日本看護協会の調査によると、全国に約4万人の助産師さんがいます(※1)。そのうちの60.3%が病院勤務です。病院で働く助産師さんの一番の喜びは、生命誕生の瞬間に出会えるということでしょう。ただ、出産年齢の高齢化に伴ってハイリスク妊婦が増えていることなどから、助産師さんにかかる仕事のプレッシャーやストレスも増加の一方。助産師として働きたいけど、緊張度の高すぎる病院はツライ・・・。でもどんな職場がほかにあるか分からない・・・。そんな方のために、病院以外で助産師さんが活躍できる職場について調査しました。(※1)出典: 日本看護協会 助産師として働ける職場は?
助産師さんの職場として、病院の次に多いのがクリニック(診療所)で26.8%、次いで助産所(助産院)が5.1%。
看護師等学校養成所・研究機関が3.8%。
都道府県や市町村が2.7%、保健所0.8%などの地方公共団体が続き、社会福祉施設0.1%、事業所0.1%となります。
以上の結果と実際の求人状況をまとめると、活躍場所は病院以外に大きく分けて5つになります。
①クリニック
②助産所(助産院)
③看護学校の教員
④地方公共団体
⑤企業
次に、それぞれの職場について確認していきましょう。
病院以外の職場について
病院以外の職場の仕事内容や平均年収、求人状況をまとめると以下のようになります。①クリニック
大規模な病院ではハイリスク妊婦を受け入れます。ハイリスク妊婦は帝王切開になる確率が高く、帝王切開術数が正常分娩を上回るという病院もあります。クリニックでももちろん帝王切開を行いますが、正常分娩のほうが多く、分娩件数の多いクリニックでも帝王切開は2割といったところ。病院では正常分娩の介助の機会が少なかった、これからも分娩の介助に携わりたいと考えるなら、クリニックがおすすめです。また、病院ほど分娩件数は多くはないので、お母さんと赤ちゃん、その家族に関わる時間を多く取ることができます。助産師外来や母乳外来のあるクリニックであれば、より母子とかかわることが可能に。ほかにも、マタニティヨガやベビーマッサージ教室、離乳食教室などを開いているクリニックもあり、診察以外でもかかわることもできます。気になる年収ですが、看護師ワーカーに掲載の求人から算出したクリニックの平均年収は486万円、総合病院は465万円
(2019年10月現在)でした。クリニックへの転職で年収アップを狙うことも可能です。<ポイント>・クリニックでは正常分娩の介助の機会が多い・病院よりも母子や家族にかかわる時間を多くとれる・年収アップが見込める★クリニックの求人を見てみる②助産所(助産院)
助産所はベッド数が9床以下の施設。分娩は取り扱わずに、産前産後のケアのみを行う助産所もあります。◆分娩を行う助産所助産所での分娩は、医師がいないため帝王切開や会陰切開などの医療行為は行えません。しかし、"産む力”による自然なかたちでの分娩の介助、お母さんや家族の希望をできる限り優先し時間をかけたバースプランの提案などは、医療機関では経験できないことです。◆産前産後ケアのみの助産所産前ケアとして母親学級やマタニティヨガなどに取り組むことで、妊娠期の不安や孤独感を取り除き、お母さんを応援します。産後ケアには、産後の一番大変な時期に入院して身体を休める産後入院や、母乳育児の相談などお母さんを支える役割があります。いずれにしても、助産師として主体的に働けるのが助産所の魅力です。しかし、分娩の有無にかかわらず、助産所は小規模で求人がかなり少ないのが実情。現時点で助産所の求人を確認できたのは全国で常勤1件、非常勤1件でした(2019年10月現在)。③看護学校の教員
助産師として教育関係に進む場合、看護学校での専任教員を目指すのが一般的です。専任教員になるには*助産師として5年以上の臨床経験があること*専任教員養成講習会の受講(教員として採用後の受講も可能)が必要です(※2)。ただし、助産師として3年以上臨床経験があり、大学や大学院で教育に関する科目を履修した助産師さんは無条件で専任教員になることができます。
年収は経験や能力によって変わりますが350万~500万円というところ。病院やクリニックよりも年収が下がる可能性はありますが、夜勤なしで土日が休みという規則的な生活を希望する助産師さんにおすすめ。しかし、教員の求人も少なくクリニックの求人の10分の1以下なので、求人情報をこまめにチェックしておきましょう。(※2)出典:厚生労働省 看護師学校養成所における看護教員に関する規定④地方公共団体
助産師として都道府県や市町村といった地方公共団体で働くことも可能です。勤務場所は保健センターが多くなります。働き方は次のいずれか。①公務員試験に合格して地方公務員として働く②公務員扱いではなく、雇用期間が限定された臨時職員や非常勤として働く仕事内容は乳幼児健診、健康相談、健康教育、新生児訪問といった保健指導業務、窓口での対応など。地方公務員は「給料表」によって決まっていて、助産師は大学卒の初任給で約21万円。その後年功序列で上がっていきます。一般企業と違いリストラの心配がない、安定の代名詞である公務員。公立病院でなくても、公務員として働くことができるのは大きな魅力です。公務員の採用予定(入職日)が年度初めの4月の場合、前年の11月ごろまでに応募を締め切り、その後試験というスケジュールが多くなります。各自治体によって日程が変わりますので、希望する自治体の募集要項をホームページで確認しましょう。⑤企業
企業の求人は助産師として働くもの、看護師として働くものにわかれます。助産師として働くものには、産後ヘルパーやコールセンターでのカウンセラー業務などがありますが、求人は少なめです。企業で働くことを考えるのなら、看護師資格を活かすことも考えてみてはいかがでしょうか。企業で働く看護師の求人として多いのが、企業看護師(産業看護師)と保育園看護師です。◆企業看護師(産業看護師)社員数の多い大企業に勤務し、産業医と協力して社員の健康管理を行います。健康診断の手配や診断結果のチェック、ストレスチェックの実施などが主な仕事です。産業保健師という職種もありますが業務内容はほとんど変わりません。年収は400万円程度が目安です。◆保育園看護師保育園看護師は園児の健康管理が主な仕事で、毎日の検温や手洗いなどの保健指導、けがや病気の応急処置を行います。保育の補助も業務に含まれ、園によっては仕事はほぼ保育の補助ということもあります。保育士の平均年収は340万円程度。保育園看護師の年収も同程度もしくは若干上くらいと考えられます。企業看護師と保育園看護師の求人数は、病院やクリニックには及びませんが、助産師だけで企業求人を探すよりは選択肢が広がります。看護師資格を活かすという方法があることも、認識しておきましょう。 数少ない求人を逃さないためには
少ない求人を逃したくない、より条件のいい職場を見つけたいという方は、ぜひ一度看護師転職サイト『看護師ワーカー』にご相談ください。キャリアアドバイザーが最新の求人情報を教えてくれるのはもちろん、お悩みや相談にもこたえてくれますよ。 ★アドバイザーに相談する まとめ
☆たくさんのお産に携わりたいならクリニック
☆助産所(助産院)、教員、企業の助産師求人は少ない
☆少ない求人を狙うには転職サイトの活用を
多くの助産師さんが病院で働いているものの、病院以外にも幅広く活躍できる場所があることが分かりました。自分はお産に関わる仕事がしたいのか、教育関係に興味があるのか、それともまずは規則的な生活を送りたいのか・・・。自分の優先順位を整理して転職を考ましょう。関連記事