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看護師を護る看護職賠償責任保険制度について

看護師を護る看護職賠償責任保険制度について

更新日:2022.02.22

公開日:2018.04.06

看護師の仕事は患者さんを救うことです。
それはとても素晴らしいことで何事にも変えられない仕事でもあります。
しかし、現代の医療は大変複雑で業務上のリスクがとても高いです。
医療事故も大なり小なり起きています。
その医療事故で看護師個人を護るのが看護職賠償責任保険制度です。
今回は看護職賠償責任保険制度についてまとめました。

看護職賠償責任保険制度とは

看護職賠償責任保険制度とは

看護職賠償責任保険制度は、日本看護協会を団体保険契約者とする賠償責任保険普通保険約款看護職特約条項を主とする看護師個人の保険制度です。現代の医療は高度複雑化しており、昔ならば医師が全てしていた医療も看護職が独自の判断で行えることが増えました。

看護職が行える業務が広がるのは良いことですが、それに伴い看護職が法的責任を問われる事例が出てきています。この様な背景から看護職賠償責任保険制度が作られました。

病院は看護師を守ってはくれない。裁判事例。

病院は看護師を守ってはくれない。裁判事例。

看護師を護る看護職賠償責任保険制度
医療事故が発生した場合、患者やその家族は病院やその状況によって医師や看護職を訴えることがあります。
何らかの損害が発生した場合、病院の医療法人保険でカバーできることもありますが、その病院が看護職を訴えることもあります。
以下は実際にあった裁判事例です。

平成16年3月東京地裁
・看護記録の記載未記入により、実際の死因は不明だが看護職がケアをしていたのか不明な為、訴えられた。

平成21年1月大阪地裁
・介護老人施設で患者がぜい鳴と脈拍低下などの病態が悪化しているのいも関わらず、担当していた准看護師が医師に診察を受けさせることをしなかった。

平成13年9月東京高裁
・精神病患者に対し、催眠鎮静剤イソミタールを投与したが、本作用の呼吸抑止作用と副作用の舌根沈下が生じ窒息死した事例。

平成20年2月札幌地裁
・心拍数が設定値以外になるとアラームが鳴る患者さんに、医師は看護師に「アラームに注意するように」指示したにも関わらず、アラームがなっても看護師が確認せず患者が死亡した事例。

これらは医療施設ではなく、それを担当した看護職が訴えられています。
そしてこれらの一部は看護師過失の判例が出ています。
新聞やテレビで取り上げられることは稀ですが、実際にはこの様に看護師自身が裁判で訴えられることが起きています。

看護職賠償責任保険制度で守れること

看護職賠償責任保険制度で守れること

看護職用の賠償保険ですので、通常の保険とは違うものが守れます。

対人賠償:誤った薬剤投与で患者さんに障害を負わせた際の治療費、慰謝料、入院料など
対物賠償:患者さんの持ち物(メガネ、時計、補聴器など)を破損してしまった際の賠償
初期対応費用:見舞い品の購入や、弁護士費用
人格権侵害:患者さんから名誉、プライバシーを傷付けられたと訴えられた場合など。

基本的には上記4つの賠償に対応していますが、それ以外にも訴訟までに行かないトラブルでも相談に乗ってくれたりもします。
基本的に病院は守ってはくれませんし、患者さんの話を優先するので公平に見てはくれません。
そんな時に保険で弁護士さんに入って貰い解決したトラブルも多数あります。

まとめ

看護職で働いていくには必須では無いかと思う看護職賠償責任保険制度ですが、加入率は25%程です。
保険を知らないのか、私は大丈夫と思っておられるのかは分かりません。
ただ、医療事故のトラブルで数千万円の賠償額が発生することがある昨今、看護職賠償責任保険制度に加入していない看護職の方は入るべきではないでしょうか。
年間で2,650円の安い掛け金で入れるのも大きなメリットです。

※掲載情報は公開日あるいは更新日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。