旦那さんの都合で東京に転勤になる助産師さん。 東京の妊婦の傾向や最近の分娩施設の動向はご存知でしょうか? 知らない土地での転職活動には情報が不可欠! という事で今回は、東京で転職活動を行う助産師さんのタメになる出生にまつわるアレコレや分娩施設の動向をピックアップします!
<東京における助産師の転職事情:出生数の推移>
東京都の出生数は増加傾向
少子化や未婚率の増加が世間では叫ばれており、全国の出生数は年々下がるばかり。
しかし、実は東京では2005年以降、出生数は増加傾向にあります。
これといった確証データはありませんが、東京都における出生率の増加の背景には、20代から30代の出産適齢期と呼ばれる女性の人口が多い事、認可保育園の増加や産後ケア施設など育児支援サービスが充実している事、またそれに伴い第二子、第三子の出産が増えた事などが関係しているのではないかと思います。
東京都では働く女性が多いので、仕事と育児との両立を図る取り組みがどこよりも進んでいるように感じます。雇用する側の育児に対する福利厚生やママに対する意識も寛容になっていますので、仕事に育児に奮闘するママが増えているのではないでしょうか。
<東京における助産師の転職事情:東京では晩産化が進む>
東京都における初産の平均年齢は全国で一番高く、32歳(※1)です。
高齢出産が多い東京では、近年の動向を見ても、20代の出生数は減少しているのに対し、30代以上の出生数は右肩上がりに増加。今後もますますの晩産化が進むと思われます
晩産化になると助産師にとってどんな影響があるのでしょうか。
【晩産化の影響:妊娠合併症の増加】
妊婦の年齢が上がるにつれ妊娠合併症の発生頻度が高くなると言われています。
<加齢とともに増加する可能性が高い妊娠合併症>
・前置胎盤
・胎盤早期剥離
・頸管無力症
・妊娠高血圧症候群
【晩産化の影響:助産師の役割】
晩産化が進みハイリスク妊娠が増えることで、ハイリスクを告げられた妊婦の心理ケアやハイリスク妊産褥婦・胎児の双方のアドボケイトとしての役割が求められます。
専門家の中には、“ハイリスク妊産褥婦が治療を選択・決定 する際に、助産師が専門的知識をもって治療に関わり、正しい情報提供を行い、母親とその家族がその人
らしく尊厳をもって生きられるようサポートするような関わりが必要であろう。”という見解もあるなど、東京における晩産化の影響は助産師の役割にも及んでいます。
<東京における助産師の転職事情:東京ならではの周産期医療体制>
東京都には、周産期医療の最後の砦といわれる「スーパー総合周産期センター」があります。2008年に都内で起こった救急受け入れ不能問題による妊婦の死亡事件をきっかけに、必ず患者を受け入れる医療機関=スーパー総合周産期センターの設置が決定しました。
現在スーパー総合周産期センターに指定されているのは以下の6施設。
・昭和大学病院
・日本赤十字医療センター
・日本大学医学部付属板橋病院
・都立墨東病院
・東京都立多摩・小児総合医療センター
・杏林大学医学部付属病院
23区内に4施設、23区外で2施設がスーパー総合周産期センターに指定されています。
東京の救急体制においては、全国で唯一、救急車の完全広域の運用を行っており、東京消防庁では助産師が母体搬送コーディネーターとして活躍しています。
<東京における助産師の転職事情:分娩施設>
分娩を扱う助産院の減少
東京都では助産院の数が減少しています。
助産院の減少の背景には、多様化する妊婦のニーズに応えきれなくなっているというのがあるようです。
【様々な妊婦のニーズ】
・無痛分娩
・和痛分娩
・4Dエコー
東京は高所得者が多いので、分娩費用の高い無痛分娩や和通分娩を視野に入れている妊婦が多く、パートナーに関しても無痛分娩に対して理解があり、無痛分娩や和通分娩を希望する妊婦が他の都道府県よりも多い傾向にあります。
また、前述したように、東京における初産の平均年齢は年々高くなっており、35歳以上の初産、ハイリスク妊娠の割合も他の都道府県よりも非常に多くなっています。
無痛分娩へのニーズが高まり、晩産化が進む東京では、病院やクリニックでの出産を選択する妊婦が増えており、助産院で出産をする妊婦は減っているというのが現状です。
東京ではセミオープンシステムを取り入れるクリニックが多い
「セミオープンシステム」というのはご存知でしょうか。
「セミオープンシステム」とは、妊娠36週までの妊婦健診は近くのクリニックや病院で受診し、分娩は高度な設備がある基幹病院で出産を行うというシステムです。
産科医の高齢により分娩を休止する診療所が出てくるなか、ハイリスク妊娠を扱う高度医療機関に負担がかかってしまいがちに。そこで誕生したのがこの「セミオープンシステム」です。
分娩を行わない診療所と外来の負担を減らしたい大病院が役割を分担することで、人口が集中し、高齢出産も多い東京の妊婦のニーズに対応しています。
例えば東京都練馬区では、分娩を行う医療機関は8件なのに対し、セミオープンシステムに登録している医療機関は23件にものぼります。
セミオープンシステムに登録している医療機関では、分娩は行っていませんが、妊婦健診や母乳外来など分娩以外の産褥婦・新生児のケアは行っていますので、「日勤のみで働きたい」「ケアやアドバイスをメインでやりたい」という働き方ができます。
産後ケア入院施設が充実
産後ケア施設は近年全国で増加しており、国も産後ケアの充実に向け支援を行っています。
都内にある産科・産婦人科を標榜する施設に行った産前産後ケアの実施状況アンケートによると、約46%の施設が産後ケアを行っているという結果になりました。産後ケアの内容には、宿泊型や日帰り型、訪問型など様々な支援方法があり、その中でも最も多いのが訪問型の産後ケアでした。
訪問型の産後ケアは、自治区が企業や医療機関、助産院に委託しているケースも多く、品川区では、2016年4月1日から「産後家事育児支援訪問事業」を開始。生後6ヶ月以内の乳児を抱える母親を対象に、1時間1000円~のベビーシッターサービスを行い、母親の心と体のケアを目指しています。
母親の元でケアを行うのは産後ドゥーラと呼ばれる専門資格を持ったスタッフ。産後ケアのニーズが高まる東京では、産後ドゥーラの資格を取得し、産前産後のプロフェッショナルとして働くのもひとつの選択肢かもしれません。
◆まとめ
東京都の妊婦や分娩施設の傾向はいかがでしたでしょうか。
全国各地の分娩施設や助産師の情報を調べるうちに、出産方法や自治体の取り組みなど、地域によって特色があるなと実感しています。
これから東京で働く予定の助産資産は、東京進出を機に、様々な働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
東京での転職にお困りの助産師さんは、ぜひ地域密着の看護師ワーカーにご相談ください。
あなたの希望にピッタリの転職先が見つかるかもしれません。