1.グリーフケア・アドバイザーの資格とは
初めに、「グリーフケア」とは何かご存じない方も多いと思います。「グリーフケア」とは大切な人と死別を経験した遺族支援のことを言います。
グリーフケア・アドバイザーの資格には2級・1級・特級の3種類があり、各級で段階的に死別による悲嘆の反応と悲しみを緩和するアプローチ法を学び、身に付けることを主体的に学習し、座学により悲嘆にまつわる知識を身に付けます。
グループワークなどを通してケアについての実践法を学び、悲しみのケアするスペシャリストがグリーフケア・アドバイザーの資格です。
海外ではビリーブメントケアといわれています。
2.グリーフケア・アドバイザーはどんな仕事?
大切な人との死別で精神的に病んでしまったり、不安を抱えた方に親身になりその深い悲しみをケアしていくお手伝いをすることです。
身内や友人を突然失った時、その現実を受け入れることができずに悲嘆にくれる方が多く存在します。
グリーフケア・アドバイザーはそのような悲嘆の世界の中にいる方々に手を差し伸べ、救い出すという大切な役割をもつ存在です。
3.グリーフケア・アドバイザーになるには
【受験資格】
2級・1級・特級 | 申請時の年齢が18歳以上 |
1級 | 申請時2級の講座の修了認定を受けた方 |
特級 | 1級講座の修了認定を受けた方(レポート等の評価も考慮)で協会からの推薦がある方 |
【取得までの流れ】
◆資格審査の申込方法
1.日本グリーフケア協会の公式ホームページ、「専用申し込みフォーム」より、受付開始日以降で申し込みます。
2.その後「申請書一式」が送付されてきますので受講料を支払い後に「申請書一式」の必要事項を記載の上返送します。
3.申請書が受理された後「受領・講習参加表はがき」が送付されてくるのでそこで申請完了です。
◆試験についての詳細
年2回東京での開催です。
<グリーフケア・アドバイザー2級(初級)認定講座>
座学を中心としたグリーフケアの基礎的な知識を学びます。
講習期間:1日間
・悲嘆のプロセス
・グリーフケアの基本
・遺族の心情
・援助法と注意点
※IDカードは発行されません。
<グリーフケア・アドバイザー1級(中級)認定講座>
1級になるとより実践向きの講義やグループワークで学びます。
講習期間:2日間
・予期による心痛
・複雑な悲嘆
・自助目標と演習法
・グリーフケア実施時の注意点
・グループ療法 など
※課題の提出があり、IDカードが発行されます。
<グリーフケア・アドバイザー特級(上級)認定講座>
グリーフケアのワークショップやケアの講座などの開催をしたい方のために必要な知識や技術をさらに深く実践力・技能も含めて学習します。 受講申込にあたり、協会からの推薦が重視されるので必ず受講できるものではありません。
講習期間:3日間
・演習の徹底
・ワークショップケアの実際
・現在の問題とその対処法の実践(災害・移植・被害者支援等)
※IDカードを発行します。
◆資格の交付と登録
試験がないので各講座で修了認定を受けた方が認定資格を得ることができます。(認定料:1,000円)
4.グリーフケア・アドバイザーをとるのは難しい?
試験がなく、認定講座に参加することで資格を得られるので合格率は100%といえます。受講期間も2級だと1日で取れてしまうので短期間で資格を取りたい方におすすめです。
人気の資格なのですぐに定員になり締め切られることがあるのでホームページをしっかりチェックしておきましょう。
5.グリーフケア・アドバイザーをとることのメリット・デメリット
<メリット>
・看護師の仕事をしていると患者さんの死に関わることは覚悟しておかなければなりません。大切な人を亡くしたご遺族の悲しみに寄り添うのも看護師の仕事です。そんなときこの資格を持っていると心理的に、精神的にケアしてあげられますので、看護師としてご家族からの大きな信頼を得ることにもつながります。病院に遺族外来(グリーフケア外来)などがあればそちらに配属される可能性も高くなります。
・医療従事者の方だけでなく、18歳以上であれば一般の方も受講して得られる資格です。例えば葬儀者や臨床心理士、教員など色々な職種の方や、自分や家族のために取得する方も多いです。
<デメリット>
・悲嘆で苦しんでいるご遺族は些細な事で不安定になり、さらに傷つけてしまわないようご遺族への言葉選びには注意しながらグリーフケアをすることが大切です。
6.グリーフケア・アドバイザーの現状と今後
資格取得者の多くは葬儀関係者や寺院関係者といわれていますが、人の死に直面することの多い職種の看護師や介護職の受講者が増加しています。
短期間で資格が取得できるものは少なく、且つ、医療の現場でも必要とされる場面も多々あるので人気の高い資格の一つです。
近年では団塊の世代が後期高齢者となり、高齢者の医療や介護は増えつづけ厚生労働省2017年の人口動態統計では年間の死亡者数は約130万人でした。
さらに年間の出生者数は昨年よりも少しずつ増えてはいますが約100万人で死亡者数が上回り、多死社会を迎えているといわれています。
病院だけでなく、介護施設や在宅などで終末期を迎える場所はあります。ケアを行う看護師も、患者さんの看護とその家族も含めた死別の悲嘆に対するグリーフケアがとても重要になってきています。