異動の挨拶で与える第一印象はとても大切
病院などで働いていると、人員調整やキャリアップなど、さまざまな理由で看護師さんが部署異動になることがあります。そんなときに必ずやらなければならないのが、異動の挨拶です。
「人前で話すのは苦手だから、スピーチをするのは憂鬱」という人もいるかもしれませんが、第一印象が職場の人に与える影響はとても大きいので、できるだけ好印象を植え付けられるように努力しましょう!
看護師長の異動の挨拶は、信頼を得る上でとても重要
ナースステーションの雰囲気は、看護師長によってガラリと変わるので、新しい看護師長の就任を、看護師さんたちは戦々恐々として待っています。
中にはパワハラ看護師長も実際にいるので、「もし怖い人が就任したら、この職場でやっていけないかも」など、看護師さんたちはドキドキしながら挨拶の瞬間を待っていることでしょう。
そのため、看護師長が異動の挨拶で何を話すかというのは、信頼を得る上で非常に重要です。逆に言えば、異動の挨拶で好印象を与えることができれば、今後の看護師さんとの関係もスムーズにいきます。
何を話すかをじっくり考えて、好印象を与えるスピーチになるよう、準備しておくことをお勧めします。
看護師さんの異動の挨拶では、人柄や態度をチェックされる
看護師さんの異動の挨拶も、とても大切です。看護師長や看護師仲間から、人柄や態度をしっかりとチェックされるからです。
看護師長は、「真面目に言われたことを守り、誠実な態度で仕事ができる人か?」ということを、初日のスピーチなどを通して鋭く観察しようとしています。
また、看護師仲間は「協調性があって、皆の輪に溶け込める人か?」ということを気にしながら、スピーチを聞いています。
そのため、うまく話すことよりも、むしろ誠実さや真面目さ、協調性を伝えられるようなスピーチになるよう心がけましょう。
あがってしまって頭の中が真っ白になってしまったときは、むしろ「実はいま、皆様の前に出てとてもあがっております。でも、がんばって話させていただきます」と正直に言った方が、気持ちが吹っ切れて、皆にも好印象を与えるかもしれません。
異動の挨拶で好印象を与えるコツとは?
何よりも笑顔が大切!
異動の挨拶で最も大切なのは、やはり「笑顔」です。ニコニコとした温かい笑顔で挨拶をする人に、好印象を抱かない人はいません。
挨拶をするときに緊張して、顔がこわばってしまう人もいるのですが、そうするととっつきにくい印象を与えてしまうので注意しましょう。
話している間は笑顔を絶やさず、最後にニッコリ笑って「よろしくお願いします!」と礼をすれば、誰もが「この人と一緒に働きたい!」と思ってくれる筈です。
ぶっつけ本番ではなく、前もって練習を
挨拶をするときに、前もって話す内容を何も考えずに、ぶっつけ本番でその場に立つ人がいます。でも、よほどトーク力に自信がない限り、それは止めておいた方がいいでしょう。
異動の挨拶で話したひと言は、聞く側も緊張感をもって聞いているので、とても印象に残ります。
これから一緒に働くお仲間に好印象を与えるためには、やはり事前に何回か話す練習をしてから、その場に臨むことをお勧めします。
異動の挨拶はあまり長くならず、1分程度に収めるのが一般的です。話す内容を決めたら、時間を計って何回か話してみて、「1分間はこれぐらい」というのを体感した上で挨拶に臨みましょう。
大きな声でゆっくりと話す
病院などの異動の挨拶では、後ろの方にいる人にも聞こえるように、大きな声ではっきりと話すことが大切です。
どんなにいいことを話していても、何を言っているのかよくわからないと、せっかくの話が台無しになってしまうので気を付けましょう。
また、つい早口になりがちな人も多いのですが、意識してゆっくりと話すことで、内容をしっかりと伝えることができます。
仕事だけでなく、プライベートの話題も盛り込む
堅苦しい挨拶だけでなく、自分のキャラクターが伝わるようなプライベートの話も盛り込むと、聞く側も「こういう感じの人なのだな」とイメージを描いて親近感を覚えます。
例えば、「温泉が大好きで、日本のあちこちの温泉にもう100箇所以上行きました。一番好きなのは草津温泉です」といった話をすると、その場が和むとともに、人柄を印象付けることができるでしょう。
聞く人の目を見て話す
挨拶をする際に、漠然と前を見て話をする人がいますが、これでは聞く人に気持ちが伝わりません。
人前で話をするときは、アイコンタクトがとても重要です。必ず聞く人の目を見て、「あなたに伝えたい」という思いでしっかりと話すと、聞く側もきちんと聞こうという姿勢になってくれます。
じっと目を見続けるのは難しいので、目と目の間あたりを見るようにすると、自然な形で見ることができます。
【例文1】看護師長の異動の挨拶
(スピーチのポイント)
看護師長さんが挨拶をするときは、経験が豊かで、看護師さんたちが安心して付いていけるリーダーであることを印象付ける必要があります。「〇年の経験があり、こんなことに力を入れてやってきました」といった内容は、必ず入れた方がいいでしょう。
また、家族のことや趣味のことなどを入れて、人柄が良い看護師長だということも、さり気なくアピールすることが大切です。「育児の先輩と思って、何でも気軽にご相談ください」というようなひと言を添えると、看護師さんも親しみやすさを感じてくれます。
(例文)
「はじめまして。本日からこちらの緩和ケア病棟に異動になりました、看護師長の竹本雪乃と申します。
私は20年前から看護師として働いており、この病院には15年前から勤めています。こちらの病棟に異動になる前は、内科病棟の看護師長をしておりました。特に患者さんのご家族の心のケアに力を入れていましたので、緩和ケア病棟でもその経験を活かして、患者さんとそのご家族に心から喜ばれる看護を行っていきたいと考えています。
家庭では2人の子どもの母親でもありまして、上の娘が中2、下の息子が小6と、子育てもだいぶ楽になってきたところです。10年前は毎日嵐のような忙しさでしたので、いま子育て中の看護師さんの大変さも、よくわかります。子育て中にはいろいろなことがあると思いますが、育児の先輩と思って、何でも気軽にご相談ください。
看護師長としてはまだ若輩者ですが、少しでも皆様が働きやすい病棟にしていきたいと思っていますので、どうかよろしくお願い致します。」
【例文2】看護師の異動の挨拶
(スピーチのポイント)
看護師さんが異動の挨拶をする場合は、看護師長と看護師仲間の両方から見られているので、仕事への信頼感と共に協調性や謙虚さをアピールすることが大切です。
まず仕事への信頼感を得るためには、経験年数とどんな経験をしてきたか、その経験を今の職場でどのように活かせるかを伝えましょう。「前の職場ではこのようなことを心がけてきました。いまの職場ではそれをこのように活かしていきたいです」といった内容が入るとベストです。
また、「いまの仕事は初めて経験するため、皆様に教えていただくこともありますが、一日も早く仕事を覚えたいです」といったへりくだった言い方で挨拶を締めくくると、協調性や謙虚さをアピールすることができます。
(例文)
「はじめまして。本日からこちらの内科病棟に異動になりました、看護師の辻春奈と申します。
私は看護学校を卒業後、この病院の一般外来に4年間勤務しておりました。でも2年ぐらい勤めた頃から、病棟に入院する患者さんの看護をしたいという思いを持つようになり、この度異動願いを出してこちらの内科病棟に配属させていただきました。
私は人と話をすることが大好きで、外来患者さんとも診察の待ち時間などに、時間の許す範囲でできるだけ会話をするようにしていました。入院患者さんとは日中だけでなく、さまざまな時間帯に会話をする機会があると思いますので、少しでも入院生活を明るく過ごせるよう、コミュニケーションを大切にしていきたいと考えています。
家族は父・母・兄・私の4人家族で、9歳になるトイプードルもいます。休みの日に犬と一緒に散歩をするのが楽しみで、よく近くの川の土手まで行き、愛犬と歩きながら大好きなあいみょんの歌を歌ったりしています。
病棟勤務は初めてで、皆様に教えていただくことも多々あるかと思いますが、一日も早く仕事を覚えたいと思っていますので、どうかよろしくお願い致します。
まとめ
部署を移動になった看護師長さんや看護師さんにとって、異動の挨拶は第一印象を決定づける非常に重要な場面です。何を話すかをあらかじめ決めておき、できるだけ好印象を与えるスピーチになるよう工夫しましょう。
人前で話す経験が少ない人にとっては、とても緊張する瞬間かもしれません。スピーチが終わった後に、「あまりに緊張して、何を話したか覚えていない」という人もいます。
できるだけ緊張しないためには、何度も練習をして、本番に備えておくことが最も大切です。そしていざ本番となったときは、「笑顔で」「大きな声で」「ゆっくり話す」ことを念頭において、練習した言葉を思い出しながら自信をもって話しましょう。