転職ノウハウ

看護師さんのための退職時のポイント| STEP.3 退職準備をする

退職時ポイント

更新日:2020.08.19

公開日:2020.08.19

退職後のことを考える

【今後はどうする?看護師1年目で退職する時の5つの注意点】

看護師が泣いている

近年、公益社団法人日本看護師協会のデータでは1年目の離職率が10%を超える状況にあります。
看護学校でしっかり知識を身につけたといっても、現場とのギャップに戸惑い、覚えることの多さと体力的な疲労感に『退職』という道を選んだ看護師さんは少なくありません。

勤続年数の短い看護師は、ベテラン看護師と比べると退職しやすい傾向にあります。
任されている業務量や、責任範囲も違うので当然ですよね。
しかし、すんなり退職できたとしても、その後は??
「退職後、自分がどうしていくべきか」をしっかり見極めて退職日を迎えましょう。

そのために抑えておくべき注意点をまとめてみました。

1.自分の反省点を見直す

看護師1年目という短期間での退職になった経緯や理由は人それぞれです。
先輩からの厳しい指導や、自身の体調不良、給与面なども退職理由に挙がることが多いです。
想像を超える辛さや大変さも経験したことでしょう。
しかし「病院が悪かった」「あの先輩さえいなければ続けていた」など、人のせいにばかりしていては、次の職場でも同じ事の繰り返しになりかねません。
もちろん、自分だけを責める必要はありませんが「この環境で自分にできることはなんだったのか」「自分がこれから成長すべき点は何なのか」を見直しておくことで、退職日までの業務も意味のあるものになります。
そして、退職後に進むべき道も明確に見えてくるでしょう。

2.お世話になった先輩への挨拶はしっかりと

1年未満という短い期間であっても、退職日を迎えるまでは上司・先輩にサポートをしてもらいながら看護師の業務を行うことになるでしょう。
人間関係を理由に退職する人にとっては早く切りたい縁かもしれませんが、医療業界は意外と狭いのです。研修先や同グループの付き合いなどで顔を合わすことがないとは言い切れません。後腐れがないように日ごろお世話になっている事を忘れず過ごしましょう。
最終出勤日には、簡単な『挨拶』『贈り物』で感謝を伝えるのも良いでしょう。

3.退職後、早めの転職が吉

1年目で退職を決意するという事は、それだけ”看護師という仕事”が辛かったのではないでしょうか。
正直、「すぐに違う病院で就職する気になれない」と弱気になってしまう人も多いです。
「ひとまず看護師とは別の職業に就いてみよう」と、フリー求人誌から飲食業やアパレル業へ挑戦する看護師もいるようです。
しかし違う職業と比較した結果、医療業界に戻ってくる人が多いのも事実。
せっかく取得した国家資格は活かして働きたいという気持ちと、やはり看護師として働くほうがお給料は稼げるという事実があるからです。
他の職種も経験した上で「やっぱり看護師に戻りたい」と思っても、初めの病院も1年目で退職し、さらに退職からブランクが空いているとなれば転職が不利になる可能性もあります。
退職後は出来る限り期間をあけずに転職することをお勧めします。

4.経歴が浅い場合の履歴書の書き方

1年未満で退職してしまった場合、履歴書の職務経歴欄に記載すると悪い印象を与えてしまうのでは?と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、嘘がばれてしまったときの方がよっぽど印象が悪くなります。
職歴が浅くても、魅力的な履歴書を書くことはできます。
看護師のための履歴書ガイドを載せておきますので、あわせて参考にしてみてください☆
→ 看護師さんの履歴書【完全マニュアル】

5.看護師1年目の転職は困難?

早めに転職活動を行うといっても、1年目で退職した看護師を積極的に採用してくれる病院はあるのでしょうか?
病院側としても「即戦力」となって勤務してくれる看護師を雇いたいと思っているので、待遇の良い人気な病院では、経験豊富な看護師と比較されてしまい、書類選考で落とされてしまう可能性もあるでしょう。
自分ひとりで手当たり次第に転職活動を行うのではなく、効率よくポイントを抑えて転職活動することが大事です。
具体的にどうすれば良いのか気になる方は続きも読み進めてみてください。

転職活動 求人の探し方

【退職前の転職活動について知らないと損する3つのこと】

泣く看護師

退職を決めたら、次に考えなければならないのが転職先です。
ほとんどの看護師が、退職からできるだけ期間をあけずに再就職を希望しています。
病院に退職の意思を伝えてから転職活動を行う分には、特に問題になることはないでしょう。
しかし、退職を伝えずに転職活動すると場合によっては“服務規律違反”となる可能性があるので注意が必要です。
病院側に服務規律違反を指摘されてしまえば、円満退職ができなくなるだけでなく、解雇により退職時期が早まってしまいます。
計画的に物事を進めて円満退職、スムーズな転職に繋げるためにも知っておくべきポイントをまとめましたので、是非ご覧ください♪

退職前にやってはいけない転職活動とは

多くの看護師は退職前から転職活動を始めますが、転職活動を行う際に注意すべきポイントがあります。
まずは、当たり前のことですが“業務に支障が出る行為”はNGです。
病院のPCを使って求人を探す、勤務時間中に採用担当と頻繁にメールチェックや電話でのやりとりを行うなどは控えましょう。
求人検索したい場合は、休憩時間や休みの日に自分のスマートフォンやPCで探すのが妥当です。
出勤日にどうしても採用担当からの電話に対応しなければならない場合は、人目につかず周りにやりとりが聞こえないような場所を選んでやりとりするなどの配慮をした方が良いでしょう。
転職活動中であることを公にするよりは、なるべく目立たずに進める方が得策です。
退職を申し出た際に「次の就職先は決まっているの?」と聞かれることがあれば「これから探そうと思っています」程度にとどめておけば問題ありません。

退職前にどうやって転職活動を進める?

夜勤に多く入っている看護師や、フルタイムで残業も多いような病院で働いている看護師は日中の就職活動が難しいのも現状です。

看護師の一般的な転職活動方法は以下の通りです。

・ハローワークを利用する
・ナースセンターを利用する
・(すでにその病院で働いている)友人の紹介
・人材紹介、転職サイトを利用する

それぞれのメリット・デメリットも見てみましょう。

ハローワーク
就職活動と言えば、まずハローワークと連想する人が多いと思います。
地域密着型で、職員が就職までの一連の流れをサポートしてくれるので便利で簡単です。
無料で利用できるのもメリットと言えるでしょう。
ハローワークが紹介している求人は、地元の中小企業がほとんどです。
また、ハローワークの職員は公務員であり医療従事者ではありませんので、現場のことや内情までは教えてくれません。多業種の求人があり利用者も多いので、担当者によっては「とにかく早く決めてください」と押し進められる場合もあるようです。

ナースセンター
日本看護協会が運営しており、看護資格をもった相談員に悩みを相談することができます。
各都道府県に設置されており、転職に役立つ研修などが開催されていることもメリットです。無料で利用できますが、転職代行のサービスはなく基本的には“自分で探して応募する”スタンスをとっています。
規模は大きく信頼は厚いですが、サポートが手薄であるため忙しい看護師や転職先を早く見つけたい看護師には不向きかもしれません。

友人の紹介
実際に働いている友人の紹介なら、ハローワークやナースセンターでは公開していないような情報、現場の雰囲気や人間関係などの内部情報を事前に知ることができます。
友人の紹介であれば採用される確率も高く、入職してから周りと打ち解けるのに時間はかからないでしょう。ただし、面接をして内定までもらった後に辞退すれば、紹介してくれた友人の評価を下げてしまうことになります。友人との関係に悪影響を及ぼす場合もあるので、慎重に動く必要がありそうです。

人材紹介・転職サイト
様々な業種で人材紹介・転職サイトが存在しますが、看護師の転職を専門に扱う人材紹介会社も増えてきています。無料で利用できるにも関わらず、利用者1人1人にキャリアアドバイザーという担当がついてくれます。退職に至った経緯や、今後どのように働きたいのかなど悩みや希望を聞いた上で、数ある病院の求人と照らし合わせ、経歴や希望に沿った求人を紹介してくれます。しかし、会社によってキャリアアドバイザーの質に差がある場合もあります。親身に話を聞いてくれ、心から転職を応援してくれる担当者に出会うためには利用するサイトは厳選した方が良いでしょう。

退職前の転職活動を効率的に進めるには

看護師の転職方法は大きく分けて4種類あることを説明してきました。
それぞれにメリットがありますが、退職してから再就職まで極力期間をあけたくないのであれば“退職前から転職活動を行うのが得策”ということが大前提にあります。
自分ひとりで求人を探すところから面接を取りつけるまで全てやってしまうと、時間もかかり体力的にも厳しくなってくるでしょう。
スムーズに転職活動を行うには、やはり協力者が必要ということになります。
さらに、冒頭で円満退職するためには転職活動中であることは公にしない方が良いとお伝えしました。
ハローワークやナースセンターは地域密着型の支援施設なので、通うとなれば患者さんや先輩看護師等に出会う可能性も考えられます。そこから噂が周りに伝わってしまうリスクを考えると、退職前の利用は控えた方が無難でしょう。
友人の紹介についてはタイミングよく話が舞い込んでこれば良いですが、退職後スムーズに転職するには、受け身ではいられません。
以上の点を踏まえて、退職前の転職活動なら“人材紹介・転職サイト”の利用がベストです。

◎優良な人材紹介・転職サイトの見分け方
まずは看護師の転職を専門的に扱っている会社を選ぶことが前提です。
しかし、看護師の転職を扱っている会社で絞っても複数社存在しますので、取り扱っている求人掲載数で比較してみても良いでしょう。
自分が働きたいエリアにどのくらいの求人があるのかを各社比較し、できるだけ多くの求人を扱っている会社を利用するのも一つの手です。
また、サイトの会社概要を見れば設立時期や事業所数などを確認することができます。
サービスを開始してからの年数が長いほど業界知識も豊富で、病院からの信頼も厚く“非公開求人”をたくさん持っていることが多いです。
そして自分の希望エリアに事業所を持つ会社であれば地域密着情報にも詳しく、より有益で充実度の高いサポートが期待できます。参考材料の一つにしてみてくださいね。

まとめ

退職前の転職活動について知っておくべきポイントをご紹介させていただきました。
今の職場を退職し、より良い病院に巡り合うための準備として参考にしてみてはいかがでしょうか。
退職準備から転職活動まで、やるべきことがたくさん出てきて大変な時期ですが頑張って乗り越えましょう!

◎退職日までに「挨拶」についても確認しておきましょう!

引継ぎ

【退職時、看護師が引継ぎで失敗しない3つの心得え】

喜んでいる看護師

退職届が病院側に受理されたら、次は引継ぎ作業にとりかかりましょう。
後任者がすでに決まっている場合は今まで自分が行っていたルーチンを後任者と一緒に行い、新しい業務が入ってきた場合には後任者の補佐役として徹するのがベストです。
しかし、病院側が人手不足であれば後任者を決めるまでに時間を要するでしょう。
退職者の業務を複数人で分担する場合も考えられます。
そんな事態に備えるという意味でも「引継ぎノート」は準備しておくべきです。
後任者が見てわかりやすい引継ぎノートとはどんなものなのか?
順番に見ていきましょう♪

退職時の引継ぎノートに記載すべき内容とは

引継ぎノートを作成する際に、まずは何を引き継ぐべきなのか明確にしましょう。
勤続年数が長ければ長いほど引き継ぎたいことが山ほどあって「あれもこれも…」と後任者に多くを求めてしまいがち。
しかし情報量が増え、本当に大事な情報を見落とされてしまっては意味がありません。
引継ぎノートは箇条書きに、以下の内容を記載するようにしましょう。

<引継ぎノートに記載する項目リスト>
・1日の流れ
・担当患者に関する情報(急変が起きやすい時間帯や喜ぶ声かけなど)
・業務で使用していたファイルや書類の保管場所
・委員会活動や別途役割を担っていた場合はその活動内容
・業者とのやりとりがあった場合は頂いた名刺も引き継ぐ

自分が業務に入る際に、担当患者1人1人に声かけをしたり、業務を円滑に行うために段取りしたりと“当たり前”にしてきた行動があるかと思います。
しかしそれを後任者が同じように当たり前にできるとは限りません。
担当患者に自分がしてあげて喜ばれていることや、使用している資料のまとめ方などできる限り細かく引き継ぎましょう。
また、業者からもらった名刺があれば、それは病院宛てにいただいたものになりますので引き継いでおくようにしてくださいね。

引継ぎノートは1日の流れに沿って作成する

わかりやすい引継ぎノートを作成するにあたって、1日の流れに沿って作成するように心がけてみましょう。
ポイントは《新人看護師が読んでもわかるような書き方をすること》です。
下記画像のように、ノートの1ページを半分に折って線を引きます。
左半分は1日の流れを目次のように記載します。
右半分には、各業務についての詳細やポイントを文章で記載するとわかりやすいでしょう。

引継ぎノートの例

大事なところには蛍光ペンで線を引いておくなど、視覚的に見やすい工夫をするのも良いですね。

引継ぎノートは退職日の3日前に仕上げる

引継ぎノートをいつまでに完成させるかも重要なポイントです。
退職日当日は、挨拶まわりやロッカーの片づけ等しなければならないことがたくさんあります。事前に完成させておけば、当日の流れがスムーズですよ♪
また、3日前までに完成させておけば万が一不備があった場合にもすぐ対応ができます。
やることが多く大変に感じるかもしれませんが、お世話になった病院やスタッフ、そして自分を慕ってくれている患者さんの為にも乗り越えましょう♪

退職時の引継ぎについて「まとめ」

看護師の仕事は、1人が担う業務量が多いので1人が抜けるだけで周囲に大きな負荷がかかってしまいます。
退職する側にしてみれば「辞めたらすべて終わり」かもしれませんが、残ったスタッフはその不可を受け入れ、翌日からも働くのです。
少しでも不可を減らしてあげるのが退職者の最後の役割ともいえるでしょう。
今回ご紹介した“引継ぎノート”作成のコツをもとに効率よく引継ぎを行い、円満退職につなげてくださいね♪

◎引継ぎについて確認できたら、次は「有給消化」についても知っておきましょう♪

有給消化

【退職前に有給はすべて消化したい看護師さんへ】

とても喜んでいる看護師


退職が決まったら、多くの看護師は転職活動または資格取得の勉強を検討します。

しかし、退職日まで普段の業務と並行しながらこなすのはなかなか難しいですよね。

できることなら残っている有給をまとめて取得して、転職活動や資格取得のための時間に充てたいと考える人が多いはずです。



今回は、「先輩看護師が有給取得できているところを見たことがない」「有給はあってないようなものだと思っていた」など、有給について不安を抱えている人のために退職までの有給取得についてまとめてみました。



ぜひ参考にしてみてくださいね!

要注意!有給消化できない看護師多数!?


有給の取得はできて当然なのですが、退職までの引き継ぎや次の人員確保まで病院が一時的に人手不足になるなど、現場の状況的にも取得しづらいのが現実です。

少しでも円満退職したいということもあり、遠慮して有給取得の希望を申し出ることのできない看護師さんや、退職時に院長から「有給は使えないからね」と念押しされた看護師さんもいるようです。

しかし、大前提として有給は労働者に与えられた権利です。

こちらが放棄しなければ有給取得は可能であることをしっかり頭に入れておきましょう!

退職時に有給消化するための準備

ここでは、いざ退職が決まっても有給消化できないまま退職日を迎えることのないように事前に確認しておいた方が良いことを紹介します。

1)有給残日数の確認
一般の企業であれば、入職後6ヶ月が過ぎて《全労働日の8割以上出勤》という条件を満たしていれば10日の有給が付与されます。
また、勤続年数が増えるごとに付与される有給日数も増えていく仕組みです。
担当者がいる場合は直接確認しても良いですし、給与明細に残日数を記載しているケースも多いので、一度ご自身の給与明細も確認してみましょう。

2)有給消化は自分から申し出る
有給が労働者に与えられた権利といっても、実際のところ病院側は1日でも長く働いてほしいので「有給があと〇日残っているから消化しておきましょう」とは言いません。
自分から「△月△日が退職日となり、現時点で〇日有給が残っているので消化させてください」と申し出る必要があります。大事な話なので、師長や院長の手が空いたタイミングで声をかけるように配慮してくださいね。

3)引き継ぎに十分時間が取れるよう取得時期は考慮する
まとめて有給を消化する場合、退職日から逆算して申請することになります。
人によっては、1ヶ月の出勤日をすべて有給に置き換えるケースも出てくるでしょう。
しかし、そうすることで引き継ぎの時間を十分に取れないといったことがないように注意が必要です。
「どうせやめる病院だし」と思う気持ちもわかりますが、少なくともお世話になった病院。職場の人に迷惑がかからないように十分な引き継ぎができる時間を考慮して有給消化するようにしましょう。

4)有給を買い取ってもらえるか確認してみる
稀に、有給休暇を買い取る提案をしてくる病院もあります。
通常、労働基準法により有給休暇の買い取りは禁止とされていますが、退職時に消化しきれないなど特別な理由による買い取りは例外として認められる場合があります。
しかし、有給の買い取りは義務ではありませんので病院の規則によって金額や買い取りを行うかどうかも異なります。
あまりにも有給取得を渋られる場合は「買い取り制度があるのか」確認しておくのも一つの手です。

最後に|転職先は有給を小まめに取得させてくれるところを選びましょう

忙しい毎日を過ごし、有給取得なんて考える余裕もなかったかもしれませんが、看護師だって労働者として有給取得の権利はあるのです。
事前にしっかり準備して使える有給はすべて消化して退職しましょう♪

しかし、本来であれば普段から小まめに有給取得ができる職場ならこんなにあれこれ気を遣わなくても良いのではないでしょうか。
「看護師は有給消化できなくて当たり前」と諦めるのはまだ早いですよ!

近年では、看護師の離職率を抑えるために有給制度を見直している病院が増えてきています。入職前にそこまで自分ひとりで調べるのは難しいかもしれませんが、転職サイトを活用すれば医療業界の転職のプロが間に入って疑問点を解消してくれます♪
次に働く病院では、定期的に有給をとってプライベートも充実させてくださいね!

◎次は退職日の「挨拶」についても確認しておきましょう!

※掲載情報は公開日あるいは更新日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。