1.禁煙支援士の資格とは
禁煙支援士とは禁煙を広め、禁煙したい方をサポートする専門家のことをいいます。日本禁煙科学会が2008年から認定を行っていた「禁煙支援者」認定制度を2012年に「禁煙支援士」認定制度と改称し、運営を再スタートさせました。
また、現在は「初級禁煙支援士」「中級禁煙支援士」「上級禁煙支援士」と3つのコースに分けて認定されており、ステップアップもできる資格となっています。
2.禁煙支援士はどんな仕事?
禁煙したいという方の多くは、たばこを吸うことが習慣になっていてなかなかやめられないと悩んでいます。そんな困っている方々のために、心理学に基づいて心や行動のコントロールを促し、たばこを吸いたい環境を変えていくことが禁煙支援士の仕事となっています。 喫煙する人の気持ちを否定するのではなく、いつから喫煙しているか、なぜ喫煙するのか、など順を追ってヒアリングし、一人一人個別に禁煙指導を行うことが禁煙支援士に求められている役割です。 治療や手術を控えていて禁煙が必要な患者は多く、現代において禁煙支援士の役割は重要なものとなってきています。
3.禁煙支援士になるには
では実際に、どのような手順で禁煙支援士を取得していくのでしょうか。必要な条件と取得までの流れについて解説していきます。
【受験資格】
禁煙支援士になるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
〇全コース共通
・日本禁煙科学会の会員になっていること
〇初級
・認定講習会などの参加点を2点取得していること
・筆記試験に合格していること
〇中級
・認定講習会などの参加点を5点取得していること(筆記試験を受けてから参加点を満たすのでも構わない)
・初級禁煙支援士取得者であり、年会費が支払済みであること
〇上級
・認定講習会などの参加点を12点以上取得していること
・30ポイント以上の教育研究点を取得していること
・中級の資格を取得しており、年会費を支払っていること
【取得までの流れ】
つぎに、資格取得までのおもな流れについて説明していきます。項目ごとに注意すべきポイントがありますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
『講習会受講』
どのコースにおいても講習会は必ず受講しなければなりません。 日本禁煙科学会学術総会、日本禁煙科学会認定全国禁煙アドバイザー育成講習会などに参加し、所定の参加点を取得する必要があります。
各講習会の付与される点数は以下のとおりです。
●日本禁煙科学会学術総会: 3点
●日本禁煙科学会が主催・共催する講習会など(2日間): 3点
●日本禁煙科学会が主催・共催sる講習会など(1日間): 2点
●日本禁煙科学会が後援する講習会など: 1点
これらの講習会に参加し、初級の場合2点以上、中級の場合5点、上級となると12点以上取得する必要があります。また、参加点には5年といった有効期限が設けられています。一度取得していればいつでも加算できる、というわけではありませんのであらかじめご注意ください。
↓
『筆記試験』 ※初級のみ
初級禁煙支援士に限り、禁煙支援士筆記試験合格が認定条件のひとつとされています。学術総会あるいは全国禁煙アドバイザー育成講習会にて筆記試験が実施されます。
ですので、筆記試験を受けるためには学術総会、または全国禁煙アドバイザー育成講習会に参加する必要があります。
※全国禁煙アドバイザー育成講習会での筆記試験の開催予定についてはホームページの「認定講習会開催プログラム」でご確認ください。また、筆記試験の合否は試験終了後本人に通知されます。
↓
『認定申請』
条件をすべて満たしたあとは、日本禁煙科学会のホームページから所定の事項を記入のうえ申請をおこなう必要があります。申請の際には、資格ごとに申請フォームが異なりますので、お間違いのないように注意してください。
認定が認められると事務局より認定通知が届きます。
その後、登録審査料(初級・中級の場合は5,000円、上級の場合は30,000円)を振込み、事務局に振込通知メールを送ると認定証が送付されます。
【更新について】
資格取得後は、5年ごとに更新をする必要があります。資格取得時と同様に、日本禁煙科学会のホームページから資格ごとに申請を行います。
<更新条件>
更新の際には、以下の条件を満たす必要があります。
初級 | 更新日までに、新たに認定講習会などの参加点を2点取得していること |
中級 | 更新日までに、新たに認定講習会などの参加点を5点取得していること |
上級 | 更新日までに、新たに認定講習会などの参加点を12点以上取得していること |
<更新料>
更新料は資格ごとに金額が異なりますのでご注意ください。
初級・中級の場合 | 5,000円 |
上級の場合 | 30,000円 |
4.禁煙支援士をとるのは難しい?
筆記試験の合格率は公表されていませんが、試験の出題内容は日本禁煙科学会が出版している『禁煙指導・支援者のための禁煙科学』から出題されると決まっているため、比較的対策はしやすいと考えられます。
また、中級禁煙支援士と上級禁煙支援士の認定申請の機会は年に2回ずつあり、実績を積めば1年で上級禁煙支援士の資格を取得することも可能です。
5.禁煙支援士をとることのメリット・デメリット
禁煙支援士の資格取得によるデメリットについては特にありません。 初級禁煙支援士と中級禁煙支援士の受験資格を得るのは困難なことではなく、ほかの資格と比べて費用もそれほどかかりません。
また産業看護師として働く方にとって、禁煙支援士の資格はとても重要なものとなってきます。
なぜなら、近年保険料縮小のために社員の禁煙を進めている企業は多く、禁煙に関する正しい知識をもった看護師は欠かせない存在だからです。
企業で働く産業看護師が禁煙に関する専門的な知識を得ることで、より高いレベルの指導を行えるとともに禁煙する人の数が実績として残れば社内からの評価も上がることでしょう。
6.禁煙支援士の現状と今後
現代では外でも簡単にはたばこが吸えなくなってきており、喫煙所の数も減少しています。禁煙しようと考えている方も増加しているなか、禁煙支援士はとても重要な役割をもっています。
また、禁煙外来のある病院やクリニックも年々増加してきています。今後、これらのニーズはますます高まると予想されるため、禁煙支援士の資格を取得しておくことで転職も有利になると考えられるでしょう。