看護師として働く上で、避けて通れないのが夜勤です。
病棟勤務では、ほとんどの職場で夜勤があります。
今回は看護師の2交代と3交代の夜勤スケジュールを解説します。
看護師の夜勤の仕事内容、メリット・デメリット、辛い夜勤の乗り越え方も解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
看護師の夜勤の勤務体制とは
まずは看護師の夜勤の勤務体制を解説します。
2交代と3交代それぞれの、勤務スケジュールを見ていきましょう。
また、夜勤専従勤務という働き方も紹介します。
2交代制
看護師の2交代制勤務は「日勤」の「夜勤」2つの勤務から成り立ちます。
日勤では約8時間の勤務を行い、夜勤では約16時間の勤務をこなすことになります。
夜勤はかなり長時間の勤務になりますので、2〜3時間の休憩をとりますが、病状の安定しない患者さんが多い病棟では、休憩時間を取れない場合もあるようです。
2交代制では、夜勤の勤務時間がかなり長いですが、通勤回数が少なくて良いという特徴があります。
勤務地と自宅が離れている場合、何度も行き来するのは大変ですので、2交代制のほうが有り難いという意見もあるようです。
2交代の場合、夜勤の回数は月に4回〜6回程度です。
基本的には夜勤明けの翌日は休みになるようにシフトが組まれます。
また、日本看護協会の「2020年病院看護実態調査報告書」によると、採用している夜勤・交代勤務の形態は2交代制(夜勤1回あたり16時間以上)が64.4%と、半数以上を占めています。
(参考:日本看護協会 2020年病院看護実態調査報告書)
2交代制の勤務スケジュール
看護師の2交代制の具体的な勤務スケジュールを見てみましょう。
※これらは一例です。
【日勤】
8:00 勤務開始 更衣
8:10 情報収集 夜勤看護師から申し送りを受ける
8:30 カンファレンス
9:00 検温
10:00 病棟ラウンド 看護ケア
11;30 配膳 食事介助 食事量入力
12:00 休憩
13:00 口腔ケア 配薬
14:00 入浴介助 排泄介助
15:00 処置 検査 点滴管理
16:00 看護記録記入
16:30 夜勤看護師への申し送り
17:00 勤務終了 更衣
【夜勤】
16:00 勤務開始 更衣
16:10 情報収集
16:30 日勤看護師から申し送りを受ける
17:00 情報収集 看護記録の確認
17:30 病棟ラウンド
18:00 配膳 食事介助 食事量入力 口腔ケア
19:00 配薬 検温 点滴交換 排泄介助
20:00 休憩
21:00 消灯 病棟ラウンド
22:00 体位交換 ナースコール対応
23:00 病棟ラウンド 点滴管理
24:00 病棟ラウンド 看護記録記入
1:00 休憩
3:00 病棟ラウンド 看護記録記入
4:00 体位交換
6:00 起床 採血 更衣介助
7:00 配膳 食事介助 食事量入力 口腔ケア
8:00 配薬 日勤看護師への申し送り
9:00 勤務終了 更衣
3交代制
看護師の夜勤の3交代制は「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つの勤務から成り立ちます。
それぞれ約8時間の勤務になります。
日勤では8:00〜17:00
準夜勤では16:00〜1:00
深夜勤では0:00〜9:00
上記のような勤務スケジュールで、各勤務帯ごとに約1時間の休憩があります。
3交代勤務では2交代勤務よりも各勤務の拘束時間が短いのが特徴です。
ですが、深夜帯勤務では夜中に家を出て仕事場に向かわなければならないのがネックです。
3交代制の勤務スケジュール
看護師の3交代制の具体的な勤務スケジュールを見てみましょう。
※これらは一例です。
【日勤】
8:00 勤務開始 更衣
8:10 情報収集
8:30 夜勤看護師から申し送りを受ける カンファレンス
9:00 検温
10:00 病棟ラウンド 看護ケア
11;30 配膳 食事介助 食事量入力
12:00 休憩
13:00 口腔ケア 配薬
14:00 入浴介助 排泄介助
15:00 処置 検査 点滴管理
16:00 看護記録記入
16:30 夜勤看護師への申し送り
17:00 勤務終了 更衣
【準夜勤】
16:00 勤務開始 更衣
16:10 情報収集
16:30 日勤看護師から申し送りを受ける
17:00 病棟ラウンド
17:30 検温
18:00 配膳 食事介助 食事量入力 口腔ケア
19:00 休憩
20:00 配薬 病棟ラウンド 点滴管理
21:00 消灯 病棟ラウンド 体位交換
22:00 病棟ラウンド 看護記録記入
23:00 病棟ラウンド 看護記録記入
00:30 新夜勤看護師への申し送り
1:00 勤務終了 更衣
【深夜勤】
0:00 勤務開始 更衣
0:10 情報収集
0:30 準夜勤看護師から申し送りを受ける
1:00 病棟ラウンド 体位変換
2:00 病棟ラウンド 体位変換 備品チェック
3:00 休憩
4:00 病棟ラウンド 体位変換 点滴管理
5:00 病棟ラウンド 体位変換
6:00 検温 採血
7:00 配膳 食事介助 食事量入力 口腔ケア
8:00 看護記録記入
8:30 日勤看護師への申し送り
9:00 勤務終了 更衣
夜勤専従勤務について
夜勤専従看護師は、その名の通り夜間勤務を専門とする看護師のことです。
夜間の勤務をメインで行うため、日中に仕事をするのが難しい方でも働くことができます。
妊娠、出産、育児中、介護中、自身の疾患などが理由で夜間の勤務が難しいスタッフがいる病院では、夜勤専従看護師のニーズが高くなります。
看護師の夜勤の仕事内容
続いては看護師の夜勤の主な仕事内容を紹介します。
夜間帯の主な仕事内容は、以下の通りです。
・夕食の配膳
・夕食の食事介助、食事量の観察、食後の口腔ケア
・消灯の準備
・消灯後の病棟のラウンド
・点滴管理
・夜間帯の体位変換
・早朝の採血
・朝食の配膳
・朝食の食事介助、食事量の観察、食後の口腔ケア
この他の看護記録の記入や、ナースコール対応などは、日勤と同様に行います。
また、夜間帯に緊急入院や急変があった場合などは、その都度対応を行います。
看護師の夜勤のメリット・デメリット
続いては看護師の夜勤のメリットとデメリットを紹介します。
看護師の夜勤のメリット
まずは看護師の夜間勤務のメリットを見ていきましょう。
3つに分けて解説します。
看護師の夜勤のメリット①収入が増える
夜間帯の勤務では特別に手当が支払われるため、夜勤なしの勤務よりも収入が増えます。
日本看護協会の「2020年病院看護実態調査報告書」によると、手当の額は
3交代制準夜勤では4,154円、3交代制深夜勤では5,122円、2交代制夜勤では11,286円とのことです。
(※看護職員が平日に夜勤を行った場合。手当額は深夜勤務帯22時〜翌5時の割増賃金を除いた定額部分のみ。新型コロナウイルスに係る危険手当等を除く。)
(参考:日本看護協会 2020年病院看護実態調査報告書)
看護師の夜勤のメリット②日中は自由に過ごせる
看護師の夜勤は2交代でも3交代でも、午後からの勤務です。
半日以上は自由な時間ですので、趣味や遊びに時間を費やすことができます。
平日に夜勤がある場合は、商業施設などが空いている時間帯に買い物や用事を済ますことができるのもメリットです。
ただ、夕方からは勤務がありますので、飲酒や遠出はできません。
看護師の夜勤のメリット③経験値が増える
夜間帯は少ないスタッフでさまざまな状態に対応しなければなりません。
予期せぬ緊急入院や、患者さんの急変などが起こる可能性も大いにあります。
日中の勤務だけでは経験できない場面にも遭遇することができ、看護師としての経験値がアップするでしょう。
看護師の夜勤のデメリット
続いては看護師の夜間勤務デメリットを見ていきましょう。
3つに分けて解説します。
看護師の夜勤のデメリット①生活リズムが崩れる
人にはサーカディアンリズムがあり、昼間に活動し夜間は休息するようになっています。
そのため夜間に活動すると、サーカディアンリズムが崩れてしまいます。
生活リズムが崩れてしまうと、不眠や睡眠の質の低下、疲労回復能力の低下、ストレスの蓄積などの悪影響が引き起こされます。
一度崩れてしまった生活リズムをもとに戻すのは難しいので、夜勤によって引き起こされる問題は大きなものだと言えます。
看護師の夜勤のデメリット②家族との生活がすれ違う
看護師の夜勤では、家族が寝静まっている時間に帰宅したり、出勤したりしなければならない場面があります。
そのため夜勤のない生活をしている家族と、生活がすれ違ってしまいます。
夜間に帰宅したり、仕事の準備をすることで、家族のストレスになり家族全体の問題に発展してしまう可能性も。
看護師の夜勤のデメリット③疲れがたまる
看護師の夜勤は、通常であれば寝ている時間帯に働かなければなりませんので、疲労感が高まります。
3交代勤務では、日勤から深夜勤までの時間や、準夜勤から日勤までの時間が短く、十分な休息が取れずに出勤しなければいけないことも。
時間外労働が発生した場合には、さらに休息時間が削られてしまいますので、よりハードな勤務状況になってしまいます。
加齢に伴い体力が低下していくため、年齢が増すごとに夜勤が辛くなるという人も多いようです。
辛い看護師の夜勤を乗り越えるコツ
夜間勤務は通常なら、ベッドで休んでいる時間帯に勤務しなければなりません。
そんな辛い夜勤の乗り越え方を紹介します。
人と過ごす時間を大切にする
夜間帯に勤務をしていると、通常の生活をしている方と時間を共有することが難しくなってしまうことがあります。
休日には人と過ごし、気持ちをリフレッシュする時間を設けられるように、周囲の人と予定を調整して時間を作りましょう。
また、周囲に夜勤勤務への理解を求めることも大切です。
夜間帯に勤務しており、日中に休息を取る必要があることを予め伝え、予定を調整してもらいましょう。
ポジティブに考える
夜間に働くことは、身体的に辛いことですが、良い面もあります。
日中は自由に時間を使えること。
混雑の少ない時間帯に、用事を済ませられること。
平日の昼間に行われる地域の活動や、行事などに参加できること。
辛い面ばかりではなく、ポジティブな側面を見つけることが大切です。
自分にあった働き方を考える
自分にあった働き方について考えることはとても大切なことです。
男性も女性も、今一度自分の働き方とプライベートのバランスについて考えてみましょう。
夜勤をすることも、夜勤をしないことも自由に選択することができます。
病棟勤務では夜勤なしの勤務が難しい場合もありますが、病床を持たない病院やクリニックでは日中のみの勤務も可能です。
自分にあった働き方はどんなものかを考え、納得して勤務することはワークライフバランスにおいて重要なことです。
休息する環境を整える
看護師の夜勤ありの勤務では、限られた時間のなかで休息を取る必要があります。
休息する環境を整えることは、質の高い睡眠のために重要です。
日本看護協会の「看護師の夜勤・交代勤務に関するガイドライン」では、睡眠の質を高める寝室の環境として、夏は25℃、冬は15℃、湿度は年間を通して50%くらいが適切だとされています。
ソファなどではなく、ベッドや布団で休息を取ることも重要です。
(参考:日本看護協会 看護師の夜勤・交代勤務に関するガイドライン)
健康的な食事を摂る
丈夫な体作りの基本として、健康的な食事を摂りましょう。
夜勤のときでも可能な限り、普段と同じ時間帯に食事を摂ることが望ましいです。
適度な運動をする
適度な運動は、健康の維持やストレス発散に役立ちます。
過度な運動は体を疲れさせてしまいますので、自転車やジョギング、水泳など、無理のない範囲で体を動かすのがおすすめです。
夜勤中に仮眠を取る
夜勤中の仮眠を適切に取ることも大切です。
夜勤中の仮眠に関しては、病院や施設ごとに規定がありますので、予め確認しましょう。
2時間以上の仮眠を取るのが理想的ですが、短時間でも眠るようにすることで、夜勤中の集中力の維持に役立ちます。
看護師が夜勤無しで働ける職場とは
最後は看護師が夜勤無しで働ける職場を紹介します。
・外来
・放射線科
・クリニック
・美容外科
・透析
など。
入院の受け入れがない診療科や、病床を持たないクリニックなどは夜勤無しの勤務が可能です。
上記の中にも病院の方針によっては夜勤を伴う場合もありますので、確認が必要です。
まとめ
今回は看護師の夜勤についてまとめました。
看護師の夜勤は辛い部分もありますが、収入面などではメリットも多くあります。
ただし、生活リズムが乱れてしまう恐れや家族と生活がすれ違ってしまう可能性もありますので、夜勤を行う際はワークライフバランスをよく考えることが重要です。
皆さんも自分にあった働き方で、無理のない看護師ライフを送りましょう。
※掲載情報は公開日あるいは更新日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。