仕事・スキル

有料老人ホームで働く看護師の仕事内容は?メリット・病院との違いも解説

看護師と高齢者

更新日:2020.11.12

公開日:1970.01.01

セカンドキャリアを目指す看護師の中には「ライフスタイルに合わせた働き方をしたい」「病院以外で看護師の資格を活かしたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、“有料老人ホームで看護師として働く”ということ。

なぜ病院勤務ではなく、老人ホームなのでしょうか?働くことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
今回は、そんな老人ホームで働く看護師の仕事についてご紹介していきます。

有料老人ホームで働く看護師の仕事内容

有料老人ホームは、入居者に食事などのサービスを提供し、必要に応じて日常生活の介助を行う介護施設です。幅広い年代の患者が集まる病院と違い、おもに高齢者が対象となります。介護施設における看護師の仕事内容には具体的にどのようなものがあるのでしょうか?看護師の1日の業務についてみていきましょう。


朝礼・ミーティング
出勤後、まず最初に行うのは朝礼とミーティングです。介護職員と一緒に夜勤スタッフから申し送りを受けます。夜間時の様子を細かく情報共有し、気になる方がいれば看護師自ら入居者の体調をチェックしたうえで必要に応じて医師に相談します。その日の業務内容を確認したのち、介護職員含めた職員に指示出しを行ったりと業務を開始します。


バイタルチェック・処置
ミーティングが終わった後は各入居者の方へ朝の声掛けとバイタルチェックを行います。
普段の様子と比べて異変が無いか看護師の視点で確認しましょう。ここでの確認が早期発見に繋がることもあります。朝食の様子に気に掛けつつ、これまでの様子を把握しながら状況に応じて経過観察を行います。

入浴予定の日は、入浴をしても問題ないかを事前に確認しなければなりません。
入浴介助は介護職員の仕事ですが、皮膚のかぶれや炎症など異変が見られた際には担当のスタッフから報告を受けて症状に合わせた処置を行います。

また医師から指導があったときは、たんの吸引や採血など行います。それ以外にも爪切りや軟膏の塗布といったサポートも看護師に任されることが多いです。


食事見守り
入居者の食事の様子をチェックするのも看護師のおもな仕事です。食べ物は飲み込めているか、食事進み具合に気に掛けつつ、手伝いが必要な方へは食事の介助を行います。
体調不良やうまく飲食ができない方の場合は、食べ物を柔らかくしたり飲み込みやすく刻み食にしたりと配慮しなければなりません。


配薬・薬の管理・投薬など
有料老人ホームにおいて、看護師の仕事としてもっとも大切なのが薬の管理です。
一人ひとりの持病、症状に合わせて薬を処方しなければなりません。人によっては複数の薬を飲まれる方もいますので、処方する際には十分注意しましょう。
また薬によっては食前食後と決まった用法がありますので、処方する時間を考慮したうえで配薬しなければなりません。


口腔ケア
口腔ケアは、肺炎などの呼吸器合併症を避ける目的があります。可能であれば本人にやってもらうのが基本ですが、その際に磨き残しが無いかチェックしなければなりません。
もし磨き残しがあるようなら、介護職員または看護師が歯磨きの介助を行います。
看護師は介助のほかに、介護職員に対してもケアの仕方を指導します。常に清潔な状態を保つことが大切です。


レクリエーション補助
老人ホームでは、季節に合わせたイベントや身体を動かすゲーム、頭を使ったゲームなどの企画を行います。その目的としては、レクリエーションを行うことで脳の活性化やコミュニケーション効果が期待されるからです。基本的に介護職員が中心となって行いますが、看護師がもつ専門性を活かした体操を教えるのもいいですね。
入居者のADL(日常生活動作)を確認するいい機会でもありますので、ぜひ一緒に参加してみましょう。


ケアの記録
1日の終わりには、その日行った業務の内容や入居者の様子などを看護記録にまとめます。入居者の介助や処置をしていた際に気付いたこと、体調や普段の様子に何か変化があったかなど細部に至るまで細かく記録に残します。
微細なところも書き留めることで、万が一急変したときは記録をもとに医師に説明できますし出勤していなかったスタッフへの情報共有もできます。

有料老人ホームにおける看護師とは?

看護師に求められる役割

有料老人ホームにおける看護師の一番の役割は“入居者の健康を管理する”ということ。
おもに入居者の健康をチェックしたり、日常で必要な医療行為を行うのが看護師の仕事です。万が一、入居者の体調に異変があった際にはすみやかに応急処置を行い、必要に応じて救急車の手配と付き添いも行います。

夜勤時に看護師を配置しない有料老人ホームでは以下の役割も担います。
・夜勤担当の介護職員へ緊急対応の指示出しを行う
・吸引などの医療行為を行わなければならない場合、介護職員へ指導する

※吸引などの医療行為を介護職員が行う場合は特別な資格が必要です。

医療行為といっても医師が常駐しない老人ホームでは、限られた範囲でしか行うことができません。おもに医師の指示のもとで看護師が行える医療行為は以下のことが挙げられます。

【看護師が医師の指示のもと行える医療行為】
・インシュリン注射
・床ずれ(褥瘡)の処理
・たんの吸引
・経管栄養(点滴)
・在宅酸素や人工呼吸器の管理

※設備内容によって対応可能な施設と対応できない施設があります。

医師との連携がとれている施設であれば看護師の判断に任せられる機会は少ないかもしれませんが、状況によっては看護師の判断で行動する場面も多くあります。経験と適切な対応が求められる仕事なのです。


病院勤務との違い

看護師にとって、病院と介護施設で働くことにどのような違いがあるのでしょうか。
ふたつの視点からその違いをみていきましょう。

【仕事内容の違い】
はじめに、病院と介護施設では看護師の受け持つ仕事は大きく異なってきます。病院は治療する場所である一方で、老人ホームは高齢者が生活するための場所。したがって、看護師は治療にあたるのではなく、入居者の生活をサポートするのがおもな仕事となります。

また老人ホームでは病院のように医師が常駐しているわけではありません。入居者の急変時には看護師の判断で臨機応変に処置しなければならないのです。


【考え方の違い】
常に緊張感のある病院勤務と比べて、老人ホームでは日々の生活を穏やかに過ごす高齢者がほとんどです。重篤な病気を抱える方は少なく高度な医療は必要ありません。看護師によっては「物足りない…」と感じてしまう方も少なくありません。

患者の場合、飲食ができなくなれば点滴の投与が開始されます。しかし、自然な形で過ごしたいという高齢者が多い老人ホームでは、あくまでも入居者の希望に沿ったサポートをしなければなりません。必要に応じて、食事を流動食に変えたり、飲みたいときに少しずつ水を飲ませるよう介助したりと高齢者に寄り添った考え方が必要です。

有料老人ホームで働くために必要な資格・経験

コミュニケーション能力

コミュニケーションを取る際に注意しなければならないのが、老人ホームは病院ではないということです。治療するためにいる患者ではなく、安らぎのある日々を過ごしたいと考えている高齢者を相手にします。あくまで日々の暮らしをサポートするという意識をもち、話しかけやすい雰囲気を作るなど高齢者に寄り添った姿勢を目指しましょう。
また、有料老人ホームではより安全で質の高いサービスを提供しなければなりません。
そのためには看護師、介護職員以外にも理学療法士、ケアマネジャー、栄養士など、ほかのスタッフとも連携を図る必要があります。チーム医療の一員として、入居者が心身ともに健やかな生活が送れるように高いレベルの対応が求められる仕事です。
しずつ水を飲ませるよう介助したりと高齢者に寄り添った考え方が必要です。

介護職員や協力医と連携できる能力や経験

医師が常駐しない老人ホームにおいては、看護師が必要に応じて現場の指揮をとらなければなりません。そのためには幅広い知識と経験が必要となってきます。万が一、入居者の体調に異変があった際には介護職員と連携して適切な対応にあたりましょう。

病院やクリニックでの看護師経験

日々の健康チェックや普段の様子を見て異変がないかどうかを判断するには、ある程度の実務経験と医療知識が必要となってきます。基本的に看護師の勤務は1日2~3人程度。時間帯によっては1人で勤務しなければならないときもあります。
新卒採用する施設も中にはありますが、少人数体制が多い有料老人ホームでは経験のある看護師を求める傾向にあります。

看護師が有料老人ホームで働くメリット・デメリット

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看護師が有料老人ホームで働く際に、どのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか。まずはメリットについてみていきましょう。

【メリット】
有料老人ホームでの看護師の仕事はおもに入居者の健康チェックと服薬の管理を行います。施設によって若干業務内容は異なってきますが、病院勤務の看護師と比べると業務負担は軽いのが特徴です。また有料老人ホームを利用する高齢者は、重篤な病気を抱える人が少なく穏やかな日々を過ごしたいと考える方がほとんどです。したがって緊急による対応が少ないため、突発的な残業はほとんどありません。
結婚や出産を機に一時看護師の仕事を離れた方には仕事復帰に適した環境だと言えます。

【デメリット】
介護施設では、入居者(利用者)の人数により配置される看護師の人数が決まっています。限られた人数のなかで業務をこなさなければならないため、高いレベルの連携プレイが求められます。また、場所によっては職域がきちんと分けられていないこともあり介護の仕事を手伝う場面も少なくありません。
重篤な高齢者が少ないことから高度な医療行為がなく、研修や勉強会は実施されることはありません。人によっては「物足りない…」と感じてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、その分介護に関する知識を得るチャンスでもあります。看護師としてさらに幅広い分野でスキルアップを図りたい方におすすめの職場です。

有料老人ホーム勤務に向いている看護師とは?

そんなメリット・デメリットがある有料老人ホームですが、具体的にどんな看護師が向いているのでしょうか。

【向いている人】
✓高齢者との交流が好きな方
✓看護師以外にもいろんな立場の人と連携して仕事をしたい方
✓老人介護や高齢者のケア分野に興味がある方


入居者の健康管理をする仕事なので、入居する高齢者とのコミュニケーションは欠かせません。日常の会話から服薬や健康についてのアドバイスなど、高齢者との交流が好きな人に向いている仕事です。また、介護職員や協力医のほか機能訓練指導員、入居者のご家族など、さまざまな立場の方と連携して入居者のサポートを行います。チームケアに魅力を感じられる人に向いているといえるでしょう。ほかにも、老人介護やターミナルケアといった介護分野に興味がある方にもおすすめです。

転職先の老人ホームの選び方

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夜勤があるのか確認する

有料老人ホームには、看護師を24時間配置する義務はありません。
しかし、近年では24時間常駐の看護体制を取り入れた有料老人ホームが増えてきました。その場合「日勤・夜勤」の2交代制、もしくは夜間のオンコール対応など指定してくる場合があります。
求人をチェックする際には、オンコール対応や夜間勤務があるかどうかを必ずチェックするようにしましょう。

老人ホームの種類・規模の違いを理解する

これまで有料老人ホームで働く際のさまざまな魅力についてご紹介してきました。
しかし、老人ホームといっても有料老人ホームに限らずさまざまな形態の介護施設があります。ほかにどのような介護関連施設があるのでしょうか?各施設について簡単にまとめてみましたので一つひとつみていきましょう。


【公的施設】
■特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
要介護を必要な65歳以上の高齢者が居住するための施設。在宅での日常生活が困難な方を介護することを目的としているため、医師の常駐は必要ありません。入居者の健康を管理し急患が出た際にはかかりつけ医の指示に従って看護師が対処します。入居者100名につき3名の看護師の常駐が義務付けられています。

■介護老人保健施設
要介護者の認定をうけた高齢者が入居しており、介護業務だけでなくリハビリなども提供する施設。自宅に戻ることを前提としているため、介護や機能訓練のほか日常生活の世話も行います。この施設では、医師が常駐しており、24時間体制で看護師がサポートを行います。入居者100名あたり看護師は10名以上配置されます。

■介護医療院(介護療養型医療施設)
2018年に法定化された比較的新しい介護施設。2017年廃止された介護療養型医療施設に代わり、医療の必要な要介護高齢者のための長期療養・生活施設として機能しています。入居者6名あたり1名以上の看護師を配置するよう定められています。新しい形態の介護施設なので今後求人が増えると予想されます。


【民間施設】
■サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

有料老人ホームと同じく、基本的に日常生活のおもなことは高齢者自身が行う施設です。そのほかの安否確認、医療的な相談、一部の医療行為などは看護師が行います。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では看護師を常駐させる施設と訪問看護の二種類の施設があります。夜勤もあるため就職する際にはライフスタイルに合っているかどうかを確認したうえで検討しましょう。

■グループホーム
認知症状があり、自宅での生活が困難な高齢者を受け入れる施設。看護師は、点滴や胃ろう、経管栄養などの処置を行います。グループホームでは、入居者3名に対して介護スタッフ1名以上配置しなければなりませんが、看護師は法律上義務付けられていないのが特徴です。しかし近年、高齢者の増加と介護施設の需要の高まりとともに看護師を必要とする声が増えてきました。



施設の規模や入居者の人数によって配置される看護師の人数は異なります。また、それぞれの目的に合わせて看護師が担う仕事内容も夜勤の有無なども変わります。介護施設での勤務をお考えの方は施設ごとの役割を理解したうえで検討してみましょう。

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