看護師の勤務体制でよく目にする4週8休。
一見、「自分の好きにシフトを調整できるなんて嬉しい!」「土日よりも平日に休みが欲しかった」と魅力的に感じる一方で、実際に働いてみるとさまざまな部分に不満を感じてしまい、次第に「辞めようかな…、転職しようかな…」と考える方は意外と多いのではないでしょうか。
ここでは4週8休のメリットやデメリット、平日休みを楽しく乗りきる方法や4週8休以外の働き方についてご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
4週8休の仕組み
4週8休とは、4週間のうちに休みが8日ある休暇制度のことをいいます。 28日をひとつの区切りとして、そのなかで8日休みが割り振られる変形労働制(シフト制)となります。 1週間に2日休みが設けられる週2日制や完全週休二日制とは異なり、1週間に1日、3日…と休みが不規則になってしまうのが特徴です。おもに、休日の概念が薄い病院や介護施設、商業施設に多く導入されている働き方となっています。 4週8休の詳しい内容について知りたい方はこちら ▶4週8休と週休2日の違いは?年間休日が多い職場の見つけ方も紹介! 4週8休のメリット
4週8休制には、おもに2つのメリットがあります。
平日休みが取りやすい
固定労働制とは異なり、土日祝関係なく取得できるのが4週8休のメリットのひとつ。
例えば、役所や銀行など平日しか利用できない施設を利用することができます。
また、お子さんのいるママさん看護師にとっては学校行事などの際に有給休暇を使わなくても通常のシフトで調整することが可能です。
ほかにも、買い物や美容室など利用客の多い商業施設を比較的人の少ない時間帯に利用することができますし、お店によっては、平日の昼間にセールをおこなうこともあるので、平日休みの方にとってはお得な点ですよね。
調整次第では連休も取得できる
4週8休の場合、シフトの組み方によっては2日、3日程度の連休を取得することが可能です。一泊二日の温泉旅行に行ったり、好きなアーティストのライブを楽しんだりと目的に合わせて調整できるのが4週8休制の魅力です。
4週8休のデメリット
メリットがある一方で、もちろん4週8休制に対するデメリットも少なからず生じてしまいます。看護師にとってどの点に不満を感じてしまうのでしょうか。
生活リズムが狂いやすい
看護師の勤務形態は、二交代制と三交代制が一般的です。
おもに二交代制は「日勤」と「夜勤」の2つ、三交代制は「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つで構成されています。二交代制の場合、月の夜勤回数は4~6回となり夜勤の次の日には休みになるようシフトを調整します。
一方で三交代制は各8時間ずつの勤務。準夜勤、深夜勤を合わせると月9回前後も夜勤をしなければなりません。勤務時間が短い代わりにシフトが回ってくるペースも早いため、丸1日休日を確保できなかったり、休日の行動が制限されたりといったケースもあります。
4週8休の変形労働制も重なり、「眠らなければならないときに眠れない」「曜日間隔が分からなくなってきた」など、睡眠や生活リズムが崩れやすくなってしまう人は少なくありません。
家族や友人と休みが合わせにくい
平日休みは「人混みを避けて買い物ができる」といったメリットがある一方で、土日休みの子どもや夫、友人などと自分のシフトが合わず、なかなか予定が立てにくいといった悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
看護師同士で予定を合わせる場合にも、お互いのシフトを調整する必要がありますし、あらかじめ希望休を出して休みを合わせることは可能ですが、ほかのスタッフとの調整がうまくいかず渋々断念した…なんてことも。結果、平日休みを過ごす際はどうしても一人行動が多くなってしまいます。
シフトが出るまで予定が立てられない
4週8休のシフトの場合、月単位でシフトが決められます。そして、25日~月末までに翌月のシフトが発表されるため、シフトが決まるまでは予定が立てづらいといったデメリットがあります。
万が一、シフトの調整を誤ると休日を無駄に消費してしまう恐れがあるので、少し損をした気分を味わってしまった、なんてことも少なくありません。
連休が取れるかは会社次第
入院可能な病院は必ず誰かが働かなくてはなりません。そのため職員の欠員が出ないように看護師同士のシフト調整が必要不可欠となります。1日、2日程度の空きはまだしも、連休や長期休暇を取ろうものなら、必然的にほかのスタッフへの影響も大きくなってしまいます。会社の方針によっては連休を取得しづらい場合もあります。
3日、4日と連休を取りたいとお考えの方には適した環境とはいえません。
年末年始、クリスマス休暇が取りづらい
年末年始やクリスマス休暇が取りづらいといったケースは、とくに独身者に多い傾向にあるようです。おもに小さいお子さんのいるママさん看護師をメインに、イベント行事に合わせて子どもと過ごす時間を与えようと配慮する風潮ができてしまっていることが要因の一つ。
その結果、シフトの穴埋めは男性女性問わず独身者の看護師に宛てられてしまいます。
イベントのある休日は、とくに希望休が集中してしまうため多少は仕方のないことかもしれませんね…。
4週8休を楽しく乗りきる方法
さまざまな点から不満の声があがる4週8休制ですが、方法次第では平日の休みを楽しく乗りきることが可能です。「まだ慣れない…」といった方もぜひ参考にしてみてくださいね。
一人遊びを楽しむ(大人女子におすすめ)
昨今コロナウイルスの影響も重なり、大人数での移動が懸念される傾向にあります。ショッピングやカラオケなどの施設をふたりもしくはひとりで利用する人が増えているのです。普段自宅で過ごす毎日に飽き飽きしている方、買い物しかバリエーションがなく一人行動の幅を広げたい方におすすめです。 例えば、外でできる一人遊びとしては ・一人で美味しい飲食店に通う、ランチを楽しむ
・平日の昼間に映画館に映画鑑賞しにいく
・おしゃれなカフェで読書を楽しむ
・ホテルステイ!気になるホテルに一人で宿泊してみる
・温泉やスパで疲れたからだを癒す
・料理教室、習字、英会話などの習い事を始める
などがあります。何より自分のペースに合わせて集中して作業ができるので平日休みも決して悪くはありませんよ。 祝日は逆に損?イベント行事は別日で楽しもう
家族や恋人と当日にイベントを楽しめない寂しさはある一方で、病院によっては年末年始の時期になると、重症患者以外を一時退院しても良いとするところがあります。
その際には、看護師の受け持つ患者さんの人数が減るばかりか、年末年始手当がでるので負担は少なく金銭的にも潤います。
また、クリスマスやお正月などのイベントは、時期を多少前後しても街頭の装飾などある程度期間を設けて設置していることが多いです。当日ならではの人通りや雰囲気を味わうことはできませんが、あえて当日を避けることで二人だけの静かな時間を過ごすことが可能です。
眠くないときは無理に寝ない
夜勤後は体力を回復させるためにも、無理やりにでも睡眠をとろうとする気持ちはわかります。
しかし、気分が高まっていたり疲れを感じず…寝たいのに眠れないことってありますよね。昼間、無理して寝ようとすることで生活リズムが崩れてしまい、かえって夜になれなくなってしまう…なんてことも。
夜勤のある仕事で、快適な睡眠をとるためには“日中眠くなったら2時間くらいの仮眠をとる”そして“夜は普段と変わらない時間に寝る”のがコツですよ。
それでも4週8休の働き方がツライと感じたら…
4週8休制の職場以外にも、看護師が活躍できる場所はさまざまあります。 日勤のみの医療施設もありますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。訪問看護ステーション
訪問看護師の仕事は、基本的に日勤のみとなっており夜勤の仕事はありません。 24時間体制でオンコールの対応を必須としているところもありますが、オンコールの頻度に差があったり2人体制を組んでいたりと勤務先によって異なります。 訪問看護を検討される際には、希望先の施設に勤務体制を確認してみるとよいですね。 【関連記事】 ▶訪問看護で働く看護師の仕事内容とやりがい 保育園
「土日祝休み」で求人を探す際に、意外と多く見受けられるのが保育園の求人募集。 低年齢児の入園が増加していることから保育園での看護師の需要は年々高まってきています。 早番、遅番はありますが、基本的に開園時間内での勤務となります。そのため、24時間開園している園でないかぎり、夜勤を行うことはありません。 カレンダーに沿って活動していることから、年末年始、夏季休暇などもあるのでプライベートの時間を確保できるのが魅力のひとつです。 【関連記事】 ▶准看護師は保育園で働くことができる!仕事内容は?給料は? 診療所(クリニック)
診療所(クリニック)は、日中に体調不良や慢性疾患などで診療が必要な方の相談にのる医療施設。病院に比べて1日に来院する患者数は少なく、病院のような夜勤はありません。 また、午前と午後で診療を区切っているので、昼休みがきちんと確保されているほか、おもな診療は平日を限定しており、休日の診療は半日だけといったケースがほとんどです。 その点、福利厚生の面では大きな病院と比べるとやや劣ってしまいますが、ゆとりのある働き方を希望される方におすすめの施設です。 【関連記事】 ▶クリニックに転職を考える若手看護師さんへ~知っておきたい!病院との違いや給料について~
企業立病院
企業立病院とは、民間企業が設置・運営する病院のことです。あくまでその企業で働く従業員と家族を対象としている場合が多く、1日の患者数にも限りがあります。時間に追われることが少なく、一人ひとりのケアに重点を置けることが特徴です。 また、企業が主体となって運営していることから、従業員と同じ福利厚生や休日を受けられるのもメリットのひとつ。ただし、ほかの医療施設に比べて求人数が少ないので、募集していないかこまめにチェックする必要があります。 どんな道があるのかはイメージできたけれど、どれを選択すべきか迷う・・・という方は、看護師専門の転職サイト「看護師ワーカー」のアドバイザーに相談してみませんか? これまでの経験や適性、希望に沿った転職先を紹介してもらうことができます。 さいごに
いかがでしたでしょうか。 看護師さんにとってはあまりメリットがないように思える4週8休制ですが、その理由はあくまで「患者さん」を主体とする勤務体制だからです。
怪我や疾患を抱えて、治療が必要な患者さんのケアをおこなうのが本来の看護師の仕事。
「24時間入院が必要な患者さんにケアをしてあげたい」
「いろんな症例を経験して自分のスキルを上げたい」
そんな方に4週8休制は適した環境といえるでしょう。
しかし一方で、変則的なシフトに体調を崩してしまった方や家庭との両立を目指したい方、土日に固定し日常生活をルーティーン化したい方には、前述でも紹介した日勤のみの仕事をおすすめします。
自身にとって何を優先とするのかを今一度考えてみましょう。
看護師さん自身の目的、ライフスタイルに合わせた働き方を目指してみてくださいね。