有床クリニックといえば、19床以下のアットホームな医療施設という印象がありますよね。これまで総合病院といった大規模な病院でしか勤務したことのない看護師さんで「有床クリニックで夜勤バイトをしてみたい」という方もいるかと思います。
そんな時気になるのは有床クリニックの患者層や疾患、業務内容ではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、有床クリニックの中で一番診療所の数が多いのは内科クリニックでした。その数は2位の外科クリニックのおよそ2倍であり、有床クリニックの夜勤バイトにおいても内科クリニックの募集が一番多くなっています。そこで今回は、内科の有床クリニックの夜勤バイトについて調べてみました。
≪内科の有床クリニックの特徴≫
入院患者の高齢化が進み、内科の有床クリニックにおける入院患者の実に約7割が後期高齢者です。高齢の患者さんが多いという事はADLが自立していない方も多数いるという事ですので、食事介助や排せつ介助といった介助業務も頻繁に行われます。
内科は他の有床クリニックに比べて在院期間が長く、約8割の患者さんが8日間以上在院しています。在院日数で見る入院患者の状況は以下のグラフをご参照ください。
また、単科ではなく呼吸器内科や循環器内科、消化器内科といった複数の専門内科を診ているクリニックがほとんどです。
≪内科の有床クリニックにおける入院患者の内訳≫
~疾患例~
【消化器系】
●胃炎や腸炎、胆管炎などの胆管系感染症 ●肝炎など ●胃がん、肝がん、大腸がんの慢性期
【呼吸器系】
●肺炎 ●肺気腫 ●気胸
【循環器系】
●高血圧 ●心疾患
≪内科の有床クリニックでの夜勤バイト:仕事内容≫
外来業務/検温、即脈、血圧測定/体位交換/看護記録/巡回など
有床クリニックに入院している患者は、急性疾患やリハビリ、緩和ケアなど様々。長期にわたって入院している患者の中には、呼吸管理や心電図モニター、持続点滴を要する方も一定数います。また、一人夜勤の場合も多いので、様々な雑務をこなさないといけません。患者の高齢化に伴い夜間のおむつ交換などもありますので、有床クリニックの夜勤は意外と忙しいのです。
≪有床クリニックでの夜勤バイト:平均給与≫
東京:1勤務2万~3万円
大阪:1勤務2万3000円前後
名古屋:1勤務~2万5000円前後(混合内科)
福岡: 1勤務1万5千円 ~ 2万円
※看護師ワーカー調べ
有床クリニックにおける夜勤バイトの給与は、病院ほど正看護師・准看護師の差がありません。給与額は忙しさに比例しており、当直など仮眠がしっかりと取れるような夜勤バイトは1勤務1万円~ほどで、多忙なクリニックでは1勤務2万5千円~3万円という高額求人もあります。
≪内科の有床クリニックでの夜勤バイト:注意点≫
「ゆったりしていそう」そんな考えで有床クリニックでの夜勤バイトを探す看護師さんも多いですが、実は忙しい内科クリニック。求人探しは以下の点について注意しましょう。
●救急の受け入れを行っているかチェック!
⇒救急を受けている有床クリニックもあるので救急体制を確認すべし。
●夜勤体制をチェック!
⇒有床クリニックでは一人夜勤の場合も多いので、経験年数が短い看護師さんは夜勤体制をしっかり確認しよう。雑務も多いので、看護補助さんがいると看護業務に専念できますよ。
●レクチャーがあるかチェック!
⇒レクチャーがなくいきなり夜勤というクリニックもあるので、教育体制を確認しましょう。
●患者層をチェック!
⇒院長の方針や得意分野によって入院する患者の層や重症度も変わってきます。こまめな巡回が多かったり、頻繁にナースコールがかかると仮眠なんて取れません。どんな疾患で入院している方が多いのか、しっかり把握しておきましょう!
≪有床クリニックにまつわるアレコレ≫
【有床クリニックにおける夜勤の人員体制】
有床クリニックの夜勤体制は看護師1~2名という配置にしている所が多く、一人夜勤も珍しくありません。3名体制の場合、看護師2名+看護助手1名というケースが多くなっています。院長が近所に住んでいる、もしくは自宅兼クリニックという施設形態ですので、当直医はおらずオンコールを持っている場合が多い傾向にあります。
【有床クリニックは西日本に多い!?】
有床クリニックは西日本に多いというのはご存知でしたでしょうか?
出典:厚生労働省個別「事項 (その4:有床診療所について)」
特に和歌山、四国、九州に多く、東日本では青森、福井も有床診療所が多くなっています。有床クリニックが多いほど夜勤バイトの求人も多いという事。有床クリニックでは夜間の看護師が不足していますので、クリニックでの夜勤バイトを検討中の看護師さんはぜひ!
【住宅街にある有床クリニックは夜勤従事者不足】
住宅街にある有床クリニックは夜勤者が不足している可能性大。住宅が密集するベッドタウンには子育て中のママが多く、そのエリアに住む看護師もママ看護師の割合が高いのです。ママ看護師は日勤のみで働きたいという方ばかりなので、住宅街にある有床クリニックでは慢性的な夜勤従事者不足に悩んでいる所も多いのです。
【有床クリニック(内科)の院長の年齢】
出典:日医総研 日医総研ワーキングペーパー 平成25年 有床診療所の現状調査
内科の有床クリニックでは60代の院長が一番多く、次いで70代となっています。開業医にも高齢化の波が押し寄せています。あまりにも高齢な院長の場合、数年後には閉院という可能性も…。
【有床クリニックの近年の動向】
現在有床クリニックの施設数は減少傾向にあります。その数は2017年2月時点で約7,500施設と1985年の施設数の約3分の1以下にまで減少してしまいました。背景にあるのは経営難と医師の高齢化という問題です。病院に比べて有床クリニックは健康保険による入院報酬が少なく、スケールメリットも働きません。また、慢性的な医療従事者不足も深刻な問題となっています。このような様々な問題によって有床クリニックを新規開設しようという若手医師が減少しており、既存の開業医の高齢化による閉院もしくは入院設備を持たない無床クリニック化が進み有床クリニックの施設数が減少していっているのです。有床クリニックは減少傾向にありますが、依然として夜勤の看護師は不足しています。「募集をかけていないけれど、実は困っている」というクリニックもあります。「気になる有床クリニックの夜勤バイトの募集状況を知りたい」「クリニックについてもっと詳しく知りたい」そんな看護師さんは、看護師専門のキャリアアドバイザーに一度ご相談ください。キャリアアドバイザーがあなたに代わって条件確認や交渉をしてくれます。★キャリアアドバイザーに相談してみる⇒無料相談★夜勤バイトの最新情報はコチラ