1.精神保健福祉士の資格とは
精神保健福祉士とは、精神的に障がいをお持ちの方やその家族から相談を受け、日常生活が営めるよう訓練する施設紹介や、就職に際するアドバイスを行い援助する仕事のことです。精神保健福祉士の資格は国家資格で、厚生労働省主催の国家試験に合格する必要があります。
精神保健福祉士は、精神障がい者への特化型ソーシャルワーカーともいわれており、「PSW」とも略称されています。
医師や弁護士のように業務を指す資格ではなく、名称独占資格といわれていますが、精神保健福祉センターや保健所、精神障害者福祉施設などに必置に準ずる扱いがされており将来的に業務資格へ変更しようとする動きがあります。
2.精神保健福祉士はどんな仕事?
精神保健福祉士としての仕事は、精神障がいがある方やその家族から相談を受けることから始まります。精神疾患が原因となり社会復帰ができない人は年々増加傾向にあります。そのため、面接技術やコンビネーション能力など高い技術と専門性を駆使し対応する必要があります。
相談内容には、生活相談が主となります。患者さんやご家族の方、病院スタッフから情報を共有しつつ支援を行うことになります。
医療機関で働く場合、入院サポートもメインの業務になるでしょう。
精神科病院の場合、入院パターンがいくつかあり中には患者さん本人の意思に関わらず入院となるケースがあります。そのため、患者さんの人権は尊重されながら過ごしているのか判断するのも精神保健福祉士の役割のひとつです。
3.精神保健福祉士になるには
【受験資格】
・4年制大学で指定科目を修めて卒業した方(卒業見込み可)
・一般の短大で指定科目を修め卒業し、指定施設で相談実務を1~2年経験した方
・精神保健福祉士短期養成施設を半年以上修了した方
・精神保健福祉士一般養成施設を(1年以上)を修了した方
※看護師として社会福祉士の取得をするには、まず「何年制の看護学校を卒業しているのか」によって取得までの流れが変わります。
【◆4年制の看護大学卒業の場合】
精神保健福祉士に関する「精神保健福祉士一般養成施設」を1年以上学び修了することで受験資格を得られる。通信や夜間でも必修科目の履修ができるため、働きながら精神保健福祉士を目指せます。
【◆2年または3年制の短大卒業の場合】
1年以上の相談援助の実務経験がなければ、精神保健福祉士一般養成施設への入学することができません。
【◆看護系専門学校を卒業した場合】
通った専門学校が高等教育と認められる場合は、受けた教育年数と相談援助の実務経験が合計4年以上になるように経験年数が必要となります。
その後、精神保健福祉士一般養成施設を履修することで受験資格を得ることできます。また、専門学校卒で福祉系の通信制大学へ編入することで受験資格を得られます。編入制度を利用すれば4年以下での受験資格取得も可能になります。
いずれの場合も、福祉系通信制大学への編入し卒業することで、受験資格を得る方法があります。卒業見込みでも受験資格を得られますが、卒業できなかった場合取り消しとなるので注意が必要です。
受験資格を得るには、いくつかのルートがありますので事前に受験資格があるか確認しましょう。
【取得までの流れ】
・審査申請の申込期間:9月上旬~10月上旬まで
※平成29年度は、9月7日~10月6日(当日消印有効)
◆資格審査の申込方法
『受験の手引き』を申込み締日1週間前までにHPまたは郵便はがきで請求。
(HP:http://www.sssc.or.jp/shakai/tetsuzuki.html)
・一人につき1部のみ請求が可能
・『受験の手引』内にある受験手数料の払込用紙にゆうちょ銀行またはその他金融機関の窓口でお支払い(ATM・ネットバンキング対応不可)
・受験手数料:17,610円(精神保健福祉士のみ受験する場合)
・精神保健福祉士の共通科目免除により受験する場合: 14,080円
筆記試験
・試験会場:全国7か所
・試験内容:マークシート方式(163問)275分
・日程:2月(合格発表:3月)
資格の交付と登録
・社会福祉士の試験に合格後、合格通知の受け取後登録申請が必要。
・『新規登録の手引き』が送付されるため手順に沿って登録。
・戸籍抄本もしくは本籍地記入の住民票を準備
【登録手数料:4,050円】【登録免許税:15,000円】
※登録免許税は、相応額の”収入印紙”で充当。
※登録手数料は振込
・必要事項記入のうえ簡易書留で発送
更新について
・更新の手続き:必要なし
4.精神保健福祉士をとることは難しい?
精神保健福祉士の試験合格率は、全体で60%前後と、受験資格があれば受かりやすいといえます。
ですが、受験資格を得るまでの相談実務や経験に基づくものが大きく関係しているといえるでしょう。そのため精神保健福祉士になるには、受験資格を得ることが一番高いハードルといえるかもしれません。
試験の行程は年に1度しかなく、試験の内容は5科目マークシート形式です。専門科目は16科目となっており、出題範囲は大変広いです。
精神学科系の問題を基礎知識だけでなく、実践を想定した試験問題となっています。試験時間は275分と限られた時間内で163問と時間配分も試験を受かるうえで大切なものなってきます。
試験センターHPには過去問もDLできるようになっているので、出題傾向を勉強しておくのも一つの手立てだといえます。
5.精神保健福祉士をとる事のメリットデメリット
精神保健福祉士の資格を得るのは、時間はかかりますが正看護師だけでなく准看護師でも取得できる資格です。キャリアアップという点で目指していい職種だといえます。
看護師をしながら活用することは難しいですが、医療に福祉とまたがることで幅広い知識を手に入れることがおおきなメリットと言えるでしょう。人の心に携わることは複雑で、簡単に解決できるものばかりではありませんが、一歩ずつ患者さんと寄り添うことで心の変化を身近に感じることはやりがいのある仕事ともいえます。
デメリットとしてあげるとすれば、現状ソーシャルワーカーとして病院で誤解されがちなところがあります。
患者さんに直接いえないことをソーシャルワーカーへぶつけられ、看護師医者との板挟みになるケースもあるようです。周囲に理解を求めつつ如何に患者さんへ支援するか自身の立ち回りも重要になっていきます。
6.精神保健福祉士の現状と今後
精神保健福祉士は、精神障がい者及びその家族への支援を目的に設立されています。社会が包括するテーマである「こころの問題」に意識が高まっている今、積極的に取り組む姿勢がみられます。
そのため、生活支援を行う精神保健福祉士は求められる傾向にあります。
精神疾患は、統合失調症、アルコール依存症、うつ病、認知症、知的障がいなど多岐にわたり、それが原因となり社会復帰ができない人へ日常生活の支援をする重要度は高いです。
精神障がいを持つ人、その家族を社会的に支えようとする土壌が産まれ精神保健福祉士のニーズは高まっている状況です。
※掲載情報は公開日あるいは更新日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。