「今のうちに急性期病院で経験を積んだ方が良いのかな?」
新卒で回復期や慢性期病院に入職した看護師さんの中には、今後のキャリアに不安を感じ、急性期病院に転職する方も多くいます。ですが、中には「急性期に転職したほうがいいかもしれない、でも今から急性期に転職してやっていけるのかな」というモヤモヤした気持ちを抱え、転職活動に今一歩踏み出せないという方も。そんな方は、まずは急性期がどんな病院で、どんなスキルが求められるのかを把握し、急性期が自分に向いているのか適性を見極めることが大切です。そこで本記事では、急性期病院の定義や仕事内容など基本的な部分から、やりがいや転職するメリット・デメリットなど急性期病院に転職する前に知っておきたい様々な事柄についてご紹介いたします。急性期病院の役割や特徴
急性期病院とは
急性期病院とは、急性疾患または重症患者、重症外傷の患者の治療を24時間体制で行う病院のことを言い、大学病院や総合病院、専門病院が急性期病院としての役割を担っています。
慢性期や回復期の病棟では10:1の看護体制ですが、急変が多い急性期では患者7人に対して看護師1人の7:1の看護体制となっています。
また、急性期病院は、救急告示病院として救急患者の受入れも行います。
救急告示には一次救急から三次救急まで段階があり、各急性期病院が持つ医療提供レベルによってどの段階の救急医療を担うかを都道府県知事が指定します。
一概に急性期病院といっても、一次救急なのか三次救急なのかで患者層や仕事内容が変わってきますので、
初めて急性期病院に転職する場合は、どの病院が何次救急に指定されているのかきちんと把握しておく事が大切です。
救急医療の種類
| 患者の状態 | 指定されている医療機関 |
一次救急(初期医療) | 入院の必要がなく帰宅可能な軽症患者に対応 | 休日夜間救急センターや救急指定の病院が受け持っている。公立病院や自治体病院が多い |
二次救急 | 入院や手術を必要とする患者に対応 | 地域の小規模病院から大規模な総合病院まで様々 |
三次救急 | 一次救急、二次救急では対応できない重篤疾患や多発性外傷の患者に対応 | 大学病院や地域の基幹病院、高度救急救命センターが指定されている |
一次〜三次の中で最も施設数が多いのは、二次救急の指定病院です。
二次救急では、心筋梗塞や骨折など入院が必要ではあるものの三次ほど重症ではない患者さんが搬送されますので、三次救急ほどピリピリした雰囲気はなく、慢性期や回復期からの転職にもオススメ!
急性期病院と療養型病院の違い
仕事内容
急性期病院における基本的な仕事内容は療養型病院とさほど大きく変わりませんが、異なる点として、医療処置が多い・使用する医療機器が多い、手術の準備、入退院の準備などが挙げられます。
急性期では状態が安定しない患者さんが多いため、患者の状態に常に注意を払わなければいけません。
なんらかの異変を感じた場合は即座に医師に報告し、急変が起きた場合すぐに処置できるよう医療機器を準備しておく必要があります。
求められるスキル、働き方
看護必要度が高く急変も多い急性期では、患者の状態を的確に判断し、優先順位をつけてスピーディーに動く高度なフィジカルアセスメント能力が求められます。
また、急性期では、医師や薬剤師、放射線技師、呼吸サポートチームといった他職種・他チームと連携して患者さんをケアしていきます。
チーム医療をスムーズに行うためには、患者さんの状態変化について的確に伝える事が大切。
また、大規模な急性期病院では最新の医療技術や機器に触れていくため、常に勉強しスキルアップを欠かさない姿勢も求められます。
給料、在院日数など
| 急性期病院 | 療養型病院 |
職員一人あたりの給料+諸雑費 | 647万9千円 | 547万6千円 |
平均在院日数 | 23.1日 | 230.3日 |
1日あたりの平均外来患者数 | 1.4人 | 0.5人 |
看護師一人あたりの入院患者数 | 1.1人 | 2.6人 |
看護師一人あたりの外来患者数 | 2.2人 | 1.0人 |
(出典:日医総研ワーキングペーパー|病床規模別にみた病院の現状)
年収が高いのは急性期病院
病院規模と給料の高さは比例しており、急性期病院は特徴柄500床以上の大規模病院の割合も高め。
なので、急性期病院の方が療養型病院よりも給料が高いのです。
急性期の在院日数は療養型の10分の1
療養型病院では入院が長期にわたる患者も多く、患者に寄り添ってじっくりと看護にあたるという看護師も多いと思います。
急性期病院の場合は経過が早いという事もあり、急性期を脱した患者は退院か転院になりますので在院日数は短め。
療養型に比べて患者の入れ替わりが激しく、顔と名前が一致するようになったらもう退院しているという事も多い急性期病院。
ですが、その分多くの患者さんと出会え、どんどん回復する様子を見る事ができるというのはやりがいやメリットの一つと言えるでしょう。
急性期病院のやりがい・メリット
急性期病院に転職するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
急性期病院に転職するメリットを見ていきましょう。
展開が早く、達成感を感じられる
急性期病院は、「手術をして治った」「昏睡状態から回復した」など展開が早い患者さんも多く、患者さんが元気になる姿にやりがいや達成感を感じるという方が多いようです。
高度な知識と技術が身につく
症例の少ない病気や重篤な患者に対応できる医療技術が備わっている急性期病院では、最新の医療技術や医療機器、薬を学ぶ機会が多いため、「医療の最先端を走りつづけている」という実感が持てます。
「スキルアップしたい」「認定看護師を目指したい」といった意欲の高い方も多いので、互いに切磋琢磨できる環境というのも成長意欲の高い看護師にとってはメリットですよね。
急性期病院はここが大変・デメリット
急性期病院に転職した場合どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。
仕事が忙しい
急性期病院で働く看護師の多くは、「忙しすぎる」という事に大変さを感じているようです。
急性期病院はベッドの回転が早いため入退院準備も多く、救急搬送に急変にと多忙です。
朝に1日の予定を立てますが、急な入院などが重なると全て狂う場合も。
また、学ばなければいけない事も多く、常に新しい医療知識を吸収し続ける必要もあります。
勉強会に自宅学習にと自分のプライベートの時間も勉強に当てなければならない事も・・・。
患者さんと向き合う時間が少ない
慢性期や回復期から急性期に転職する場合、患者と向き合う時間の短さはデメリットだと感じるかもしれません。
長期入院も多い慢性期ではある程度ゆとりを持って看護に臨めますが、入院日数が短く重篤篤な状態の患者も多い急性期では、患者一人一人にじっくり向き合うというのが難しいのが現状です。
ですが、裏を返せば多くの方と出会う事ができ、次のステップへと送り出せるという事でもあります。
急性期病院への転職、気になる疑問にお答え!!
急性期病院の基本的な部分やメリット・デメリットについて説明しましたが、それでもまだまだ急性期への不安はあるかと思います。
そこで急性期への転職でみなさんが感じる疑問についてお答えしていきたいと思います。
Q:急性期病院は忙しいイメージがあるので将来結婚して子供が産まれたら働けなさそう…。実際どうなの?
A:これまで急性期病院では結婚、出産を理由に退職する看護師が多かったのは事実です。ですが近年では、働き方改革としてワークライフバランスの改善に取り組む急性期病院が増えています。
その傾向は特に病床規模の大きい病院に多く見られ、厚生労働省の調査では500床以上の病院の約9割が勤務環境の改善について取り組んでいるとの事。
超多忙と言われる急性期病院でも、結婚、出産などどんなライフステージに進んでも働き続けられる環境へと変わりつつあります。
Q:新卒というわけではないけど、急性期は初めて。中途でも教育はしてくれるの?
A:毎年多くの新卒看護師が入職する急性期病院では教育プログラムがきちんと確立されており、中途向けの教育プログラムを準備している病院もたくさんあります。
中には中途入職者にもプリセプターがつき、これまでに培ったスキルと照らし合わせながら年間の教育計画に沿って長期的にフォローしてくれる急性期病院もあります。
Q:慢性期から急性期に転職するなら、民間病院と国公立病院はどちらが良いの?
A:民間病院か国公立病院かというよりも、二次救急に指定されている病院がオススメ。
前述したように、一刻を争う重症患者が各地から搬送される三次救急では、現場看護師には的確な判断とスピードが求められます。緊迫感や緊張感は並々ならぬものがあります。
もちろんやる気と覚悟さえあれば慢性期から三次救急指定病院への転職も可能ですが、スキルに不安のある方は二次救急の急性期病院がおすすめですよ。
急性期で学びたい!…でも不安を拭いきれないという方に
「急性期への転職は若い方が・・・」と年齢で悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際は急性期への転職に年齢はあまり関係ありません。「急性期を学びたいという強い思い」と「やりきる覚悟」があればきっと順応できます!「それでも不安・・・」という方は、急性期病院の他に回復期や療養型、介護施設などの施設を持つ病院に転職するという手もあります。なぜ介護施設なども展開する急性病院がおすすめかというと、万がいち急性期病院が合わない場合、系列の病院に異動する事も可能だからです。看護師ワーカーにご相談いただければ、あなたのお悩みを解決しながらスキルアップできる急性期病院をご紹介いたします。ぜひお気軽にご相談ください。★急性期病院への転職についてアドバイザーに相談する