1.笑い療法士とは
『笑い療法士』とは、一般社団法人 癒しの環境研究会が主催する民間資格のことです。2005年から始まり、2015年には780名以上の認定者がいます。3級からはじまり、2級1級とあります。はじめて取る人は3級からの挑戦となります。
患者さんは、治療や入院などによりストレスを抱えると自然に笑えなくなってしまいます。笑うことで『自己治癒力を高める効果』『病気を未然に防ぐ効果』が期待されます。
笑い療法士の資格は患者さんへ、自然に笑える環境を整えることに特化した資格です。
2.笑い療法士の仕事とは
笑い療法士の仕事は、患者さんがもつ自己治癒力を高めたり、病気を未然に防いだりできるよう笑ってもらえる環境をつくることです。笑いといっても、微笑み程度ではなく声に出して笑えるレベルで身体のもつ免疫力など向上が見込めるといわれています。
笑いで痛みを消すこともできるといわれており、笑うことで“薬いらず“な身体づくりにも期待されています。
ただ、『患者さんに笑ってもらう』というのは、面白い芸を披露したり漫才をみることでは成り立ちません。こころの交流をしながら自然に引き出していく事が肝心となります。
笑い療法士になるうえで、「安全」「リラックス」「効率」「元気になる」「生きる歓び」といった環境づくりが重要な仕事といえます。長期の入院や治療をした患者さんがメインですが、外来やストレスを抱えている人にも有効な手段となっています。笑い療法士としてのニーズは高まっているといっていいでしょう。
3.笑い療法士になるには
【応募資格】3級:笑い療法士の理念を理解し、熱意のある人。2級:笑い療法士として十分な実績をもつ人。1級:笑い療法士として社会に貢献し、とくにすぐれた実績があると認められた人。【資格取得までの流れ】笑い療法士の募集は、公式HP(http://www.jshe.gr.jp/)に掲載されます。(1) 申請書類の送付(3月頃~)・申請書類:公式HPから印刷・課題作文:用紙は公式HPよりDL・本人の笑顔写真:縦5.5cm×横4.5cm胸から顔がしっかり映っていること・返信用封筒:定形封筒に切手82円を貼付。返送先住所氏名記載すること。※審査料(2,000円)を郵便局にて支払い申請書類に、【郵便局払込受領書】を貼付・郵便局払込口座番号:00150-4-386791/加入者名:癒しの環境研究会≪送付先≫〒158-0082 東京都世田谷区等々力2-21-6癒しの環境研究会 第○○期笑い療法士認定申請係(2) 書類審査(6月中旬頃)・本人宛へ郵送(3) 笑い療法士の受講(7月末の2日間)※受講費:25,000円・書類審査合格後に支払い方法が案内される・会場:東京(4) 認定審査(9月)・講習に基づき出題される課題の実践、実践した報告のフォローアップ論文を提出。→認定可否を決定(5) 認定発表(10月末頃)・“笑い療法士発表会“にて認定発表・認定証の授与・会場:東京※発表会に欠席の場合、認定不可【※認定料:10,000円】(6) 認定期間・3年間有効【資格団体】一般社団法人 癒しの環境研究会(HP:http://www.jshe.gr.jp/) 4.笑い療法士をとるのは難しい?
笑い療法士の資格試験には、残念ながら合格率や過去の問題集などは開示されていません。書類選考時にまず課題文の作成が必要となります。
笑い療法士の主旨の理解と、それにまつわる事例に絡めた課題文の提出が必要となります。
講習を受ける前から『笑い療法士』を主催する癒しの環境研究会を理解しておく必要があるでしょう。その為、『書類選考』が第一関門ともいえます。
申請時には笑顔の写真も同封が必要ですので、自分自身も自然な笑顔が出せるかも重要となってくるでしょう。
次に難関と呼べるのは、講習後の課題と実践後のフォローアップ論文です。慣れない人には大変と感じるかもしれません。
資格に合格しても、患者さんの笑いを自然に引き出す能力がすぐに身につくわけではありません。自身がもつコミュニケーション能力や幅広い知識や話術などユーモアのセンスが必要となるようです。元々備わっている人であればさほどハードルが高い資格ではないようです。
5.笑い療法士をとる事のメリット・デメリット
笑い療法士をとることの大きなメリットは、長い間入院や治療によってうまく笑えなくなった患者さんへ自然な笑いを引き出せるようになることです。笑うことで日常生活にゆとりや楽しさも生まれます。患者さんの心の負担を軽減できるような笑いは必要不可欠です。
また、笑い療法士の資格取得は他の看護師がとれる資格の中でも比較的“短期間”で“安い金額”で得る事ができます。
笑い療法士をとるデメリットを上げるとすれば、笑い療法士の認定発表をする会場に出席が必要な点です。その日に欠席すると、不合格となってしまいます。
会場は東京のため、地方で受験したい看護師にとってはスケジュールの確保が難しい可能性があります。
6.笑い療法士の現状と今後
笑い療法士の現状は、主に緩和ケアや入院病棟といった医療の現場だけでなく福祉の場でも活躍ができる期待でしょう。
資格団体自体の認知度が低く、“笑い療法士”の活動を正しく認識できていない医療施設が多いです。今後、笑い療法士として活動するには、正しい活動を認知してもらうことから始まるといってもいいでしょう。
長期にわたって入院や治療を受けている患者さんは、うまく笑うことができずにいる人も多いです。そこから笑いを引き出すことができれば笑い療法士の今後としても充分に活躍がみこめます。病院にとっても、笑い療法士を評価する病院も少なからずいます。
求人の中に笑い療法士と書かれることはほとんどありませんが、看護師ワーカーなどの転職支援サイトを利用しアドバイザーを経由することで資格による給与アップも見込めるかもしれません。薬に頼らず自己免疫力で治療を促すこの方法は新しい治療方法ともいえます。