地域包括ケアシステムとはなんでしょうか?
今回は、地域包括ケアシステムの歴史から目的や内容まで分かりやすく解説してきます。
地域包括ケアシステムを簡単に説明すると?
地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で「最後のとき」まで自分らしく過ごすことができるように、地域内で助け合う体制のことです。
地域包括ケアシステムは誰が考えたの?
地域包括ケアシステムは、公立みつぎ総合病院の山口昇医師が生みの親です。
山口昇医師は、手術後に再入院を繰り返す患者さんを食い止める方法として「寝たきりゼロ」作戦から取り組みました。
地域包括ケアシステムはいつから始まった?
地域包括ケアシステムのスタートは1980年代。
「寝たきりゼロ」作戦から始まり、医療と保険・福祉(行政)のドッキングへと発展した後に、介護施設群が併設されるようになりました。
地域包括ケアシステムはなぜ必要なの?
日本は今後も少子高齢化が進み、65歳以上の高齢者は2018年8月時点で3,530万人( 約4人に1人 )を超えていて、2042年には3,878万人になると予想されています。
さらに、75歳以上の後期高齢者も都心部では急速に増加するとされています。
その頃には医療や介護の需要が増えると考えられるので、医療や介護を病院や施設で行うものから、在宅で行い地域の中で自分らしい生活ができるようにと考えられたのが“包括ケアシステム”です。
地域包括ケアシステムを分かりやすくした図解
地域包括ケアシステムは、各地域の実情に合った「 医療 」「 介護 」「 予防 」「 住まい 」「 生活支援 」が一体的に提供される体制を目指しています。
地域包括ケアシステムの中心は地域包括支援センター
地域包括支援センターは、市町村が主体になって設置している施設です。地域包括支援センターには、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等の専門の職員が配置されていて、地域の住民を包括的にケアし支援する役目をもっています。“地域包括ケアシステム”の中心にある施設です。参照:介護保険法第115条の46第1項 地域包括ケアシステムの内容について
続いて、地域包括ケアシステムの内容についてご紹介します。
地域包括ケアシステムの5つの構成要素
地域包括ケアシステムの具体的な内容は、大きく分けると「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「予防・保健」「生活支援・福祉サービス」「住まいと住まい方」の5つで構成されています。
「医療・看護」→かかりつけ医や地域の病院など医療と看護に関わるサービス
「介護・リハビリテーション」→在宅型介護サービスと施設・居住型介護サービス
「予防・保健」→元気に暮らしていけるような介護予防をするサービス
「生活支援・福祉サービス」→高齢者の暮らしをサポートする仕組みづくりをするサービス
「住まいと住まい方」→自宅や介護付きの施設など、高齢者の住まい確保のためのサービス
地域包括ケアシステムと地域共生社会について
介護を“受ける側”と“受けられる側”に分かれて考えず、全ての住人が役割を持ちながら支え合うコミュニティーづくりは、地域共生社会の目標のひとつです。
高齢者・障害者・子どもなどさまざまな人たちが支え合って生活をしていく、地域共生社会を目指すための第一歩が地域包括ケアシステムとも言えます。
地域包括ケアシステムを構築するためには
厚生労働省は“地域包括ケアシステムを構築するためには、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備とを同時にすすめることが重要“としています。
「ニーズ調査」「地域ケア会議」と「見える化システム」の充実は欠かせませんね。
地域包括ケアシステムを構築するためには「地域ケア会議」が必要
個々の課題については関係者による「地域ケア会議」が開かれ、対策を検討します。
市区町村レベルの「地域ケア会議」では地域包括ケアシステムに関わる全員が、今の課題を共有して、検討するために役所の職員も交えて今後の展開を会議していきます。
地域包括ケアシステムには「見える化システム」を導入しよう
地域包括ケアシステム「見える化システム」は、厚生労働省が運営しているシステムです。各自治体での介護事業の状況や、地域包括ケアシステムの構築に関するさまざまな情報が一元化されています。グラフでも見ることができるようになっていて分かりやすく、各自治体の問題点がみつけやすくなります。参照:厚生労働省ホームページ 「 見える化システム 」 地域包括ケアシステムの構築には自治体ごとの工夫が必要
今回は地域包括ケアシステムの歴史と内容、構築についてご紹介しました。
地域包括ケアシステムを構築するには、自治体ごとに課題をみつけて工夫や対策を考えていく必要があります。
地域のみんなが住みやすく、自分らしく生きていけるような共生社会を目指していきましょう。