■意外に安いor満足?気になる看護師の手取り給与額
巷でよく言われる「看護師って給料いいよね〜」という言葉に対して「それだけ大変な仕事してるの!」とイラッとしたこと、看護師の方なら誰でも1度はあるのではないでしょうか?
もしくは「これだけ大変な思いをして働いてる割に手取りが少ないのでは?」と給与明細を見て思ったことや、学生時代の友人たちと久々に会って話しているときに「あれっ、私は夜勤までしてるのに企業勤めの友達とあまり手取りが変わらない...?」「そう言えば、勤務して数年経つけれどあまり昇給していないな...」と気になってしまったこと、ありませんか?
「高給取り」と言われがちな看護職ですが、実際は「あんなに働いて給料はこれだけ」「もう少し手取りが良ければ貯金が増やせるのに」とモチベーションが下がっている方も少なくないと思います。
そこで今回は、「本当に看護師は高給なのか」を検証し、知らないと損をするその給料の仕組みや手取りを上げる方法を解説しながら、看護師の給与実態を徹底解剖します!
■看護師って本当に給料いいの?世間の平均と比較してみる
それでは早速、一般的な給与額とはどのくらいなのか、女性・男性それぞれのデータを見てみましょう。
ここでは、「所定内給与額」として、諸手当の中から超過勤務手当(時間外手当・残業代)のみを抜いた給与額=支給に変動がない給与額を示しています。
また、手取り金額は支給額の75%〜80%とされていますが、ここでは80%として算出しています。
■アテにしていると危険!看護師の手取りが多くなる理由
実際に同世代の他職種より高い給料をもらっている方もいらっしゃると思いますが、看護師の給料が高い理由は夜勤などの諸手当が多いから。実は看護師の基本給自体は他職種同等か、それより低く設定されている場合もあります。「それでも手当のおかげで何とかなっている」と思っているのなら、それは危険。実は手当には必ず支払われるものと別に支払わなくてもいいものがあるのです。・深夜勤務手当
これが看護師の手取り額を底上げする「夜勤手当」「準夜勤手当」「深夜手当」などの名称で呼ばれるもの。22時〜翌朝5時までの時間に就労する場合に割増で支払わなければならないと法的に定められています。「夜勤1回につき○○円」と定額として支給する病院が多くなっており、平成28年時点では二交代制の夜勤手当平均額は10,999円、三交代制準夜勤では平均4,149円、三交代制深夜勤では平成5,066円が支給されています。(参考:平成29年 病院看護実態調査/日本看護協会)・超過勤務手当
「残業手当」「時間外手当」ともいい、世間一般での「残業代」はこの超過勤務手当を指しています。法定労働時間を超過して就労した場合、雇用者はその時間に対し割増で賃金を払わなければいけません。もし残業が深夜帯にまで及んだ場合、超過勤務+深夜勤務として割増賃金を上乗せして支払わねばなりません。しかし、法的に支払いを義務付けられているのにも関わらず、我が国では残業代を支払わない雇用者が多く存在しているのが現状です。看護職に関しても、実際に行った時間外勤務の「平均時間(1ヵ月あたり)14.6時間のうち、実際に手当が支払われた時間は平均8.7時間と時間外勤務時間の約6割しか残業代が支払われていない事実が判明しています。(参考:日本看護協会「2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書」)看護師の方の中にも、「正当な残業代が出たらもっと手取りが増えるのに...]と思っている方は多いのではないかと思います。・資格手当
看護師の資格に対して支払われる手当であり、正看護師は1〜2万円、准看護師だと1万円前後が相場となっています。専門看護師・認定看護師・助産師・保健師など、ほかの資格を持っている場合は上乗せした額を支給する病院もあります。・住居手当
「家賃手当」とも呼ばれるものであり、借家・賃貸に住んでいる方に対して支給される手当です。大学病院・総合病院など福利厚生が整った大きな病院ほど支払う傾向にありますが、世帯主か否かで支給金額が変わるので実家暮らしで親御さんが世帯主となっている場合は少額になる可能性も。また、持ち家の場合はたとえローンの支払い中であっても対象とならないので、もし勤務先に住居手当がある場合はマイホームの購入はよく検討した方がいいかもしれません。・退職手当
一般的に「退職金」と言われる手当ですが、公務員は法的に支給が定められているので国公立病院勤務の看護師の方は退職時に支払われます。一方、民間企業では法的な支給義務はありません。なので国公立以外の病院にお勤めの方は、退職金がもらえるかどうかは「勤務先の規定次第」ということになります。看護師の給料を構成するいくつかの手当について解説しました。実は退職手当のほかにも資格手当・住居手当・家族手当、そして「交通費」である「通勤手当」も法的には労働者に支給する義務はありません。要するに「病院側が経営難になれば減額・廃止になる可能性がある」ということです。現時点で既に「勤務先の病院は手当が少ないので手取りも少なくなっている」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。中には「夜勤さえすれば何とかなるので大丈夫」と考えている方もいるでしょう。しかし、「72時間ルール」の導入など看護師のの夜勤負担を減らす動向にある昨今、夜勤で収入を増やすことはだんだんと期待できなくなっていきます。現に、昼夜逆転の長時間勤務や緊張感によるストレスから「できれば夜勤を避けたい」と思っている方も少なくないと思います。特に女性は、健康・体力上の問題が起きたとき以外にも、結婚・出産・介護などのライフイベントがあったときなども夜勤を続けにくくなってしまいます。これらのことを踏まえると、「手取りを上げたければ夜勤を増やす」という思考は根本解決にはならないといえるでしょう。 ■看護師が手取りを上げる方法はある?
収入を手当に頼るのはリスクがあることを少しご理解いただけたでしょうか?
しかし、そうは言っても簡単には給料は上がりませんよね。では、看護師が収入を上げるにはどんな方法があるか考えてみます。
副業をする
・アルバイト夜勤、健康診断・検診、献血施設での採血、訪問看護など、看護師にはその資格を活かしながら高収入を得られるアルバイトがたくさんあります。しかし、夜勤バイトだと日勤終了後の時間、ほかのバイトも休日か夜勤前の日中に入るなど本職とシフトが被らないように予定を組む必要があります。結局、働きづめで心身ともに休まる時間がなく、疲れから本職に身が入らなかったり体調を崩してしまう可能性が否めません。結果的に「本職で夜勤に多く入ったり休みが取れないブラックな状態」と変わらなくなってしまいます。体力に自信があり、「若いうちにいろんな現場を経験したい」という方や、「いつまでに○○円貯める」といった短期的な目標がある方が期間を決めて働くのであれば、アルバイトをするのは良いのではないかと思います。・在宅ワーク自宅での空き時間を使って稼ぐなら、クラウドソーシングで文章を書く仕事やデータ入力の作業を請け負う、ハンドメイド作品を作ってインターネット上で売るという方法があります。しかし、よっぽど好き・得意なことでない限り作業時間を時給換算すると驚くほど低くなる場合がほとんどですので、収入アップが目的であるのなら非効率といえるでしょう。どのような形の仕事であっても、勤務先によっては副業を禁止としている場合があります。特に国公立系の病院では看護師は公務員であるため副業を厳しく禁じており、バレると減給・停職などの懲戒処分が下されることも...。そもそも「疲労が原因で集中力を欠きミスが起きることを防ぐため」に副業を禁止していることが多いので、看護師が副業で収入を得るのはハイリスクかもしれません。資格を取る
看護師が取得できる資格には、専門看護師・認定看護師・助産師・保健師のほか、認知症ケア専門士や体外循環技術認定士といった診療科ごとの専門資格があります。資格を取得することで昇進や給料アップが見込めますが、どの資格も専門機関で教育を受け定められた期間内に単位を取得し、試験に合格する必要があります。時間・費用・労力はかかりますが、将来を見込んだキャリアアップを目指したい・働き方の選択肢を増やしたいという方には資格取得はおすすめです。転職する
「本当に手取りが上がるの?」「給料だけが理由で今の職場を辞めるのは不安」と思われるかもしれませんが、職場選びのポイントさえ知れば転職は収入アップへの近道です。前述した通り、「基本給は低いけれど手当が付いているので手取りが上がる」のが看護師の給料の仕組みです。しかし、残業代やボーナスはその基本給から算出されているので「基本給が低い」ということは「ほかの面でも支給額が低く抑えられている」ということ。要するに、今以上の基本給が提示されている病院へ転職すれば残業代やボーナスも今より高い金額になるということです。最短距離かつ継続的な収入アップを狙うなら、やはり転職は一番現実的な方法であるといえます。■求人のここを見るべし!看護師が転職で失敗しないコツ
まずは基本給をチェック
何度も繰り返しますが、求人で最初に確認すべきなのは基本給の欄。月給○円〜といった表記は諸手当が含まれた額であることが多いので、その月給の内訳もちゃんと記載されているか、記載されているなら基本給の部分はいくらなのかをチェックしましょう。ここでもしかしたら、「基本給は今より高いけれど手当や夜勤回数が少なくて今より手取りが減ってしまう、もしくはあまり変わらない」と感じるかもしれません。そのときは残業代やボーナスなども考慮し、それらも含んだ年収で試算をして最終的に手取り額が多くなる条件を考えてみてください。次に大事、賞与と昇給
・賞与(ボーナス)法的には雇用主に賞与の支給義務はありませんが、年収を算出するのに大切な要素となるのが賞与です。「年に○回」「昨年支給実績○ヵ月分」といった詳細な記載があれば、賞与も収入に見込んでおいて良いと思います。もちろん、勤務態度や仕事での貢献度などの査定次第であり、法的義務がないぶん病院の経営状況が悪化すれば減額などもありえることは心得ておいてください。実績を明記せず「賞与あり」とだけ記載しているところや「業績賞与(業績連動型賞与)」と表現しているところは、実際は全く支給されていないというケースもあります。また、給与を「年俸制」としているところは、それが賞与込みの金額なのか賞与は別途支払われるのか確認しておいた方が良いでしょう。・昇給また、賞与と同じく大切な条件が「昇給の有無」です。こちらも「昇給あり:年に○回○月」と時期・回数が記載されていれば安心ですが、「昇給なし」と書かれていても全く給料が上がらないわけではありません。本人の実績や病院の業績によって昇給はあるけれど、「年に○回給料を上げる」という定期昇給でない場合は、求人票に「昇給あり」と書けないことになっているため、「なし」と記載しているということもあります。クリニックなどの小規模な施設ではこのように評価制度が定まっていないことが多くありますが、逆に言えば前職での給与額やスキルに見合った額への引き上げ交渉も望めるということです。気になる求人が「昇給なし」となっている場合は面接時などに確認しておきましょう。反対に「随時昇給」と書かれているところは「あくまで業績次第なので確約できない」と表現をぼかし、実は全く昇給させてないというケースもありますので要注意です。最後の決め手はやっぱり仕事内容
給料を上げるための条件のチェック方法について解説しましたが、手取り額にこだわるあまり「子どもの扱いが苦手なのに小児科へ転職」「急変の緊張感が辛いのに呼吸科へ転職」など、自分が不得手な分野の仕事に就いてしまっては本末転倒です。また、厚遇なクリニックの求人に魅力を感じる場合でも、クリニックは看護師の業務の範囲が広くなるので経験が浅い方が転職するには不向きといえます。ある程度の実績を積んで個人としての力を試してみたい方はクリニック、まだスキルや知識を身に付けたいと思う方は病棟というように、ご自身を活かせる職場を選ぶことを忘れないでください。■「自分で転職先を見極められるか心配」という方は
看護師の手取り額の平均や給与内訳について解説しましたが、「手取りが少ない気がするのは基本給が低いからかも...」と思った方は、改めて給与明細や勤務先の規定を確認してみましょう。看護師は昇給しにくい職種だと言われますが、今後も昇給が見込めずライフプランがイメージできないのなら転職を視野に入れるのもありだと思います。しかし、転職で失敗はしたくないけれど求人票だけで確実な情報を把握するのは困難、ましてやお金に関する話は面接では聞きづらいですよね。そんなときはぜひ、看護職に特化した人材紹介サービスも利用してみてください。この看護師ワーカーでは、専任のキャリアアドバイザーが希望の手取り額に条件が合致する病院を紹介いたします。また、給与交渉や賞与・昇給実績など「応募先には直接聞きづらいこと」も代わって確認しますので、「入職したら求人内容と待遇が違った!」というトラブルも防ぐことができます。まずは「これくらいの給料がもらえる病院、近くにあるかな?」「すぐ転職したいわけではないけれど、ほかの病院も気になるので...」という相談だけでも構いません。◆キャリアドバイザーに相談してみる看護師は資格を取るのも実際の業務も大変なお仕事。あなたの働きぶりが正当に評価される職場で、その知識・スキルを充分に活かしてほしいと思います。