国家試験に無事合格し、看護師としての道を歩き始めた新人看護師さん。
念願だったはずが、「もう辞めたい」と思っている人も多いのでは。
このタイミングで辞めるか辞めざるべきか、とても悩みますよね。
そこで、看護師転職サイト「看護師ワーカー」で、多くの看護師さんの転職をサポートするキャリアアドバイザーさんにお話を伺いました。
そこには、悩める新人看護師さんのヒントになる言葉がたくさんありました。
“辞めたい” には波がある。新人看護師が辞めたいと感じる時期
看護師としてバリバリ働くつもりだったはずなのに、いったいいつ頃から辞めたいと思うようになるのでしょうか。
一般的に、新社会人が最初に辞めたいと感じるのは、就職して1か月が過ぎるゴールデンウィーク明けと言われています。
シフトが不規則な看護師さんの場合は、どうなのでしょうか。
キャリアアドバイザーさんによると、新人看護師さんもやはりゴールデンウィーク明けが多く、次に本格的に夜勤を担当するようになる10月ごろが多いのだとか。
早いと1~2週間で、すでに職場に行っていないというケースもあり、そのまま退職・・・となることもあるそうです。
入職1〜2週間
何もかもが初めてで緊張の連続。学生気分が抜けきらないまま現場の空気に触れ、自分の選択が間違っていたのでは ・・・と不安に感じる時期です。
<アドバイザーより>
誰でも新しい環境に不安を感じるもの。考えすぎず、まずは慣れることをだけ考えてみましょう。
入職1~2か月
環境にも少し慣れるころですが、できないことが多く落ち込む時期でもあります。
ゴールデンウィークに友人から仕事の話を聞くなど、他職種がうらやましく感じることも。
<アドバイザーより>
まだまだ始まったばかり、最初から完璧にできる人なんていません。
入職3か月
できないことばかりで落ち込み、まわりと比べて自分の成長が遅いと焦りを感じがち。
<アドバイザーより>
他人と自分との比較は意味がありません。
大切なのは、時間がかかっても確実に仕事ができるようになることです。
入職半年
本格的に夜勤が始まり、体力的にもつらさを感じるように。半年が経ち、新人看護師の辞めたいがピークになります。
<アドバイザーより>
怒涛のような半年間に、余裕をなくしているかもしれません。
まずは半年間働いてきた自分を褒めてあげましょう。
1年の半分をがんばれたのだから、あともう半分がんばってみようと考えてみては。
毎日忙しく、こなすだけで精一杯という方や、うまくできないことばかり・・・という人もいるでしょう。
けれど、その毎日の積み重ねが、確実に看護師としての成長につながり、できなかったこともできるようになる日がきます。
新人看護師が辞めたいと感じる理由
では、新人看護師が辞めたいと感じるのには、どのような理由があるのでしょうか。リアリティショック〜理想と現実のギャップ~
新卒看護師の就職先として多いのが、大学病院など急性期の病院。急性期では、緊急入院なども含め毎日多くの看護にあたります。生死に関わる場面も多く、なかには救えない命もあります。看護師としてできないことのラインを目の当たりにし、思い描いていた看護師像と違うことに大きなショックを受けます。<アドバイザーより>患者さんの死を辛いと感じるのも、無力感を感じるのも当然です。けれど、できないことがあるのを自覚し、そのうえで自分ができることは何かを考え、看護にあたる。あなたの看護に助けられる患者さんはたくさんいます。インシデント・ミス
カルテの入力ミス、ルートが確保できない、与薬時間を間違える・・・。新人看護師さんの場合、慣れない仕事に緊張してミスやインシデントを起こしがちです。重大な事故につながることを恐れ、辞めたいと思う人もいます。<アドバイザーより>今はベテランの看護師でも、新人時代にミスをしなかったという人はいません。ミスをするのは仕方のないこと。落ち込むのではなく、どうすればいいかをきちんと反省し、ミスは繰り返さないという姿勢が大切。先輩に積極的にアドバイスを求める・相談するのもひとつです。人間関係
人間関係は、多くの看護師さんの悩み。新人看護師さんに限っていうと、プリセプターにあたる先輩との相性が大きな原因のようです。患者さんのケアの最中に、「手際が悪い」「下手くそ」と横から罵られたり、ナースステーションで大げさにミスを言いふらされたり・・・。そもそも、教えてもらうことすらできなかったという人もいるそうです。<アドバイザーより>言いにくいかもしれませんが、まずは上司に相談してみましょう。一人で抱え込むのではなく、誰かに話すことが大切。そこで改善されなければ、部署異動を願い出てみましょう。夜勤
夜勤もまた、看護師さんにとって悩みのひとつといえます。生活リズムが不規則になる、少人数での看護による精神的プレッシャーなど、心身ともにハード。特に新人看護師さんは、日勤の業務もまだ完璧ではないのに、夜勤まで・・・と、プレッシャーに感じてしまいます。<アドバイザーより>先輩看護師さんのお話を聞くと、夜勤に慣れるのに半年以上かかったという声が多いです。一緒に夜勤を担当する先輩看護師への、報告・連絡・相談をしっかり行うことを心がけ、徐々に慣れていきましょう。 引き止め、お礼奉公・・・辞めたくても辞められない現状
2016年度の新人看護師の離職率は7.8%(※1)。入職一年以内に「辞めたい」と思い、実際に辞職まで至った人の割合です。しかし、辞めたくても辞められない、新人看護師さんならではの理由も存在します。(※1)出典:日本看護協会「2016 年 病院看護実態調査」 結果速報
■上司に引き止められて辞められない
意を決して辞めたいと伝えても、「まだその経験ではほかに行くところがないよ」と引き止められ、辞められないケースも多いようです。経験不足を自分が誰よりも分かっているからこそ、そこで一旦踏みとどまり、「やっぱりもうちょっとがんばります・・・。」と答えてしまうそう。なかには、何度言っても止められて辞められずにいる人も。辞めた後のことを不安に感じているからこそ、そこを突かれると「辞めます!」と言えなくなるのも分かります。■お礼奉公で辞められない
看護学校卒業後、奨学金を借りた病院で看護師として働くことを「お礼奉公」といいます。奨学金を借りた期間相当(3年程度)働けば、返済を免除する病院が多くなっています。ただし、期間途中の退職は一括返済を条件としているケースがほとんど。お礼奉公の途中でも退職は可能ですが、奨学金の返済を考えると、辞めたくても辞められない、というのがお礼奉公中の新人看護師さんの実情。少しでも早く奨学金を返済するため、夜勤バイトをしたいと看護師ワーカーに登録する新人看護師さんもいるそうです。夜勤バイトってどんなもの?看護師の夜勤バイトには、病院はもちろん、介護老人保健施設や有料老人ホームなどがあり、いずれも高給与なのが魅力です。月4回程度の出勤が目安で、1勤務の給与平均は約20,000円。高いと1回40,000円近くというところもあります。仮に、奨学金を月額5万円で3年間借りたとすると、トータル180万円。夜勤バイト1回20,000円×4回=月8万円、1年で96万円。本業の給料から、がんばって月々7万円を貯蓄に回せば、1年で84万円。96万円+84万円=180万円。合計すると、1年で奨学金返済のめどが立ちます。ただし、病院の夜勤バイトは即戦力が求められること、介護施設などは看護師が一人であることを考えると、夜勤も含めてある程度看護師の仕事に慣れてからがおすすめ
です。また、勤務先によってはダブルワークを禁止している場合もあります。夜勤バイトを始める前に、必ず就業規則を確認
しておきましょう。☆詳しくはこちらのコラムをご覧ください 夜勤バイトって何するの!?病院・施設・クリニックの仕事内容を徹底解剖! 看護師夜勤バイトの給料を徹底調査!都市×施設形態ごとの平均給与額を発表! 入職3ヶ月や半年で辞めても転職できる?
では、仮に退職できたとして、経験不足の新人看護師に転職先はあるのでしょうか。「3年は我慢して働く」説は健在?
新社会人が仕事を辞めるかどうか悩んだとき、“まずは3年働いてから”という言葉をかけられることが多いですよね。はたして、看護師の世界でもそうなのでしょうか。キャリアアドバイザーさんによると、必ずしも3年ということはないそう。ただ、経歴を重視する病院も多く、経験年数3年以上と設定している病院があるのも事実。転職先に希望する病院があるなら、同じ病院で3年以上働いたほうが転職に有利といえます。しかし、数か月しか働いていないからといって、採用してくれる病院がないわけではありません。人手が足りていないところで、未経験でもいいからきてほしいという病院もあり、第二新卒の方が多いと言われる病院もあるそうです。ただ、フリーで働ける若い人にきて欲しいという病院は、第二新卒も歓迎されますが、かなり忙しい病院である可能性もあります。<アドバイザーより>新人看護師さんが転職する場合、教育制度が充実しているか、じっくり働くことができる病院かどうかがポイントです。 辞めたいという新人看護師さんに、転職アドバイザーからのアドバイス
<アドバイザーより>
国家試験に合格し、看護師という責任のある仕事に就いていること自体すばらしいです!
新人でミスをするのは当然ですから、気にしすぎないことも大切。
人間関係がつらいなら相談する・部署異動を申し出るなど、まずは今の病院に残るための方法を考え、行動に移しましょう。
それでもやっぱり辛い・・・ということであれば、無理はしないでください。
第二新卒として転職は可能です。切り替えて、自分に合った転職先を探しましょう。
「話を聞いてほしい」というご相談でも構いません。
お一人で抱えこまず、ぜひ看護師ワーカーまでご相談ください。
関連記事