仕事・スキル

循環器専門ナース(看護師の資格)

循環器専門ナース

更新日:2021.07.02

公開日:2020.08.19

1.循環器専門ナースの資格とは

循環器専門ナースとは、心筋梗塞や心不全などの心臓循環器疾患に関しての実践的な知識を有する看護師のことをいいます。

臓器は人間が生きる上でどれも大切な役割を担っていますが、中でも特に心臓や血管は直接命に関わるため、看護師の行動が非常に重要になってきます。
認定試験に関しては臨床心臓病学教育研究会が行っています。

2.循環器専門ナースはどんな仕事?

循環器専門ナースは心臓外科手術に関わることも多いため、専門性の高い知識と迅速な対応が必要不可欠です。
他にも循環器における問診や触診、運動療法によるリハビリ、心電図やX線検査など仕事内容は多岐にわたります。

また、ペースメーカーを着けている方や心臓疾患を患っている方の相談に乗ったり、健康管理指導を行ったりと患者の不安を少しでも和らげることも循環器専門ナースの重要な仕事です。

3.循環器専門ナースにになるには

循環器専門ナースの資格を取るには以下の条件を満たす必要があります。 

【受験資格】

准看護師と正看護師の実務経験が5年以上必要(看護師の実務経験が1年以上は必要) 

【取得方法】

循環器専門ナースの資格を取得するには、大阪のJECCS研修センターにて研修を受けなければなりません。 
夏季(7月~9月)、冬季(1月~3月)の年2回、全8日間工程で研修が行われます。期間内の隔週土日に開催されており、第1~6日目はWeb講義形式、第7~8回目は対面研修となっています。 

研修の募集案内は、夏季コース 3月上旬、冬季コース9月上旬 Webサイトにて案内を掲載していますのでチェックしてみましょう。

【資格取得にかかる費用】

資格試験を受けるためには、まず研修費と教材費が必要となります。 
JECCSの会員であれば160,000円(非会員の場合 170,000円)。※2020年時点 

さらに、この資格試験の研修先は大阪のみとなっていますので、別途交通費と宿泊滞在費がかかります。応募する際には、あらかじめ費用を計算したうえで申し込むようにしましょう。 
 

【研修の内容】

循環器専門ナースの研修は、おもに心臓の解剖整理から最新の循環器動向のほか、循環器に関する知識を幅広く学ぶことが出来ます。また、グループワーク形式で行ったり、「イチロー」を用いた実戦形式で研修を行います。 

【資格更新】

循環器専門ナースの資格更新には、研修後5年継続してJECCSの会員を続けなければなりません。更新試験受験料(2,000円)を納付したのち、問題用紙と解答用紙が郵送で送られてきます。 

更新試験は、自宅で受けることができ、公式サイトからダウンロードした最新版のテキストを見ながら解答することが可能です。 

(参考:公益社団法人臨床心臓病学教育研究会『循環器専門ナース研修 認定試験・認定更新試験について』) 

4.循環器専門ナースになるのは難しい?

認定試験は、基本的にWeb上で行います。研修で学んだ範囲が出題されて、テキストを見ながら試験を受けることが可能です。 

ですので、循環器専門ナースの資格試験の難易度はそこまで高いとはいえないでしょう。 

問題は、“抽選に選ばれるかどうか”が一番の鬼門ではないでしょうか。 

例年であれば、定員44名となるところを近年新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から枠を縮小し定員20名までとなっています。(※2020年度時点)応募の倍率は3倍を下回る結果となっておりますので、まずは抽選に当選することが重要となってきます。 

5.循環器専門ナースになるメリット・デメリット

循環器科で働くとなると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

・看護師としてスキルアップができる 
・最新医療や機器類の知識と経験がより身に付く 
・需要があるので、転職時に有利 

循環器専門ナースになると、心電図を読み取る力やアセスメント力が身に付き、データから患者さんの異変を早期に気付くことができます。また、循環器科は心臓や血管に関する医療を行いますので、常に最先端の技術に触れることができるのも魅力のひとつ。 

そのほかにも循環器科専門ナースの資格があれば、看護師としての活躍の幅が大きく広がります。循環器内科から、ICUや介護施設、消化器外科などにキャリアアップする方は少なくありません。もちろん、循環器科で循環器をさらに極めたいという方もいますよ。

デメリット

・残業や夜勤が多い 
・常に緊張感が求められる現場 
・研修、勉強会が多い 

循環器科で働くとなると、多少なりともデメリットは生じてしまいます。 
通常病棟の看護師と比べると、比較的残業が多く、夜勤時は患者さんの急変に臨機応変に対応しなければなりません。 

また、重症患者の割合が多い循環器科では、ときに容体が急変し残念ながら亡くなってしまう患者さんも少なくありません。常に死と隣り合わせの現場に、人によっては強いストレスを感じてしまうこともあるでしょう。 

専門性の高い循環器科では、定期的に研修や勉強会が開講されます。仕事の合間を縫って勉強もしなければならないため、人によっては忙しいと感じることもあるかと思います。 
しかし、その分ほかでは得られない知識やスキルを身につけられるので、時間的デメリットではあるものの、得られるものも大きいです。 

6.循環器専門ナースの現状と今後

近年、厚生労働省の健康局 がん・疾病対策課が発表した「循環器病対策の現状等について(※1)」によれば、2018年の国内の死亡原因のうち心疾患・脳血管疾患の両方を合わせた循環器病は、悪性新生物(がん)の次に多いということが分かりました。 

それにより、今後はさらに循環器科の需要は高まると予想されます。 

循環器科で多くの知識を身につけたい、一人でも多くの患者さんの手助けをしたい、循環器専門ナースに興味のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 

(※1 厚生労働省『循環器病対策の現状等について』) 


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