■認定看護師の資格を取ったなら、更新審査をお忘れなく!
◆看護師資格の更新について知りたい方はこちらをチェック「キャリアアップしたい」「何か強みを持ちたい」「でもそこまで時間やお金をかけられない...」という看護師の方の中には、比較的期間も費用も抑えられる認定看護師の資格取得を考え始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。◆認定看護師の資格を取るのに必要な期間と費用はこちらをチェックしかし、その中には「認定看護師は一度取得しても更新しなければ資格がなくなってしまう」「しかもその更新審査が結構厳しくて大変」と聞いて、資格を持ち続けていられるか不安...と自信をなくしている方もおられると思います。そもそも、「看護師資格自体は更新がいらないのに、なぜ『認定看護師』になると更新をしなければいけないの?」と不思議にも感じますよね。今回は、その理由や審査条件のほか、資格を維持するために必要な業務経験、不合格となるパターンなど、認定看護師の更新制度に関する疑問についてお答えします。 ■認定看護師資格を更新制とする目的とは
本来、看護師は更新が不要な資格ですが(姓名や本籍地に変更があった場合は書き換えが必要)、認定看護師になると5年ごとの更新が必要となります。そもそも認定看護師は「特定の看護分野において熟練した技術と知識を持っていることが認められ、水準の高い看護を実践できる資格」と定義されており、より技術の高いケアの実践のほか、看護職に対しての教育指導・コンサルテーション(相談)も業務に含まれています。このことから、認定看護師として現場で貢献できる知識と技術を維持するため、要するに「レベル保持」という目的で更新制が導入されています。
また、医療業界は日々、進歩や変化を遂げているので常に新しいことを学習し、その知識を現場で活かすための努力を絶えず行なっているかを測る意味合いもあると考えられます。 ■更新審査を受けるために条件はある?
認定看護師更新審査を受けるにあたって、
の3つの要件が設定されており、これらをクリアしていないと審査を申し込むことができません。しかし、最後の「看護実践と自己研鑽の実績」とはどういうものなのか、いまいち分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。◆「看護実践」について
この要件でいわれる「看護実践」とは、「保険・医療・福祉施設(行政機関を含む)等における看護師としての実践」を指しており、看護師として1日8時間×月20日勤務として概算すると、1年で1920時間の実践時間ということになります。なので、フルタイム勤務の方は1年以上就業していれば、この「2,000時間以上の看護実践」の要件を満たしていることになります。パート勤務などで1日5時間×週4日勤務でも2年強で満たせる時間です。5年間で2,000時間以上であれば良いので、途中で産休・育休などを取得した方や転職をした方であっても、数年継続して働いていれば達成できる要件であると考えておいて大丈夫です。◆「自己研鑽」について
「自己研鑽」の定義とは、「学会および研究会への参加や発表、教育研修の担当や指導といった実績・業績」であり、それらを日本看護協会で規定している基準で算定した点数が50点以上あることが要件とされています。その点数が「自己研鑽ポイント」と呼ばれるものであり、院内教育・研修プログラムの担当・指導が5点、学会・研究発表10点、学会・研究会一般参加は3点などの基準があります。参加や担当を証明する資料も合わせて提出しなければならず、その内容についても認定看護師の活動として認められるかどうかを審査されます。 ■更新審査はどのように行われる?
認定審査では、上記の「看護実践」と「自己研鑽」について、実際の活動を確認できる書類を提出しなければいけません。オンライン上・郵送両方の方法で提出が必要となりますので、それぞれの要点を解説します。◆書類不備などの「うっかりミス」は不合格に!オンライン提出のポイント
まずは「資格認定制度 審査・申請システム」にログインし、下記の書類を作成・提出します。事前に個人情報の編集や審査申請もこのシステムから行っておかなければいけませんので、日本看護協会ホームページに「認定更新の手引き」が公開されたら一度アクセスして確認しておきましょう。また、これから詳しく説明しますがオンライン提出には書類の文字数や自己研鑽の点数に厳しい制限があり、それを破ると不合格となってしまいます。ミスがないよう、書類作成は集中して取り組んでください。履歴書2,000時間以上の看護実践を行ったことを裏付けるものであり、審査対象期間の「学歴」および「職歴」を入力します。実践報告書認定看護師として「実践」の役割を果たしていることを確認できるものとして、資格取得後、初めての更新(5年目)の方のみ提出が求められます。活動のテーマや看護上の問題・課題、活動内容の詳細と結果、今後の取り組みなどについて、画面上のテンプレートに沿って記載していきますが、各分野において記載する事項が指定されている場合があるので、ご自身の担当分野についての指示をチェックしておきましょう。文字数規定があり、1,400字未満または1,700字を超えた実践報告書は書類不備とされ、再提出は認められません
。そのまま不合格となってしまいますので注意してください。研修実績および研究業績等申告表審査対象期間に自己研鑽の実績を積んだことを裏付ける書類です。学会名・主催団体名・プログラム名・日程等の研修実績・研究業績などの内容を入力し、自身の点数を確認します。全ての実績・業績が確実に自己研鑽と認められるわけではないので、多めに申告をしておく方が良いですが、50点以上100点以内という規定
があります。50点に足りていない場合はもちろんですが、100点を超える内容を申告しても書類不備とされてしまい、こちらも再提出は認められません
ので、入念に記載していきましょう。また、実績・業績を証明する書類にも郵送前に番号を振り、この申告表の内容に合わせてその番号を入力しなければいけません。証明書類を十分に整理してから、この「研修実績および研究業績等申告表」の入力に取り掛かる方がスムーズです。オンライン提出では、どの書類も一度「提出」をクリックしてしまうと再編集・再提出が不可となります。操作に慣れないあいだは注意して入力を行ってください。◆証明書には上司の協力も必要!郵送による提出のポイント
オンラインで申告した実績に関する証明を提出するのが、「郵送による提出」です。必要なフォーマットは、全て日本看護協会ホームページよりダウンロードできますが、職場で書類を作成してもらったり、過去5年間の活動についての証明を集めたりしなければいけないので、申請作業を始めてから焦らないよう余裕を持って準備しておきましょう。看護実践時間証明書2,000時間以上の看護実践を行い、要件を満たしていることが証明できる書類です。基本的に勤務先施設や看護部門の長が証明することとなりますが、申請者本人がその立場である場合は、対等または上位に位置する方から証明してもらい、その関係性も証明する文書も作成・添付しなければいけません。いずれにせよ、証明者の方に対応してもらう
ことになりますので早めに依頼・確認をしておきましょう。教育従事期間証明書審査対象期間中の教育従事期間を証明するものであり、認定看護師教育課程、看護師養成学校・大学院の常勤の教員が、その職歴の一部を看護実践時間数として申請する場合に作成します。こちらも証明者による記載が必要となる部分があります。研修実績および研究業績に関する証明資料オンライン上で入力した「研修実績および研究業績等申告表」をプリントアウトし、記載内容と合致するよう証明書に番号を振って提出します。コピーでも可能ですので、実践・教育・研究・発表などの活動を行った際は必ず証明となる参加証や依頼文書を受け取って保管しておく
習慣を付けておきましょう。オンライン提出と同じく、郵送による提出にも送付した書類に不足や不備があっても追加提出や再提出は認めず、不合格とするというかなり厳しい規定があります。何度も言いますが、ちょっとしたミスで審査に落ちてしまわないよう十分な注意を払って作成・提出にあたってください。 ■厳しい認定審査、合格率が気になる!もし不合格だとどうなる?
◆90%以上の方が合格できる!意外と高い合格率
2017年の合否結果は、全21分野の申請者2,792人中2,731人が合格、
再認定審査では16分野の申請者46人中40人が再認定
と発表されています。いずれにしても90%以上の方が合格・再認定されていますので、認定看護師としての仕事をしっかり続けていれば合格できるレベルであるといえます。◆不合格だった場合、またチャレンジはできる?
もし、合格できなかった場合はその年の12月31日を以って認定看護師の資格が失効します。ですが、翌年以降に「再認定審査」を受験することができ、それに合格すればふたたび認定看護師の資格が得られます。◆審査を受けられなかったときは申請を!
やむを得ない事情で審査を受けられなかった場合や、看護実践時間が2,000時間に達せず条件を満たせなかった場合は、認定期間延長可否申請
をすれば原則1年間認定期間の延長をすることができます。1年ごとに申請すれば最大3年まで延長可能ですが、可否審査があり審査料も支払わなければいけないので、申請すれば必ず延長が認められるということではありません。◆注意!書類不備以外に不合格となるケース
合格率の高い認定更新審査ですが、日本看護協会では提出された実践報告書すべてに対して過去のものとの一致率をチェックしており、その一致率が一定割合以上の場合は盗用とみなすとしています。現に20106年に2名の認定看護師が提出した実践報告書が他者のものと酷似しており、本人の活動と認められなかったことから盗用と判断され不合格となる事例がありました。先輩がどのように実践報告書を書いているのか参考にしたい気持ちはあると思いますが、他の方が用いた表現や形式、用語の使い方などを無断で借用することは「不適切な引用であり不正行為である」と日本看護協会は提示していますので、構成や言葉などを真似して書くことは避けた方が無難です。■看護が好きであればきっとやりがいが持てる、認定看護師という仕事
このように、認定看護師の更新審査に合格するためには、研修への参加や課題研究、看護職へのサポートなど、患者さんへのケア以外の活動時間も確保しなければいけません。お気付きの方もおられるかもしれませんが、勤務先の病院・施設がそれらの活動に対して協力的でなければ資格を維持することのほか、取得自体も難しくなるでしょう。
もし、現在の勤務先が「看護の現場から離れられるのは困る」という意向なのであれば、すでに認定看護師を配置している・資格取得支援制度を導入している病院へ転職するという選択肢もあります。
認定看護師は資格取得後も努力し続けることが必要であり、更新審査も厳しいと感じてしまったかもしれません。
しかし、看護職の質の向上がさけばれ、医療もより細分化していくこれからの時代において、その職務は大きな役割を果たしていくといえます。
看護の仕事が好きでもっと深く携わりたい、スキルアップしたいという気持ちがあるのなら、継続的な知識の習得と技術の鍛錬ができる認定看護師テとして働くことで、ご自身の成長を感じてみるのはいかがでしょうか。
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