1. JSAトリートメントMAS認定臨床看護師の資格とは
JSAトリートメントMAS認定臨床看護師は、一般社団法人 日本アロマセラピー学会(JSA)が主催する認定資格です。
JSAトリートメントMAS認定を取得すれば、アロマセラピーに関して高い知識と技術を持つ看護師として、看護師の国家資格の範囲内で患者にアロマを用いた施術をすることが可能となります。
最近は終末期ケアなどにアロマセラピーを用いる医療機関が増えつつあることから、看護師からの注目度も高まっている資格です。
主催の日本アロマセラピー学会(JSA)は、「医療従事者がアロマセラピーを正しく医療に応用すること」を目的とした団体です。「アロマセラピーを医療に」をモットーとして1997年に設立されました。
会員は正会員、準会員、学生会員などで構成されており、医療従事者や医療従事者を目指す学生らが入会できます。
2. JSAトリートメントMAS認定臨床看護師はどんな仕事?
先述しましたが、JSAトリートメントMAS認定を取得すれば、アロマセラピーに関する高い知識と技術を持つ看護師として、看護師の国家資格の範囲内で患者に施術することが可能になります。
近年では日本においてもアロマ療法を用いる病院やクリニックが増えつつあります。
例えば末期がん患者の心身の苦痛を和らげるための補完医療(CAM)※として、また認知症患者の精神的なケアやリラクゼーションなどの用途で取り入れられています。
患者さんの状態や気分にあわせて、精油を選び、足浴や手浴、ハンドマッサージなどを施します。
医療を学び、患者の病状、容態をしっかりと把握している看護師だからこそ、確かな知識と技術を基に、一人ひとりの患者に合ったアロマの施術を行うことができます。
※補完医療(CAM)とは
標準治療と併用あるいは代替で行われる民間医療・東洋医学などの総称です。
アロマセラピーの他に漢方、鍼などが挙げられます。
3. JSAトリートメントMAS認定臨床看護師になるには?
◆取得までの流れ
(1)日本アロマセラピー学会の正会員になる
●医療従事者であることが入会条件
●入会費:10,000円(税込)
(2)【学会認定コース】
JSA基礎セミナーを受講し、JSA基礎認定を取得する
【スクール認定コース】
アロマスクールで200時間以上(内、実技40時間以上)を修了する
(3)MAS(Medical Advanced Seminar)を受講する
●3日間の講習受講
●定員あり
●受講料:60,000円(20,000円×3回分)
(4)フォローアップセミナーを受講する
●学会認定コースの人は必須
●スクール認定コースの人は任意
●受講料:15,000円
●認定取得後は5年ごとに更新必要(更新料:20,000円)
(5)トリートメント認定(実技)試験
●年1回
●受験料:20,000円
●学会認定コースの人はケースレポートの提出が必要(スクール認定コースの人は免除)
(6)合格発表
●合格者は事務局から案内が届く
●不合格者は合格に向けての案内が届く
(7)認定申請
●認定料を支払い申請すると認定証が郵送される
●初回認定料:15,000円(税込)
◆受験資格
受験するには下記の1、2の条件を満たしている必要があります。
1. 日本アロマセラピー学会の正会員で、医療従事者である
2. 学会認定コースは「JSA基礎セミナー」を受講し、JSA基礎認定資格を保有している
スクール認定コース(※)はアロマスクールで200時間以上のカリキュラム(40時間以上の実技を含む)を修了している
(※スクール認定コースは2021年度に新設されたコースです。)
◆開催日程と申し込み方法
◆更新について
5年ごとの更新が必要です。
更新料:20,000円
(フォローアップセミナーの受講1回分を含む)
●更新条件
1. 本学会の正会員であること
2. 学会認定コースの人は、基礎認定を更新していること
4.JSAトリートメントMAS認定臨床看護師の難易度は?
JSAトリートメントMAS認定臨床看護師の試験は、通常年に1回行われています。
合格率や出題内容を公開していないため一概にはいえませんが、基礎セミナーをきちんと受け、実地に基づいた試験勉強を行うことが合格への近道といえるでしょう。
集中して受講すれば最短半年で試験が受けられます。そのため、看護師として働きながら資格を取得したい方にもオススメです。
基礎セミナーは、アロマセラピーの基本だけではなく、解剖学・薬理学にまで及んだ内容となっています。
アロマによる患者さんへの治療の根本ともなる基礎セミナーは、認定取得後も自己研鑽として受講が薦められているものですので、基礎セミナーの内容はしっかりと復習したほうがいいでしょう。
5.JSAトリートメントMAS認定臨床看護師をとることのメリットデメリット
JSAトリートメントMAS認定臨床看護師の認定を取得するメリットは、アロマセラピーに関する専門的知識とトリートメント技術を習得できることでしょう。
身につけたアロマセラピーの技術を治療やリラクゼーションの一環として用いることで、患者さんの痛みや苦しみ、精神的なストレスなどを緩和させられる可能性があります。
病院はもちろん、クリニックや介護福祉施設、一般企業においても活かすことができる資格といえるでしょう。
デメリットを挙げるとすれば、費用面と、仕事で活かせないかもしれないという点でしょうか。
講義内容を網羅するためには、
・Medical Advanced Seminar(MAS) 60,000円
・フォローアップセミナー 15,000円
・実技試験受験料 20,000円
・初回認定料 15,000円
などで、計11万円がかかります。(フォローアップセミナーを受講しない場合は95,000円です。)
加えて、学会認定コースの人は基礎認定の費用、スクール認定コースの人はスクールの費用が別途かかり、決して安い金額ではありません。
またアロマセラピーを使う看護師の求人はまだまだ少ない状況です。
求人や病院の情報をみても、アロマ療法を取り入れているかどうかの判断は難しく、「資格取得後も活用できるかがわからない」という方もいます。
時間や費用をかけて資格を取得しても活かせなければ意味がありません。
これらを踏まえ、「医療の現場で活かせるかどうか」「認定取得の目的は何か」を明確にしたうえで受講することをおすすめします。
6.JSAトリートメントMAS認定臨床看護師の現状と今後
補完療法やマッサージ療法としてアロマセラピーのニーズは確実に高まりつつあります。
日本では、先述したように終末期ケアや認知症ケアにアロマを取り入れるところが増えています。
アロマセラピーによって直接病気を治療できるわけではありませんが、患者さんの不安感や抑うつの軽減、がんによって起こる疼痛の改善、薬による副作用の軽減など、標準治療では手の届かない部分を補う医療として、一歩進んだ治療をすることができます。
現在の医療・看護では、より患者のQOL(生活の質)の向上につながるケアが重視されており、標準治療と補完療法の両方を取り入れた統合医療を実施する病院が増えるといわれています。
今はまだアロマセラピーができる看護師の求人は希少ですが、今後は増えていくことが期待できるでしょう。