1.行動療法士の資格とは
行動療法士とは「一般社団法人日本認知・行動療法学会」が認定している資格です。 行動療法士は認定行動療法士と専門行動療法士の2つの資格に分かれており、取得条件もそれぞれ分かれていますが共通する点としては、どちらも学会への入会が必要という事が挙げられます。
会員年数も条件に含まれているので、まずは入会の申請を行いましょう。
2.行動療法士はどんな仕事?
行動療法は悩みを抱えている患者の行動に焦点をあて、その人が持つ悩みや問題を解決していく心理療法の1つです。 たとえば、人は何かのきっかけでストレスがかかった時、ストレスが軽くなるような捉え方や考え方をします。
ですが、心の病気を抱えている場合は、ストレスがかかるとゆがんだ考え方を持ち好ましくない行動をとってしまう事もあります。 このようなゆがんだ考え方や好ましくない行動を修正する治療法が行動療法です。
3.行動療法士になるには
【受験資格】
受験資格には学会への入会が必須となり、また認定行動療法士と専門行動療法士では、受験資格が異なる部分がありますのでご注意ください。
■日本認知・行動療法学会の入会方法
<入会資格>
・大学学部卒業以上もしくは同等の知識があると認められる方。
・認知・行動療法に関わる医療や教育、心理、福祉などの職業で2年以上勤務していること。
<入会方法>
1)上記いずれかに該当する方は、入会申込書を公式ホームページよりダウンロードし必要事項を記入のうえ、日本認知・行動療法学会事務局に郵送してください。
入会申込書の推薦者欄には学会の会員2名の推薦が必要ですが、推薦者が居ない場合は別規定がありますので、公式ホームページよりご確認ください。
日本認知・行動療法学会事務局
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1パレスサイドビル (株)毎日学術フォーラム内
2)入会審査が行われた後、通過した方には「入会承認通知」が届きます。
3)入会承認通知の到着後、入会金:5,000円 年度会費:7,000円を振り込みます。
4)入金の確認が取れたら、会員登録されます。
※内容は変更される場合もありますので、必ず公式ホームページを確認してください。
■認定行動療法士
1)学会に入会していて、会員年数が1年以上であること。
2)研修を合計6時間以上受けていること。
・学会主催:認知・行動療法に関する研修(2時間以上)
・非学会主催:理事会が認めている認知・行動療法に関する研修
3)学会での研究発表(1回以上)又は「認知・行動療法」に関係する研究論文(1編以上を公表している方)
■専門行動療法士
1)学会に入会していて、会員年数が5年以上であること。又は「認定行動療法士」の資格取得から2年以上経過していること。
2)研修を合計30時間以上受けていること。(特別措置が別に定められている)
3)学会での研究発表(1回以上)
4)「認知・行動療法」に関係する研究論文(1編以上を公表している方)
※研究論文や特別措置など詳細は公式ホームページをご確認ください。
【取得までの流れ】
1)学会に入会し受験資格を確認しておく。
2)ホームページより申請書などをダウンロード。
3)申請書類に必要事項を記入しケースレポートを作成する。
4)申請書類等を封書にて送付する。
5)審査料を振り込む。
6)資格審査が行われる。
7)合格後、資格登録料を振り込む。
8)各行動療法士名簿に登録され、認定証が交付される。
■資格審査の申込方法
行動療法士の資格審査は年1回の受付となっている為、申請期間をよく確認し申し込みましょう。
1)ホームページより申請書などをダウンロードし必要事項を記入する。
・認定行動療法士:16ファイル
・専門行動療法士:9ファイル
2)ケースレポートを作成する。
・認定行動療法士:400字詰め原稿用紙10枚くらい
・専門行動療法士:400字詰め原稿用紙30枚くらい
3)申請書類等を封書にて送付する。
4)審査料を指定の振り込み先へ振り込む。
・認定行動療法士:10,000円
・専門行動療法士:30,000円
5)申請書類送付、審査料振込のあと、トラブル防止のため送付先に記入しているEmailアドレスにメールを送信して、資格審査の申し込みが完了です。
※審査申し込みに関する内容は変更される場合もある為、公式ホームページを確認し申し込みしてください。
■試験についての詳細
行動療法士の資格試験は、筆記試験はなく送付した書類やレポートの審査と、専門行動療法士はプラスで面接試験が行われます。
認定行動療法士を受験する方は、レポートの提出前に誤字脱字や不備な点が無いかなど専門行動療法士にチェックしてもらう必要があります。
■資格の交付と登録
行動療法士の資格の交付は、審査合格のお知らせ後に登録料を振り込み、各行動療法士名簿に登録され認定証が交付されます。
認定行動療法士 | 認定証の有効期限は3年で更新が必要です。 |
専門行動療法士 | 認定証の有効期限は6年で更新が必要です。(2回更新すると以降は無期限になります。) |
4.行動療法士をとるのは難しい?
行動療法士の資格は筆記試験がないため比較的取得しやすい資格といえますが、学会に入会して1年以上経っていないと認定行動療法士の資格申請をすることができません。
資格取得を考えている看護師さんは早めに入会しておいたほうが良いでしょう。
5.行動療法士をとることのメリットデメリット
行動療法士の資格を取得することで患者さんに対し、より高い看護を実践できるというのがメリットです。 資格取得で学んだ知識を活かし、患者さんの治療法を計画、一歩踏み込んだ看護を実践できるのは行動療法士ならでは。
また、患者さんのケアに直接携わる機会が増えることで、やりがいを感じる場面も多くなるというのもメリットの一つといえるのではないでしょうか。
一方、デメリットとしては認定行動療法士の資格だけではキャリアアップや給与アップは難しいという点があります。
もし、キャリアアップや給与アップを目指すのであれば、その先の専門行動療法士まで取得したほうが有利に働きます。
この専門行動療法士の資格を取得するには、学会の会員年数が5年以上必要なので、先に認定行動療法士を取得することをおすすめします。
6.行動療法士の現状と今後
平成28年6月時点で2,000名以上の方が行動療法士の資格を取得しており、その数は増加傾向にありますが、行動療法士の人数はまだ多いとは言えません。
しかし、うつ病や不安障害など行動療法士を必要とする患者の数は増えつつある為、今後の需要は高いといえます。
この資格を取得した看護師は、病院の心療内科や専門病院などで活躍していますが、その他にも福祉施設や教育機関など働ける職場は多いです。