仕事・スキル

【看護師向け】申し送りを効率よく行うコツ&ノートの書き方を紹介

申し送り(カンファレンス)

更新日:2020.12.03

公開日:1970.01.01

病院・介護施設で働く看護師さんから「申し送りが苦手…」という声をよく耳にします。特に人前で話す機会の少ない新人看護師さんにとって毎日の申し送りは終始不安と緊張の連続なのではないでしょうか。
そこで、申し送りが苦手という方のために申し送りを効率よく行うコツについてご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。

医療・看護・介護における「申し送り」とは

申し送りとは、交代制勤務の病院や介護施設において、次の担当看護師に業務内容や指示・命令などを伝えることです。正しい情報を伝えることで、患者に継続したケアを提供することができます。基本的には朝方と夕方の2回、日勤と夜勤が入れ替わるタイミングで行います。申し送りにかける時間は勤務先によって若干異なりますが約15~30分程度です。
ナースステーションなどに集まり口頭で申し送りを行うのが一般的なやり方でしたが、最近では業務の効率化を図るため看護記録を介して伝達したり、リーダー間で引き継ぎを行い各担当看護師に指示を出したりと病院によって新しい試みが増えてきてきました。

「申し送り」と「引継ぎ」の違い

一見、申し送りは“引き継ぎのようなもの”とお考えの方もいらっしゃるかと思いますがその違いはなんでしょうか?
申し送りは交代制勤務の際、患者・入居者の容体や発見事項などの情報を後任の看護師に伝えることいいます。一方で、引き継ぎは退職や異動により前任者がやっていた仕事を代わりに後任者が行うことを指します。“情報を伝える”申し送りと“代わりに作業する”引き継ぎでは、意味合いが異なってきますので使う際には注意しましょう。

「申し送り」を行う目的

看護師が申し送りを行うのには以下のような目的があります。
・病棟や施設内で起こったこと、また患者の様子を次の担当者に伝える
・担当医師からの指示を正しく伝えて、安全で確実な検査や処置を行う
・患者からの希望や要望があれば後任者に指示を出し継続して対応する
・情報収集を共有することで、質の良い看護を提供する


例えば、投薬の量、患者の容体、患者やご家族の希望・要望などを把握したうえで看護師は常に細心の注意を払いながら継続してケアしなければなりません。交代制で複数人の看護師が連携して看護を行うことから高いレベルのチームワークが求められます。申し送りは、そんな看護師の業務を行ううえで重要な取り組みのひとつなのです。

「申し送り」に対するイメージ

継続して患者に質の良い看護を行うために欠かせない申し送り。ですが、看護師の視点からみると申し送りに対して苦手意識を持つ人は意外と多いようです。

その理由は、以下のものが挙げられます。
・申し送りのあいだは拘束されるのでナースコールの対応が満足にできない
・申し送りにかかる時間が長く返って効率が悪いと感じる
・人前で喋るのが苦手なのでいつも緊張してしまう…
・うまく伝えられないと先輩看護師に怒られる、質問攻めにされてしまうのが怖い…


特に入職してまだ日の浅い新人看護師は慣れない申し送りに苦手意識を感じてしまう傾向にあります。
緊張のあまり「もごもご…」と声が小さくなってしまったり、話す内容を上手にまとめられず長々と喋ってしまい、先輩看護師から「何を喋っているのか聞き取れません!」「もっと内容をまとめてから話しなさい!」と指導されてしまうなんてことも。そこで次に、看護師さんの苦手意識を解消するために申し送りを効率よくスムーズに行う6つのコツについてご紹介していきます。

効率よくスムーズに申し送りを行う6つのコツ

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相手に聞き取りやすい話し方を心がける

相手に内容を正しく理解してもらうには、聞きとりやすい話し方をすることが重要です。
人前で話すからと緊張のあまり「もごもご」と口籠ってしまったり、声が小さくなってしまっていませんか?また、早く終わらせたいからと早口でまくし立てて要点だけを伝えるのも相手にとっては返って聞き取りにくくなってしまいます。
相手に自分の話を理解してもらうためには、おもに3つのことを意識しましょう。

【相手に伝わりやすい話し方】

・はきはきと明るく大きな声で話す
・背筋を伸ばし正しい姿勢と腹式呼吸を意識する
・周囲の話すスピードに合わせて気持ちゆっくりと話す

ナースコールの音、患者の声、さまざまな人が行き交う病棟内は常に賑やかな状態です。そのなかで、自分の申し送りを正確に聞いてもらうためには、大きな声で明るくハキハキと喋ることを意識しましょう。話し方に自信が無いという方は、レコーダーで自分の申し送りを録音してみたり、先輩看護師に聞いてもらったりなどして確認してみましょう。

申し送りの内容をルーティン化する

正確に情報を共有するためには、あらかじめフォーマットを決めて毎回同じ順番で伝えてみるとよいでしょう。業務の効率化を図るだけでなく確認漏れを防ぐことができますよ。

例えば、申し送りを伝える際に
1、呼吸について…呼吸器、レントゲン、酸素投与量、spO2など
2、循環について…血圧、脈拍、発熱、尿量など
3、意識レベルはどうか…JCS、GCS、瞳孔左右差、呂律、言語障害など
4、皮膚のトラブルはあるか…発赤、オムツかぶれ、体位変換など
5、ご家族に関すること…面会時間、インフォームドコンセントの内容、家族の希望要望など
6、その他…補聴器、転倒歴、患者の趣味嗜好、食事介助の有無など

といったように毎回決まった内容を上から順番に報告していくことで申し送りの際も漏れがなく伝えることができます。この6つの項目は基本的にどの科に属していても聞かれる内容ですので、ぜひ活用してみましょう。

急変時はSBAR(エスバー)を使って短く簡潔に伝える

SBARとは、医療安全対策として「他者にわかりやすく情報を伝えるための手法」です。

 状況(Situation) …何が起こっているのか、その状況について
 背景(Background)…その患者に関すること
 アセスメント(Assessment)…実際に患者を看た看護師の見解
 提案(Recommendation)…看護師としての要望、提案

簡単に説明すると、まずは患者に何が起きているのか状況を把握します。
次に、なぜそのような状況をもたらしたのか背景を確認し、これらの背景を踏まえてどこに問題があるのか状況評価を行い、何をどうしたら解決できるのか改善案を提案します。SBARはおもに患者の容体急変時に用いられることが多く、順を追って説明することで他者に的確に情報を伝えることができます。

リアルタイムに記録し、業務の効率化を図る

パソコンの入力作業が苦手だという看護師さんには、以下のようなちょっとした工夫を凝らすことによって業務の効率化を図ることができます。

・時間があるときは、簡単なキーワードだけでも入力し一時保存しておく
・よく使う長いワードは辞書登録しておく
・タイピング速度を上げるために目標時間を設定する
・メモを書いたうえでさらにカルテに書くといった転記は控える


普段から忙しなく働く看護師さんにとって、“ゆっくりと事務処理に打ち込める時間をとる”というのはなかなか難しいものがありますよね。これらのちょっとした工夫によって、無駄な時間を使うことなく効率的に業務にあたれます。

申し送りがうまい人のマネをする

実際に申し送りを行うなかで、聞いていて上手だと感じる人がいれば積極的に取り入れてみるのもひとつの方法です。「何を重点的に話しているのか」「聞いていて分かりやすいと感じた部分はどこか」など、今の自分に足りないのは何か考えてみましょう。

申し送り事項をメモやノートにまとめる

申し送りに対する苦手意識を改善するためには、メモやノートの書き方をあらかじめ決めておくのもひとつの方法です。
おもに必要となってくる患者の情報は以下の通りです。

【入院中の患者の場合】
・患者の容体について
・治療や処置を行った際の状態、結果報告
・インフォームドコンセントの内容
・担当医師からの指示や変更の内容
・尿量、排泄回数、飲水量などのIN/OUTチェック

【新しい入院患者の場合】

・氏名、年齢、性別などの個人情報
・移送区分
・アレルギーの有無
・既住歴や現病歴
・現在の容体、検査データ
・インフォームドコンセントの内容
・担当医師からの指示内容

必要な情報を箇条書きで書き出しておけば、後々看護記録にもまとめやすくなりますよ。

申し送りノートを書くときに押さえておきたいポイント

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時系列で記録する

申し送りを書く際に押さえておきたい一つ目のポイントは「時系列で記録する」ということ。
業務を開始してから起きた出来事はすべて時系列でまとめるようにしましょう。順を追って説明することで、相手に状況を理解してもらいやすくなります。

数字を使って具体的に書く

二つ目は、「数字を使って具体的に書く」ということです。使用した薬の量、その薬を使用した時間、といったように明確に数字を表記することが大切です。継続して患者のケアを行うためには、説明書きと共に数字でわかりやすく伝えることを心がけましょう。

最初に事実・最後に所感を書く

最後に、申し送りの書き方で気を付けなければならないポイントは「所感や相談事は最後に書く」ということです。
実際に起きた出来事を説明する際に、感じたことや自分の憶測を混ぜて書いてしまうと返って読みづらくなってしまい相手に伝わりにくくなってしまいます。まずは最初に事実を書き、あとから自分の所感や憶測を追加することで正確な情報を伝えることができるのです。

さいごに

看護師にとって申し送りは自分がいないあいだの情報を知るために必要不可欠となる業務のひとつです。しかし実際に行うなかで「うまく喋れない」「質問攻めが怖い」といったストレスを感じてしまい申し送りに対して苦手意識を持つ方は決して少なくありません。
苦手な申し送りを克服するためには、“相手にとって分かりやすい言葉で伝えること”が大切です。
必要な情報を正確に伝えて無駄のない申し送りができるように、6つのコツを参考に改善できるところから始めてみてはいかがでしょうか。