看護方式PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)を知っていますか?福井大学医学部附属病院が2009年に提唱した新しい看護方式です。
看護師の負担を軽減するために作られたPNSとは具体的にはどんなものなのか。
このPNSの概要とメリット・デメリットをまとめました。
そもそも看護方式って何?
看護方式とは、看護師が複数人でのチームを組み、患者さんに対応していく方法を言います。
看護師1人だけでは患者さんに対してミスが起きてしまったり、ミスに気付けなかったりと医療ミスが起きてしまいます。看護師がチームとなって看護に取り組むことは患者さんのためにも看護師のためにもなるのです。看護方式は複数あり、どの方式を採用しているかは医療施設によって異なります。転職する際は、どの看護方式を使っているのかをチェックするようにしましょう。
・チームナーシング方式
チームナーシングは、アメリカで作られた看護方式です。
1つの病棟に対して、2つ以上の固定されたチームを作り、チームリーダーの下にチームで患者さんを受け持つ方式です。
チームメンバーの看護能力を平均化させ、患者さんに対して一定水準の看護を提供するために考えられました。
若手からベテランまでまとめてのチームですので、若手の成長や看護水準の向上メリットがありますが、チームリーダーの能力に依存してしまうデメリットもあります。
・プライマリーナーシング方式
プライマリーナーシング方式もアメリカで作られた看護方式です。
1人の看護師が患者さんの入院から退院の最後まで受け持つ方式です。
1人で見るとはいっても24時間対応できるわけではありませんので、サポート看護師であるアソシエート看護師が付きます。
1人の看護師が見るので、細かな変化やきめ細かい看護が出来るメリットがある一方で、看護師の能力に完全に依存してしまうことで、看護師の能力差による看護水準の低下のデメリットがあります。
・モジュール型看護方式
モジュール型看護方式は上記2つとは違い、日本で作られた看護方式です。
アメリカとは違い、看護師数が絶対的に少ない日本ではチームナーシングやプライマリーナーシングは扱いにくいため、両方を合わせた看護方式です。
モジュール型看護方式は、1つの病棟に対して2つ以上のチームを作り、そのチームで担当する患者さんを1人の看護師が入院から退院まで担当します。
患者さんに対して1人の看護師が対応しますが、チーム制ですので看護水準が落ちない様にリーダーのフォローが入ったり、看護計画もチーム内で考えることが出来たりとメリットがあります。
デメリットとして看護師が自立心を持たない人が育つ可能性がある部分があります。
メリットに対してデメリットが少ないことや看護師数が少なくても維持できる看護方式のため、日本では一番使われている看護方式になります。
他に業務ごとに担当を用意する機能別看護方式があります。
こんな看護方式のなかで、新しい看護方式PNSが作られました。
PNSの概要とメリットデメリット
PNSの最大の特徴は、二人以上の看護師で複数の患者さんを受け持つことです。2人以上ですることで自己完結型での患者さんに対する不安の解消や、安心安全な看護の提供、患者さんのニーズに対応し易くなるといった目的で作られました。PNSでは2名一組のパートナーが基本ですが、新人さんのOJT用にベテラン2名+新人1名の3人体制のPNSを組む医療施設もあります。エルダーナース制度と似ていますが、エルダー制度では期間限定ですがPNSでは常に2名以上で組みますので新人さんは元より、ブランク明けの看護師にとっても安心できる看護方式です。PNSはそれまであった看護方式のデメリットを改善するために作られたので、看護師や患者さんにとっては様々なメリットがありますが、今までとは違うデメリットも出てきています。<PNSのメリット>
・パートナー同士でスキルの確認やスキルアップ・患者さんの情報確認の共有化、それによる看護の質向上・相談がしやすくなる・新人やブランク明け看護師のOJTの質向上・成果を共有できるのでモチベーションの維持ができる・超過勤務の軽減・患者として、看護師が2名なので安心感がある・患者として、投薬時などのリスク減少<PNSのデメリット>
・看護師の増員が必要になる。・ベテラン看護師の負担が増える・人間関係の良し悪しに左右される・何らかの理由で退職されるとパートナーを再度組み直すのが大変 まとめ
大学病院を中心に導入されてきているPNS。
今までの看護方式とは違うデメリットもありますが、看護師が患者さんに提供する看護の質が向上するメリットもあります。
PNSで重要なのはパートナー同士が相手を信頼し価値観を共有することですが、それが上手くできればデメリットも減っていくでしょう。
現在はチームナーシングやモジュール型看護方式が多いですが、PNSを使う時もそのうち来ます。
その時まで、医療機関の報告や論文などに目を通しておいてくださいね。