仕事・スキル

インターベンションエキスパートナース(INE)(看護師の資格)

インターベンションエキスパートナース(INE)

更新日:2021.08.23

公開日:2020.08.19

1.インターベンションエキスパートナース(INE)の資格とは

インターベンションエキスパートナース(INE)とはカテーテルを用いる治療や検査に関して、高度な技術と専門的な知識を有する看護師に認められた資格です。 この資格は日本インターベンショナルラジオロジー(IVR)学会が進めていた看護師専門制度(IVR看護師)をもとにして作られました。

のちに、日本心血管インターベーション治療学会(CVIT)と共同運営を行って2012年にインターベンションエキスパートナース(INE)という新しい名称の看護師専門制度を完成させました。 現在も2学会によって認定試験が実施されています。

2.インターベンションエキスパートナース(INE)はどんな仕事?

インターベンション治療とは心臓や血管などにカテーテルを挿入し患部の治療を行う術式のことをいいます。 カテーテルを扱う際には迅速な行動と判断が重要になってきます。インターベンション治療を行うとき、インターベンションエキスパートナース(INE)が一人でもいることで治療の精度と効率が上がります。

インターベンションエキスパートナース(INE)の役割は、医師の指示のもと動くだけではなく、患者のパートナーになることが求められています。患者の不安を少しでも取り除くために治療説明を十分に行って、コミュニケーションをとりながらケアを行っていくことが重要です。

現在、インターベンションエキスパートナース(INE)はがん治療や動脈硬化、ドレナージなど様々な分野で必要不可欠な存在となっています。

3.インターベンションエキスパートナース(INE)になるには

【受験資格】

インターベンションエキスパートナース(INE)になるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。 

看護師免許を持っていること(准看護師でもよい) 
看護師として3年以上の実務経験を積んでいること 
● IVR専門医あるいはCVIT専門医の下で100例以上の看護経験があること 
インターベンションエキスパートナース講習会を2年間に1回以上受講していること 

※両学会の会員である必要はない 

【取得までの流れ】

つぎに、資格取得までのおもな流れについて説明していきます。項目ごとに注意すべきポイントがありますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。 

『講習会の受講』 
認定試験の受験資格を得るために『インターベンションエキスパートナース(INE)講習会』を1回以上受講しておく必要があります。 

講習会の内容は以下のとおりです。 
●INRの概念について 
●血管系、非血管系INRの基本 
●心臓INRの基本 
●INRの一般的管理および副作用、ICについて 
●IVRにおけるX線被爆防護の知識 
●IVRの看護について 

参加費(5,000円)を支払い、講習会を2年のうち1回受講すれば受験資格を得ることができます。現在は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からWebでの開催を検討しているようです。講習会参加を検討されている方は、こまめにホームページをチェックするようにしましょう。 

↓ 

『認定試験申込』 
認定試験を受験するには、必要書類を提出し申請手続きをおこなう必要があります。  

申請時に必要な書類は以下のとおりです。 
①受験申込書(様式 1)  原本 1 部とそのコピー1 部 
②看護経験症例数報告書 
・IVR 専門医またはCVIT 専門医のもとでの症例数報告書 
※主な介助者として携わった症例を対象とします。 
※両方の専門医の下での症例を合計して 100 症例が必要です。一方の専門医のみの 100 
症例でも問題ありません。認定医の下での症例は対象になりません。 
③看護師職務経歴書 
④IVR、CVIT 専門医による症例経験証明書 
⑤上司(看護師長、看護部長等)による看護師職務経験証明書 
⑥看護師免許のコピー  
⑦必須講習会出席証明書のコピー  
⑧受験料(6,050 円)の銀行振込み票のコピー  
⑨受験票返信用封筒 1 枚 
 
申込書のフォーマットや詳細についてはホームページをご覧ください。 
インターベンション エキスパート ナース  ホームページ 

↓ 

『書類審査』 
提出された書類は後日担当委員が診査を行います。書類を提出してから約2か月後には審査の結果がわかります。万が一、書類審査で不合格となった場合でも受験料の返金はありませんのでご注意ください。 

↓ 

『認定試験』 
書類審査に合格された方には約2か月後に事務局から受験票が送付されます。 
試験は、50問の択一問題と記述問題で構成されています。試験対策としては、INEのホームページにて過去におこなわれた試験の問題がすべて公開されていますので、事前にしっかり勉強をしておくとよいでしょう。 

↓ 

『合格発表』 
合格者は5月下旬にホームページで発表され、6月末までに認定証が送付されます。 

【更新について】

資格取得後は、5年ごとに更新をしなければなりません。 
対象学術集会への参加や集会での発表を行い、50単位以上取得していることが更新の条件となります。 

こちらも講習会と同様に、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から更新期間を1年後ろ倒しに変更されています。今後のスケジュールについては、こまめにホームページをチェックするようにしましょう。 

4.インターベンションエキスパートナース(INE)をとるのは難しい?

認定試験を受けるためには IVR 専門医またはCVIT 専門医のもとで100例以上の看護経験を積む必要があるため、インターベンション治療が行われている大きな病院に勤務していることが資格取得の第一条件となります。
またINEは、2012年にスタートした比較的新しい資格となるため、資格に関する情報があまりないことから資格取得までの道のりは険しくなることが予想されます。 

5.インターベンションエキスパートナース(INE)をとることのメリットデメリット

IVR専門医またはCVIT専門医の下で、ある程度看護経験を積んでいることが受験資格の条件であるため、専門医がいない職場で勤務している場合は、転職活動から行わなければならないことがデメリットのひとつといえるでしょう。タイミングによっては、転職先が職員を募集していない状況もあり得るかもしれません。

しかし、インターベンション治療は日々進歩しており、専門性の高い知識を持つインターベンションエキスパートナース(INE)を必要とする医療機関は増加してきています。 また、医療機関によっては資格手当が支給されたり、今後の転職が有利になったりと資格取得によるメリットは多くあります。 

6.インターベンションエキスパートナース(INE)の現状と今後

高齢化が進む現代において、身体の負担が少ないインターベンション治療の評価は年々高まりつつあります。それにより新しい治療器具が導入され、専門性をもった看護師が求められる時代となりました。 

インターベンションエキスパートナースは、そんな最先端医療で活躍する看護師の一人です。資格取得を目指すには、それなりの経験や時間が必要となりますが、取得することでさらなるキャリアアップの幅が広がることは間違いないでしょう。 

最先端医療の現場で働きたいという方や今後キャリアアップを望む方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。 

※掲載情報は公開日あるいは更新日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。