指します。 学校で勉強、実習してきた内容はあくまで基礎的な部分です。 しかし、医学や科学技術の進歩によって医療現場は日々変化していきます。 その変化に柔軟に対応し、良質な助産ケアを提供しつづけるための水準として設けられたのが「クラニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢ認証制度」なのです。
<クラニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢ認証制度の目的>
・妊産褥婦や新生児に対して、安全で質の高い助産ケアを提供する
・本制度によって助産師が継続的に自己啓発を行い、専門的能力を高める
・助産師自身が実践能力を自覚することで、より明確な目標をもって業務に取り組むことができる
・認証制度を設けることで、社会や組織が助産師の実践能力を客観視できる
などが挙げられます。
認証を得ると「アドバンス助産師」として認められます。 日本では、2018年12月現在、助産師の免許は更新制ではありません。 そのため免許を取得後、個々の助産師の経験や学習による能力を知る術がありません。 周産期医療提供環境により、助産師の実践能力の低下が懸念されている今、クラニカルラダー認証制度を通して助産師実践能力を高め、第三者に示すことが重要だと考えられています。 「クリニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢ」を認証された助産師は“自立して助産ケアを提供できる助産師”として公表することができるので、助産ケアの対象である妊産褥婦や、そのご家族への信頼にも繋がるでしょう。
【クリニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢの認証制度を受けるには?】
助産師のクラニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢ認証制度は、日本助産評価機構が認証機関となっています。
認証の仕組みとしては、新人・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳとレベルが分かれていて、今回の認証制度はレベルⅢが認証されることになります。
<レベルⅢへ到達するために必要なスキル>
・入院期間を通して、妊産褥婦や新生児の助産ケアを責任もって実践できる
・助産外来において、個々の状況を考慮したケアを自律的に実践できる
・助産外来において、指導者としての役割を実践できる
・院内助産において、自律的にケアを提供する事ができる
・ハイリスクの可能性を早期に発見し、対処できる
これらのスキルを満たしたうえで下記の手順で認証を進めていきます。
1)準備
システム上より会員登録、申請要件や日程を確認します。
認証を受けるには「自己」「他者」「上司」による評価が必要ですので、認証を受ける際にはまず看護部長以上の上司へ相談を行いましょう。
2)申請
申請者の現所属に応じた“承認者”の確認が必要です。
必要書類をプリントアウトし、承認者の署名と印鑑を得ましょう。
承認をもらえたらデータをアップロードします。
3)審査
事務局にて書類審査が行われます。結果はシステム上より確認が可能です。
場合によっては書類の再提出が必要になることもありますので、その際は指定期間内に再提出をします。
4)試験
試験はシステムを使って行われます。問題なく受験できる環境を準備しましょう。
必ず指定期間内に受験を行い、試験結果は審査時同様、システム上から確認が可能です。
5)認証
試験に合格したら「認証書」「認証カード」「認証バッジ」が郵送されます。
5年ごとの更新制ですので、更新年をシステム上で確認し忘れないようにしましょう。
【クリニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢ認証を取得するメリット】
今までの院内出産では、産科医が主導で行うものとされてきましたが、近年では助産師が主導になって行うケースも増えてきています。
とはいっても、高齢出産も増えてきている現状で、「リスクがある出産」と身構える妊婦も多いので、リスクを伴う出産を産科医ではなく、助産師へ任せることに抵抗がある人はまだ少なくありません。
こういった不安を取り除けるのが「クラニカルラダー/CLoCMiPレベルⅢ認証」いわゆるアドバンス助産師なのです。
認証試験に合格すれば手当がつく病院も徐々に増えてきています。
助産師としてのスキルアップだけでなく、給料アップにも繋がることは認証取得の十分なメリットといえるでしょう。
【助産師の今後】
助産師は、妊婦の出産をサポートする仕事ですが、現在の日本は高齢化が進んでいます。
出生率が低下し、高齢者の方が増える傾向にある中で「助産師は今後も需要があるのか」と不安になる人もいるでしょう。
正直、現在は出産のために設けられている施設が次々と閉鎖に追い込まれており、比例して産科医も減少しています。
産科医が減ると、妊婦は適材適所で診察を受ける事ができなくなります。
そこで注目されているのが助産師という存在なのです。
助産師が妊婦に直接“検診”や“指導”を行うことが検討され、助産師外来は今後更に需要が高まることが予測されています。
より一層、個々の助産師の経験値やスキルが求められるようになり、クラニカルラダー認定を取得している助産師の価値はあがっていくのではないでしょうか。
まとめ