仕事・スキル

視能訓練士(看護師の資格)

視能訓練士

更新日:2021.10.19

公開日:2020.08.19

1.視能訓練士の資格とは

視能訓練士(オルソプティスト:Orthoptist)とは、昭和46年に制定された「視能訓練士法」という法律に基づく国家資格です。 
 
病気や事故などによって視機能の障害が生じた患者に対して検査や矯正訓練などを行い、回復を図ります。「見ること」「見えること」の楽しさを伝える専門職とも言えるでしょう。 
 
簡単な視力検査や眼圧検査などは無資格でも行う事ができ、小さな診療所では、医師が検査から治療まで一人で行っているケースも多いようです。しかし、目は複雑な器官であるために、症状によっては無資格では行えない検査が必須となる場合もあります。さらに、検査用の機器も年々複雑になっており、専門の知識を有している視能訓練士はとても注目度の高い資格と言えるでしょう。 
 
日本では視能訓練士の歴史はまだ浅く、眼科医が約13,300名に対して視能訓練士は約7,700名しかおらず、今後一層の人材育成が期待されます。 

(参考:厚生労働省『平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』)

2.視能訓練士の仕事内容は?

視能訓練士の主な仕事は、乳幼児からお年寄りまで世代を超え、検査や矯正訓練を通じて人間の一生に関わる「目」の健康管理を行う事です。  眼科などの医療施設で医師の指示のもと、私たちになじみの深い視力検査やメガネ・コンタクトレンズの処方をはじめ、両眼視機能の回復(弱視や斜視の訓練治療)を行い、遠視・近視・乱視といったような屈折異常の検査、白内障や緑内障などの眼疾患に関する検査など、目に関する多種多様な検査を行う事も大切な業務です。  また、社会問題でもある高齢化社会・生活習慣病の蔓延などに伴って、視機能が十分に回復しない方へ早期にロービジョンケアを開始し、必要な補助具を選定した上で使い方を指導する「目のリハビリ業務」も行います。また、学校や職場の集団検診にも携わることもあるでしょう。  最近では、レーシッククリニックにて手術のサポートをする視能訓練士も増加傾向にあるようです。 

3.視能訓練士になるには?

視能訓練士の養成機関にて一定期間学び、国家試験に合格し「視能訓練士」の資格を取得する必要があります。 
この資格には有効期限や更新義務がないために、一度試験に合格したら生涯にわたり「視能訓練士」を名乗ることができます。 
 

では実際に、どのような手順で視能訓練士を取得していくのでしょうか。必要な条件と取得までの流れについて解説していきます。 

【受験資格】

視能訓練士になるためには、以下の条件のうちいずれかを満たす必要があります。 

●高校卒業後に指定の視能訓練士養成施設を3年以上学び、卒業したもの 
●大学や短大、または医療系保育系専門学校卒業後、指定の養成施設で1年以上修業したもの 
●外国で視能訓練士の学校を卒業したもの 
 
以上3点のいずれかの条件を満たすことで、受験資格が与えられます。 

【取得までの流れ】

つぎに、資格取得までのおもな流れについて説明していきます。項目ごとに注意すべきポイントがありますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。 


『視能訓練士に関する養成学校に通う』 
上述にもあるように、視能訓練士になるためには養成施設に通い専門知識を身につける必要があります。高校を卒業後、指定の視能訓練士養成施設で3年以上経験を積むほか、大学や短期大学にて指定科目を履修したのち、日本視能訓練士協会が指定する養成施設にて1年以上知識や技術を習得する方法もあります。 

また、外国の視能訓練士学校を卒業しており、日本の養成学校で学ぶ内容と同等の技術があると厚生労働大臣が認定した場合、視能訓練士の受験資格を得ることができます。 

どちらにしても視能訓練士の資格を取得するためには、“養成学校を卒業する”ことが条件となります。 
社会人から目指したいとお考えの方は、養成学校に通うことから始めましょう。必要な単位を履修している方であれば、1年制の養成校に入学することも可能です。 
 

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『国家試験』 
いずれかの条件を満たした後は、いよいよ国家試験となります。 
国家試験を受けるためには、以下の必要書類をすべて提出しなければなりません。 

【必要書類】
・受験願書 
・縦6cm×横4cmの証明写真 
・返信用封筒 
・就業証明書もしくは卒業証明書(見込みも可) 
・視能訓練士国家試験受験資格認定書のコピー 
・受験料(15,800円)分の収入印紙 

必要書類をすべて提出し、手続きが完了したらいよいよ国家試験を受けることができます。国家試験は年に1回のみとなっており、東京都または大阪府にて開催されています。 

試験に出題されるおもな科目はこちらです。 
【試験科目】 
・基礎医学大要 
・基礎視能矯正学 
・視能検査学 
・視能障害学及び視能訓練学 
 
試験は午前・午後、それぞれ2時間程度で丸1日かけて全科目を行います。面接試験や実技試験はなく、マークシート形式の筆記試験となりますので、過去の問題集を繰り返し解くようにしましょう。 

4.視能訓練士をとるのは難しい?

視能訓練士の全国の合格率は約90%前後(※1)と高い数値を保っており、国家資格の中では比較的合格しやすい資格と言えるでしょう。 
 
理由の1つとして、成績順による「上位○名が合格」というシステムではなく、「○点以上の者は合格」という基準であることが挙げられます。国家試験の内容は養成機関でしっかり学べますので、授業をしっかりと受け勉強すれば、特別に予備校などに通わなくても合格することができる資格と言えます。 
 
別の理由として、知識を問うタイプの筆記試験のみという形式で、さらにはマークシート形式という点も挙げられるでしょう。複数をマークしなければいけない場合はマークすべき数も指示されるので、落ち着いて問題文をしっかり読み、試験に取り組めば、それほど困難という事もなく取得できるでしょう。 
 
多くの現役視能訓練士は、「国家試験そのもの」よりも「国家試験の受験資格を取る」道のりの方が険しいという意見も挙げられます。 
 

(※1 厚生労働省『第51回視能訓練士国家試験の合格発表について』) 

5.視能訓練士をとることのメリット・デメリット

一番のメリットとして、資格取得後の更新料や更新のための研修がないという点が挙げらるでしょう。つまり、一度取得すれば一生「視能訓練士」として働くことができるという仕組みです。  また、女性にとってメリットの大きい資格という点が挙げられます。看護師と比較すると、身体介助などの肉体労働や激しく動き回る作業がないために、高齢になっても長く働きやすいという特徴もあります。 勤務形態も常勤のみではなくパートでの募集もあり、結婚出産でライフスタイルが変わり扶養家族になった後でも、働き続けやすい職種とも言えるでしょう。   最近急に知名度の上がった資格である「視能訓練士」ですが、その人数はここ10年間でおよそ2倍近くに増えたと言われています。 そして、これからも増え続けると見込まれていることで、数年先には求人が頭打ちとなってしまい、就職時の競争率が高くなってしまう可能性が挙げられます。  受験するために数年養成機関に通わなければいけないため、視能訓練士を目指す予定であれば、早めに準備を始めるほうが得策です。  また、視能訓練士は眼科に特化した国家資格であるために、眼科以外で活かすことができない資格とも言えます。職場環境が合わず転職をしたいと思っていても、眼科が入っている病院かクリニックに絞られてしまうため、再就職の面ではさまざまな選択肢のある看護師の方がよいと考える方も少なくありません。 

6.視能訓練士の現状と今後

現在、眼科業界では常に最先端の機器が開発され、導入されています。眼科医一人で診察や検査をこなし、最新の機器に関する知識を完璧に取り入れることは困難を極めるため、専門スキルを持った視能訓練士を積極的に配置する眼科が増えています。 
 
また、高齢化社会で高齢者が増えたことに加え、スマートフォンやゲーム機の利用者が増えました。そのために、視機能障害を持つ人が急増している現状にも関わらず、視能訓練士の数は圧倒的に不足していると言えるでしょう。 
 
最近では医療の発達により、「遠視」は子供のときに早期発見することで治療できることがわかり、3歳児検診にて視力検査が行われるようになりました。 
そのため、今後視能訓練士のニーズはますます広がっていくと思われます。 
 
ただ、メリット・デメリットでも紹介しましたが、現在注目されている資格でもありますので今後視能訓練士も増えていくのではないかと見込まれています。資格取得を目指している方はできるだけ早めに準備することをオススメします。 

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