新卒からずっと病院で働いていると、「クリニックって働きやすそう」と、思ったことがあるのでは?
本当に働きやすい?経験が浅くても働ける?給料は・・・?
クリニックに転職を考えている若手看護師さんの、気になるあれこれについてまとめました。
クリニックは病院とどう違う?
病院で働いていると、クリニックが良さそうには見えても、実際のところどうなのかはよくわからないもの。
まずは病院とクリニックの違いを解説します。
施設規模・役割の違い
| クリニック | 病院 |
ベッド数 | 無床もしくは19床以下 | 20床以上 |
医師の数 | 最低1人 | 最低3人 |
看護師の数 | 無床は規定なし 有床は4:1(※1) | 人員配置基準による |
役割 | ・外来医療が中心 ・かかりつけ医としての役割もある | 外来医療も行うが入院医療が中心 |
出典: 全日本病院協会 病院の機能と組織クリニックでは無床の場合、看護師の数に規定がなく、医師1人・看護師1人ということもあります。経験が浅く、まだ知識や手技に不安があるという若手看護師さんは、最低でも看護師が2人以上在籍しているクリニックが無難です。なぜなら、・2人いれば1人は通常の業務に対応し、もう1人に教えてもらうことができる
・誰かが急な休みになった場合も、1人の看護師に対する負担を減らすことができる
からです。(※1)出典:厚生労働省 医療法に基づく人員配置標準について 看護師の年齢層の違い
クリニック看護師の特徴としてあげられるのが、病院よりも平均年齢が高いということです。厚生労働省の調査(※2)でも、25歳未満でクリニックに入職する看護師はわずか数%だったのが、30代で約10%、40代以上では約20%と、年齢が上がるごとに増加を示しています。理由は以下の二つが考えられます。①日勤のみ・日祝固定で休みが基本=子育て中のママ看護師がクリニックには多い②新卒で病院に就職し、数年後にクリニックに転職するケースが多いクリニックによっては自分と歳の近い看護師がいないことも考えられます。今までと違って同期のいない、まわりがすべて年上ばかりの環境でも、萎縮せず対応できるかどうかは考えておきましょう。 (※2)出典:看護職員の現状と推移 看護師の年齢階級別就業場所の割合(平成24年) 求められるスキルの違い
クリニックは外来が中心で、医師の診療補助が主な仕事。採血ができればOKというクリニックもありますが、必要とされるスキルは主に、・採血・注射・点滴・バイタル測定・問診・器具の洗浄と消毒といった基本的な看護技術です。このことから、経験の浅い若手看護師でも、基本的なスキルが身についていればクリニックへの転職は可能であることがわかります。一方で、病棟で経験したような、膀胱留置カテーテルの挿入や人工呼吸器の管理といったスキルを使う機会はなくなります。クリニック看護師になるとスキルが落ちるといわれれるのはこのためです。★病院とクリニックの違いについて詳しくはこちらのコラムもご覧ください 新卒看護師でもクリニックで働ける?病院との違いを徹底比較! 求められる対応力の違い
クリニックではスタッフの人数が少ないぶん、1人の看護師がカバーする範囲は広くなります。
電話応対、備品の管理と発注、掃除、洗濯・・・これも看護師の仕事?と思うようなこともクリニックでは担当します。
また、注射や採血など基本的なスキルがあればOKと上述しましたが、忙しいクリニックでは数をこなす必要があります。
基本的なことだからこそ、スピーディーに行わなくてはなりません。
苦手と感じていることがあれば、なるべく転職する前に克服しておくほうが安心です。
クリニック看護師に転職するメリット・デメリットとは?
病院からクリニックへ転職するメリット・デメリットを確認しておきましょう。<メリット>
○プリセプターやリーダー業務なし○難しい処置がない、処置が少ない○人数が少ないので派閥がない○固定で休みがある○専門性を高められる○残業が少ない○夜勤がない<デメリット>
✖教育体制が整っていないこともある✖スキルが偏る✖スタッフ間の相性が悪いと居づらい✖人数が少ないため急な休みは取りづらい✖掃除など雑務もこなす処置が少ないぶんスキルが偏るなど、メリットがデメリットになることもあります。病院ではきちんと役割が分担されていたのが、クリニックによっては受付や掃除もやらなければなりません。クリニックへの転職は、夜勤がない、しっかり休めるといった大きなメリットが得られますが、相応のデメリットがあることも事実。それを認識したうえで転職を考えましょう。 クリニック看護師への転職、どの科が高給与?
病院からクリニックへの転職を考えるのにあたり、重要なのは給与はどうなるのか?ということですよね。
クリニックの診療科別に、平均給与を計算すると以下のようになりました。
クリニックの診療科ごとの平均給与
診療科 | 平均給与(円)※諸手当込み |
内科 | 203,903円 |
眼科 | 217,700円 |
整形外科 | 219,308円 |
小児科 | 225,650円 |
耳鼻咽喉科 | 231,460円 |
産婦人科 | 240,100円 |
精神科 | 244,426円 |
皮膚科 | 246,060円 |
美容外科 | 279,600円 |
※看護師ワーカーに掲載のクリニック求人より、固定給の下限で平均を算出(2019年9月現在)一番施設数が多い内科が、給与平均では低い結果となりました。その他の診療科の平均も20万円台前半で並び、美容外科のみ20万円台後半と高額になっています。美容外科は自由診療のため、診察や施術代が高額になるケースが多く、高い収益を上げています。そのため、看護師の給与も高水準の傾向。頑張り次第でさらに高い給与を目指すこともできますが、リピーターの獲得やコスメの販売など、ほかの診療科にはないハードな面もあります。★美容外科について詳しくはこちらのコラムもご覧ください 夜勤なし年収400万円超!美容クリニック看護師の給料はなぜ高い?また、診療科を問わず、賞与(ボーナス)については年2回、1回の金額が2か月分というのが平均的。ただし、賞与がない、あっても寸志程度の金額、というクリニックもあるので確認が必要
です。 給与のいいクリニックに転職するには
2019 年度採用の新卒看護師(専門学校)の初任給は、夜勤などの手当を含め平均263,551円(※3)。
クリニックでは、夜勤がないぶん手当の金額が少なくなります。診療科別の平均給与と比較するとわかるように、病院からクリニックへの転職では一部を除き、給与は下がると考えておきましょう。ただ、同じ診療科でも、給与が高いところと低いところの差が大きいということもクリニックの特徴。条件のいいクリニックは人気があり、求人募集がすぐに締め切られることもあります。少しでも条件のいいところに転職したいと考えるなら、看護師専門転職サイト看護師ワーカーのアドバイザーに相談してみませんか?人気の求人をいち早く紹介してもらうことも可能です。 看護師専門転職サイト看護師ワーカーのアドバイザーに相談する(※3)出典:日本看護協会まとめ
夜勤のない働き方や固定の休みを求め、転職を考えるのは当然です。
けれど、ラクそうだからというような理由で転職するのは危険。
デメリットのところでもお伝えしたように、スキルが落ちることも考えられます。
今まで病院で働いてきた経験をもとに、小児科の看護師として専門性を高めたい、透析看護のスキルを高めたいなど、これから自分は看護師としてどうなりたいのかを考えたうえで、クリニックへの転職を考えましょう。
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