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専門看護師と認定看護師の違いって?資格取得するならどっち?

新緑を背景に看護師が専門看護師と認定看護師の違いについて説明

更新日:2020.10.20

公開日:2018.03.16

看護師がキャリアアップを図る手段のひとつとして、「専門看護師」または「認定看護師」の資格取得を目指すという方法があります。
どちらの資格も、いわば“看護のプロフェッショナル”
これまで以上に深い知識と看護技術が求められ、患者さんのケアと同時に他の医療関係者との協力や連携を図ったり、看護職全体の教育指導を行ったりするなど、看護師として大きくキャリアを形成することができます。

しかし、いざ資格について聞かれても

「何かに特化した看護資格というのは知っているけれど、それぞれにどのような違いがあるのかは分からない」
「身近に資格を持っている人がいないので、どのような仕事をするのかイメージできない」


という方が大半ではないでしょうか。

そこでこの記事では、専門看護師と認定看護師の資格とはどのようなものなのか、また仕事内容や学ぶ分野にはどのような違いがあるのかという基本的な疑問をすべて解決していきます。
「専門看護師と認定看護師の違いを詳しく知りたい」という方はもちろん、「実は取得しようか悩んでいる」という方も必読です。

「専門看護師」「認定看護師」とは

まずは、基本的な専門看護師と認定看護師の資格についてご紹介します。

専門看護師とは
専門看護師とは、「特定の看護分野において高い技術と知識を持ち、複雑で解決困難な看護問題を持つ方々に対して、より水準の高い看護を提供するための資格」です。
倫理上の問題や権利・尊厳に関すること等、難解な問題を抱えた患者さんと、そのご家族を含めた周囲に対してもケアを行うため、高度な専門性が必要とされます。そのほか、医師をはじめとする医療チームや地域の福祉への働きかけ、看護現場の課題研究なども行います。


認定看護師とは
認定看護師とは、「特定の看護分野において熟練した技術と知識を持っていることが認められ、水準の高い看護を実践できる資格」です。
患者さんのケアと同時に、看護職に対する指導やコンサルテーション(相談)を行います。専門看護師が患者さん以外にご家族や医療福祉従事者と関わっていくのに対し、特定認定看護師は周囲の看護職へフォローを行っていくことで、医療現場を統率する技量が求められます。

それぞれの特定分野について

専門看護師または認定看護師になるには、資格取得時に自身が専門とする分野を選択する必要があります。今後より深く関わっていきたい分野などがあれば、それぞれの資格が定める特定分野を把握しておくことが大事です。

■専門看護師の特定分野は13分野

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一般の看護職では異動などで様々な部署・病状の患者さんを担当しますが、専門看護師は資格取得時に自身が従事する分野を決定しなければなりません。

専門看護師の特定分野には、「がん看護」「在宅介護」「家族支援・慢性疾患看護」「急性・重症患者看護」「母性看護」「災害看護」「精神看護」「地域看護」「老人看護」「小児看護」といった計13分野があり、資格取得後はこれらの分野内での働きかけや研究といった看護以外の業務も行っていきます。


■認定看護師の特定分野は21分野
専門看護師と同じく、認定看護師も資格取得時に自身が専門とする分野を選択する必要があります。
認定看護師の特定分野は、「救急看護」「皮膚・排泄ケア」「集中ケア」「緩和ケア」「がん化学療法看護」「がん性疼痛看護」「訪問看護」「感染管理」「糖尿病看護」「不妊症看護」「新生児集中ケア」「透析看護」「手術看護」「乳がん看護」「摂食・嚥下障害看護」「小児救急看護」「認知症看護」「脳卒中リハビリテーション看護」「がん放射線療法看護」「慢性呼吸器疾患看護」「慢性心不全看護」の計21分野で構成されています。専門看護師よりもさらに細分化された分野の中から学ぶ必要がありますね。
しかし、現在の認定看護師教育は2026年をもって終了し、2020年より新たな特定認定看護師教育課程へと移行することになりました。名称も、認定看護師から特定認定看護師に変わります。


■新たに移行する『特定認定看護師』の特定分野は19分野

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専門看護師と同じく、認定看護師も資格取得時に自身が専門とする分野を選択する必要があります。

認定看護師の特定分野には、「救急看護」「皮膚・排泄ケア」「集中ケア」「緩和ケア」「がん化学療法看護」「がん性疼痛看護」「訪問看護」「感染管理」「糖尿病看護」「不妊症看護」「新生児集中ケア」「透析看護」「手術看護」「乳がん看護」「摂食・嚥下障害看護」「小児救急看護」「認知症看護」「脳卒中リハビリテーション看護」「がん放射線療法看護」「慢性呼吸器疾患看護」「慢性心不全看護」の計21分野があり、専門看護師よりもさらに細分化された分野の中から学ぶ必要があります。
従事する領域が限られているので、その分野でのスキルをより極めていくことができるのが認定看護師の強みといえます。

Q、なぜ特定認定看護師に変わったの?
認定看護師から特定認定看護師に移行した理由は、新たに「特定行為研修」が追加されたためです。特定行為研修とは、「特定行為に係る看護師の研修制度」といい2014年6月に創設されました。この研修を受けることにより医師の業務の一部を看護師が判断して行えます。そこで、認定看護師制度に特定行為研修のカリキュラムを追加することで、より看護を必要とする人々のニーズに広く応えることができるのです。


二つの資格を取ることにメリット・デメリットはあるの?

「専門看護師」「特定認定看護師」の資格を取得することでどのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか。まずは、おもなメリットについてみていきましょう。

✓高度な知識とスキルを身につけることができる
✓やりがいが増えて活動範囲が広がる
✓資格取得することで昇進、昇給が見込める
✓転職、再就職の際に有利に働く


どちらの資格も取得することでさらなるキャリアアップに繋げることができます。「小児看護専門看護師」「糖尿病看護認定看護師」といったように各看護の分野名を名乗ることができますし、大きな病院であれば身につけた知識とスキルを活かして看護技術の提供や患者さんと家族のケア、病棟の環境づくりにも貢献できることでしょう。
さらに、医療機関によっては昇進・昇格・手当が支給されるところもあり、それにより給料アップが見込めます。

一方で資格取得を目指す際に、デメリットについてもきちんと把握しておく必要があります。取得してから「知らなかった!」とならないように、あらかじめ知っておくことで対処することができます。それでは、資格取得した後に考えられるデメリットについて一つひとつ確認していきましょう。

✓資格を重要視しない医療機関ではやりがいを感じられない
✓資格取得しても勤務先によっては手当が貰えない
✓資格手当が支給される代わりにほかの手当がつかなくなるケースがある


今の医療機関で資格取得を目指すとなると、注意しなければならないのが“資格を重要視”する病院かどうかです。頑張って資格を取得したとしても、有効活用できない職場だとやりがいをあまり感じることができません。また、資格手当が支給されない場合もあれば資格手当の代わりにほかの手当がつかなくなる場合もあるようです。一度、資格手当について勤務先に確認してみることをおすすめします。

専門看護師と特定認定看護師の資格を取得するには?

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専門看護師の場合
専門看護師の資格を取得するには、看護師として5年以上の実務経験があることが必須条件ですが、そのうち3年以上は資格を取得したいと考えている分野での経験を含んでいなければなりません
もしも今、「この分野に興味があるのでもっと深く学んで専門にしたい」と思っている分野があるなら、まずはそこで3年以上働きましょう。経験年数の条件を満たしたら、看護系の大学院に入学し定められた単位を取得して修士課程を修めます。その後さらに専門看護師認定審査を受け、それに合格すれば「専門看護師認定証」を取得することができます。

資格取得だけでもなかなかの労力だと感じられるかもしれませんが、医療は日々進歩するもの。常に新しいことを学び、知識や技術の向上に努めなければならないため、5年ごとの資格更新も義務付けられています。


特定認定看護師の場合
専門看護師と同様に、特定認定看護師の場合も資格を取得するには5年以上の実務経験が必要となります。そのうち3年以上は認定看護分野での実務経験が必須です。
その後2020年度から開始される特定行為研修が組み込まれた認定看護師教育機関にて1年以内に800時間程度の研修を受講し、修了することで資格を取得できます。新たな特定認定看護師制度では集合研修に加えて、一部インターネットを利用したeラーニングと併用して研修を受けられます。
認定看護師も専門看護師と同様に、5年ごとの資格更新が義務付けらけれています。

専門看護師と認定看護師、資格取得後の働き方の違いは?

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看護師として大きくステップアップに繋がる「専門看護師」または「特定認定看護師」。決して短いとはいえない実務経験に加え、必修となる教育過程を経て資格を取得した後は、少なからずこれまでの働き方に変化が生じ、責任や役割は大きなものへと変わっていくことでしょう。どちらの資格においても、自身が決めた専門分野において担う役割は必然と高まるはずですが、実際に資格を取得した場合、どのような働き方が待ち受けているのでしょうか。気になる専門看護師と特定認定看護師の"働き方と担う役割"について、詳しくご紹介していきます。

共通の役割は「実践」「指導」「相談」

専門看護師と認定看護師が働く際に共通の役割となるのが、「実践」「指導」「相談」の3つです。
資格取得前と比べ、より高い看護技術と知識を活かし、共に働く看護職への働きかけなどを率先して行うようになります。

■実践
患者さんやご家族に対し、高い看護技術と専門知識を用いて質の高いケアを行います。

■指導
看護職に対し、質の高いケアを向上させるための教育的指導を行います。

■相談
看護職を含むケア提供者に対してコンサルテーション(相談)を実施します。

専門看護師は包括的な看護への関わりが大きい

ベッドで寝ている患者さんと話す看護師

専門看護師と認定看護師に共通する役割は、上記で挙げた「実践」「指導」「相談」ですが、専門看護師はこれらに加え、さらに「調整」「倫理調整」「研究」の3つの役割を医療現場で担っていきます。というのも、専門講師の業務は幅広く、様々な医療福祉関係者と携わることになるため、包括的な看護に関わる機会が多くなります。認定看護師と比べて複雑な問題のある患者さんやご家族を担当することなどが増えるため、「どのようなケアが求められているのか」を的確に判断していく必要があるのです。

■調整
患者さんが病院から離れても適切なケアを受けられるよう、地域の福祉や保健医療に携わる様々な職種との連携を図ります。

■倫理調整
倫理的問題が生じやすい場面において患者さんやご家族の権利の尊重のために、ケア提供者全員へ働きかけます。

■研究
専門看護師は保健医療福祉の発展に貢献することも仕事のひとつとされるため、看護現場の問題を課題として研究し、その成果を実践していかねばなりません。(研究発表として講演や研修の講師等を任されることも。)

特定認定看護師は患者と看護職への関わりが大きい

仕事をしている看護師

特定認定看護師は、臨床現場にて高い看護技術と知識を用いたケアを行っていくことが多くなります。そのため、担う役割は共通する役割として挙げた「実践」「指導」「相談」が中心となります。
特に、専門看護師と大きく違う点は、専門看護師の活動領域が院内外に及ぶのに対し、特定認定看護師は院内、それも患者さんと看護職へ向けての仕事に限定されていることです。一見すると、特定認定看護師のほうが担当業務は少ないように感じますが、患者さんに対する適切なケアと優秀な看護師の育成に集中して取り組むことこそが、特定認定看護師に託された役割なのです。

専門看護師と認定看護師、どちらに向いている?

現在看護師として活躍されている方が、今後専門看護師または特定認定看護師の資格取得を検討されるなら、"自身がどのような看護師になりたいか"ということをまずはよく考えてみてください。そのうえで、結局どちらの資格を取れば良いのかわからないという方は、それぞれの資格の特徴と自身の気持ちを照らし合わせてみましょう。

■以下の項目に当てはまる項目に✔を入れてみましょう。より多くの✔がある資格が、あなたの目指す看護師像に近いといえます。

専門看護師に向いている人
□直接的な看護だけでなく、いろいろな方法で患者さんやご家族の役に立ちたい
□病院以外でも十分な看護を受けられる仕組みを実現したい
□医療チームの連携を強化したい
□患者さんの意思や権利、尊厳を大切にする看護師でありたい
□看護について、もっと勉強をして理論的に問題解決をしたい

特定認定看護師に向いている人
□オールラウンドではなく、特定の分野に精通した看護師になりたい
□後輩の指導や教育に力を入れたい
□看護職全体の質の底上げに取り組みたい
□この先、経験を積んで役職に就いても患者さんと接する機会を減らしたくない

さいごに

あなたが理想とする看護師像や今後解決していきたい問題から考えてみると、おのずと自身が目指すべき姿が見えてくるのではないでしょうか。

「看護の仕事が好きでこれからも続けたい」
「キャリアアップをしたい」
「資格に興味がある」


といった思いが芽生えている方は、今回ご紹介した「専門看護師」または「特定認定看護師」を目指すという道も選択肢の中にあるということをぜひ視野に入れ、今後の更なる活躍に活かしていただければと思います。
そして、今後資格取得を検討したいという方は、ぜひ自身が資格取得したい分野の大学院や教育機関を調べたり、勤務先の方針について相談などをして前向きに計画を立ててみましょう。

どちらの資格も取得までの道のりは決して容易ではありませんが、そこで得る知識やスキル、経験は一生ものです。
看護師としてこれからも成長し続けていきたいという方は、ぜひ初めの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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